帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「悪魔博士の実験室」

「悪魔博士の実験室」
ウルトラマン80』制作第15話
1980年7月9日放送(第15話)
脚本 阿井文瓶
監督 広瀬襄
特撮監督 高野宏一

 

実験怪獣ミュー
身長 31cm~56m
体重 1.1kg~4万9千t
セラ広報員が宇宙空間で発見した宇宙生物。母親とはぐれて彷徨っていたらしい。
大人しい性格で城野隊員に懐き、城野隊員の子守唄で眠りに就く。
しかし、生物を巨大化させて人間にとって有益な家畜にしようと考える中川博士に連れ出されて巨大化させられ、巨大化実験の副作用で暴れ出して中川博士を殺してしまう。
目から怪光線を撃つ。炎に弱いらしい。
最後は城野隊員の説得で大人しくなり、80によって元の大きさに戻されて宇宙に返された。
名前の由来は「ミュータント」かな。

 

物語
スペースマミーでの6ヶ月間の宇宙巡航を終えて地球に帰って来たセラ広報員は小さい宇宙生物ミューを保護していた。
城野隊員達はミューを看病するが、中川博士は怪獣巨大化実験の為にミューを連れ出してしまう。

 

感想
イトウチーフに続いてセラ広報員が登場。
ウルトラシリーズで広報担当がレギュラーで登場するのは今のところ『80』のみ。
必殺! フォーメーション・ヤマト」でマスコミを使ったゴルゴン星人の策略に苦しめられたので、それらへの対策でもあるのかな?
TVやネットが重要な役目を果たす事が多い平成ウルトラシリーズに広報担当が登場しないのはちょっと疑問。登場させた方が面白いと思うのだが……。

 

6ヶ月間の宇宙巡航を終えて地球に帰還したスペースマミー。猛とセラ広報員に面識があったので、第2話から今回の話までで半年は経過している事が分かる。
UGMが切り札であるスペースマミーを地球から外すとは考えにくいので、UGMはスペースマミーを複数所持していると考えられる。装備とか劇中描写とかを見ていると、スペースマミーは戦闘より宇宙巡航の方が向いているのかも。

 

今回は『初代マン』や『ザ☆ウル』でも登場した「怪獣墓場」が物語の始まりの場所となっている。

 

「UGM」の文字を象った新たな基地は地味だがインパクトあるデザイン。
セラ広報員が宇宙から持ち込んだお土産の正体は酷く弱っていた宇宙生物
助けてほしいと頼むセラ広報員に対し、イトウチーフは小さくても宇宙生物だと怒るが、城野隊員は宇宙生物でも生き物に変わりないと反論。話を聞いたオオヤマキャップは城野隊員の父親である宇宙生物の権威・城野博士に診てもらうよう告げる。
セラ広報員が宇宙生物を連れて帰って来たのは弱っている生き物を放っておけないからであるが、それを「地球へのお土産」と称してしまうセンスは少し疑ってしまう。

 

『初代マン』の「謎の恐竜基地」を思い出させる中川博士登場。
生物を巨大化させて人間にとって有益な家畜にしようと言う発想は『ダイナ』の「激闘! 怪獣島」に登場するオオトモ博士に引き継がれていく。
中川博士は目的の正しさが自分の行動全てを正当化してくれると信じていたのだろうが、無理矢理実験した挙句に自分は巨大化させた恩人だから感謝し奴隷として従えと言ってもミューが従うわけがない。中川博士は暴れるミューに向かって「私の事が分からないのかー!」と叫んでいたが、分かっているからこそ襲われたのだろう。最後までそこに気付かなかったのが中川博士が破滅した理由である。

 

城野隊員がミューに聴かせた子守唄は『ザ☆ウル』の挿入歌である『怪獣レクイエム』。
子供の頃に亡くなった母親がよく歌っていた子守唄との事で、今回の話は母を亡くした城野隊員がミューとの触れ合いで母性を発揮していく流れになるのだが、実験材料にさせないと言っていながらミューに対して何らかの処置を行ったと思われる中川博士に対して目立った行動を取らなかったりと、城野隊員自身の描き込みが弱かったのが残念。

 

猛がミューに故郷ウルトラの星を離れて一人地球で戦っている自分の境遇を重ね合わせる視点も上手かったが、その為、話の後半は猛がミューを助けるようになって城野隊員の活躍が無くなり、又、前半は城野隊員とミューの関係に押されて猛の描写が弱くなったりと、異なる立場からミューに感情移入する猛と城野隊員を描こうとして、結局はその両方の描写が甘くなってしまった感じがする。

 

小さくても宇宙生物は危険だとするイトウチーフに向かって、猛は宇宙に返しても親と再会できる可能性は低く、宇宙に返す事は見殺しにする事に等しいと反論する。
この言葉を聞いていると、ミューを元の大きさに戻して宇宙に返す結末に不安がよぎる。実験やら80との戦いやらでかなり弱っていた事も考えると、残念ながら、ミューのその後にあまり希望が持てない……。

 

「宇宙に住んでいるのは我々だけじゃない。我々は宇宙の主人でもない。宇宙を我々の利益のままに動かそうとしてはいけない。しかし、たった一つ、共通したものがある。それは……愛ってものだ」。