「バルタン星人の限りなきチャレンジ魂」
『ウルトラマン80』制作第45話
1981年2月18日放送(第45話)
脚本 石堂淑朗
監督 野長瀬三摩地
特撮監督 高野宏一
宇宙忍者バルタン星人(6代目)
身長 ミクロ~50m
体重 0~1万5千t
性懲りも無く、またもや地球にやって来た限りなきチャレンジ魂の持ち主。
争いの種をばら撒いて地球人同士を争わせる事で地球を滅ぼそうと考え、手始めに子供達のUFO論争を利用した。
かなりふざけたキャラクターだが、分身、姿を消す、瞬間移動、変身、心を操る、テレパシー、重力バランスを操る、子供達を袋に閉じ込める等、意外と多彩な能力を駆使する。
80との戦いでもサクシウム光線と互角の威力を誇る黄色破壊光線やミサイル等で優勢に戦いを進めるが、瞬間移動したところを80が初代マンから習ったウルトラスラッシュ(八つ裂き光輪)で真っ二つにされてしまった。
物語
いつも友達4人組にバカにされている山野はフリスビーの写真をUFO写真と偽って友達4人組を見返そうとするが失敗してしまう。
そこに限りなきチャレンジ魂を持つバルタン星人が性懲りも無くやって来て……。
感想
「殴れ! いがみ合え! 人間皆敵! 一日一悪!」、
「これが喧嘩の元とはお釈迦様でもご存知あるめぇ!」、
「ウハハハハ! 出番ですよ!ってか!」、
「ウヒャヒャヒャヒャ! 子供と子供が喧嘩する! 男と女が喧嘩する! 家と家とが喧嘩する! そしておしまいには国と国とが喧嘩する! ミサイル発射! 手裏剣シュシュ! 日本は滅びる! 地球は滅びる!」。
いやはや、初代や2代目が持っていた格好良さはどこ行った!?な迷言続出な6代目。すっかり地球の風俗習慣に馴染んじゃって……。
それでも巨大化すると「フォッフォッフォ」しか喋らなくなったりする。
バルタン星人の強烈なキャラクターに色々な意味で圧倒されてしまうが、復讐心や功名心を利用して争いの種をばら撒いて地球人同士を争わせようと言う作戦自体は悪くない。
たかがUFO写真で国と国とが喧嘩するか?と言う疑問はあるが、これは子供同士の喧嘩の場合であって、男と女の場合は浮気問題とか、国同士の場合は大量破壊兵器だとか、相手によって内容を変えていると考えたい。
山野は最初の写真がフリスビーだと分かっていながらUFOの写真だと嘘を吐く。
そして、友達4人組に1枚だけでは信用できないと言われ、今度は自分でフリスビーを大量に用意してUFO写真を撮っていく。
実はバルタン星人は少し煽っただけで山野と友達4人組はいつも喧嘩している。
バルタン星人は山野の母親に変身して山野のUFO写真制作に協力する。
バルタン星人が変身した山野の母親はかなりハイテンション。
この時のUFO写真はUGMのコンピューターによるとトリックは一切使われていないらしい。バルタン星人が変身した山野の母親がフリスビーを投げると銀色の円盤に変化したので、バルタン星人が特殊能力でフリスビーを宇宙金属か何かに変えたのかもしれない。
UFOは子供の夢。UFO写真を撮らせてくれるバルタン星人は、いわば夢を与えるサンタクロースみたいなもの。そうやって子供を味方につけたら80も手が出せないと言うUGM。
しかし『レオ』の「悪魔の惑星から円盤生物が来た!」でも書いたが、毎回のようにUFOが現れるウルトラシリーズの世界でこの展開は無理がある。
因みに巨大化したバルタン星人が子供達を袋に閉じ込めて人質にする姿はサンタクロースみたいだった。サンタクロースが実は誘拐魔だったと言うホラー作品がどこかにありそう。
写真だけではどうしても信用してもらえず、UFOを実際に呼んでみせると言う山野。
バルタン星人は「明日の12時に嵐山にUFOが来る」と山野にしつこく言っていながら当日は遅れて来ている。時間にルーズなのだろうか?
この時のバルタン星人は自分の顔をイメージしたような面白い形の小型UFOに乗って颯爽と登場しているが、まさかこの小型UFOの準備で時間に遅れてしまったのだろうか?
因みにこの小型UFOは異次元空間を通って現れる優れものだが、猛のライザーガンであっさりと破壊されてしまう。
UGMの計器無しで宇宙バリアα光線を探知して報告してしまった為、オオヤマキャップに不審がられる涼子。「しまった」と言う顔が可愛い。
その後も異次元空間の出口を探知し、そのエネルギーに気分を悪くしている。
猛がそれらの現象に気付いた様子は無いので、涼子は猛に比べて探知能力が優れているのかもしれない。
80とバルタン星人の戦いは意外と見応えがある。特に80のサクシウム光線とバルタン星人の黄色破壊光線が激突し、両者とも衝撃で吹き飛ばされる場面が良い。
最後は80が初代マンから習ったバルタン星人への必殺技ウルトラスラッシュ(八つ裂き光輪)を思い出して勝利。『80』では珍しく相手を切断して勝っている。
因みにこの時に『初代マン』の「科特隊宇宙へ」での初代マンとバルタン星人(2代目)の戦いの映像が映し出されている。
最後は涼子が「悪い宇宙人達は私達の心をいつも狙っているんだから、もう喧嘩しちゃ駄目よ」と言って終わり。
そして今回の話が『80』で宇宙人が登場する最後の話となった。
今回の話は野長瀬監督のウルトラシリーズ監督最終作となっている。