帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「銀色の追跡者」

「銀色の追跡者 -バルタン星人登場-
ウルトラマンパワード』第1話
1993年12月5日発売(第1巻)
脚本 キング・ワイルダー(原案 伊藤和典
監督 キング・ワイルダー
特殊効果 ジョセフ・ビスコーシル

 

宇宙忍者バルタン星人
身長 ミクロ~65m
体重 0~2万3千t
多くの文明を滅ぼしてきた宇宙の侵略者。
地球を狙い、全長1.6kmの母船で月周辺に現れると緑色に光る繭に入れて潜入隊を3体送り出した。潜入隊はロサンゼルス郊外の倉庫街で近付いてきた巡査やW.I.N.R.隊員を襲撃し、反撃されると3体が合体して巨大化し街を破壊し始めた。
幻で自分が何体もいるように見せる。ハサミから衝撃波や赤い光弾を撃つ。口から煙を放つ。バズーカ砲で一度倒されても脱皮して復活する。翼を広げて超高速で飛行する。
巨大化した個体はパワードのメガ・スペシウム光線を受けると緑色になって消滅し、潜入隊の敗北を受けて母船も地球圏から一時退却した。

 

物語
月の裏側から地球を狙う謎の宇宙船。
赤い玉の調査に向かったケンイチ・カイに語りかける謎の声。
バルタン星人の侵略は既に始まっていた……。

 

感想
『初代マン』をアメリカのハリウッドでリメイクしたもので、『G』と同じくオリジナルビデオシリーズを中心に展開された。

 

原題は「On a Mission from M78」。
「M78星雲から使命を帯びて」となる。
今回の話は『初代マン』の「侵略者を撃て」のリメイクとなっている。

 

オープニング曲の導入部分の音がカッコイイ。

 

W.I.N.R.隊員。
エドランド隊長は科学用語がよく分からなかったり、バルタン星人の幻に翻弄されたりとちょっと頼りなかった。
ベックは白衣を着て眼鏡をかけて登場。冷静沈着に状況を判断して指示を送るので、こちらの方が隊長に見えてしまう。
サンダースはよく軽口を叩くアメリカ作品らしいキャラクター。
主人公のケンイチ・カイを演じるのはケイン・コスギさん。又、今回の話でパワードの声を担当したのはケイン・コスギさんの父親であるショー・コスギさん。

 

W.I.N.R.は謎の繭を回収し、調査したベックは地球の昆虫にとても近い成分と判断する。
ヤング「地球のものと似ていると言う事はつまり……」、
ベック「そう、地球のものじゃないって事」。
最初から「宇宙のもの」と言わない台詞回しが面白い。

 

倉庫街を調査していたロサンゼルス市警察の巡査二人。
男の巡査が虫の死骸のような匂いがすると言うが、女の巡査は鼻炎だからよく分からないと答える。そこにバルタン星人が出現し、「こいつはW.I.N.R.の仕事だ!」と叫んだ後、二人は襲われてしまう。
人間の事件は警察が、人間以外の事件はW.I.N.R.が担当すると言う感じかな。ウルトラシリーズでは特別チームが警察や軍隊と縄張り争いをする展開が度々あるがW.I.N.R.はその辺りの住み分けが出来ていた。

 

行方不明となった巡査の調査に向かったエドランド隊長とサンダースの前にバルタン星人が現れる。
「フォッフォッフォ」と喋るバルタン星人に向かって「何がおかしい!」とツッコミを入れるサンダース。そこにツッコむの!?とちょっと驚いた場面。そう言えばアメリカ作品ってツッコミが多いイメージがあるかな。

 

I.D.C(国際防衛委員会)の衛星が月の裏側にある正体不明の衛星を威嚇射撃しようとするが、そこに謎の赤い玉が出現してI.D.Cの衛星を破壊すると、そのままロサンゼルス郊外に落下する。
カイとヤングが赤い玉が落下したクレーターの調査に向かうと赤い光が辺りを覆いカイを包み込んでしまう。
赤い光の中、謎の声がカイに語りかけ、月の裏側にある衛星が宇宙の侵略者バルタン星人の母船である事、自分はバルタン星人を追ってやって来た事、I.D.Cの衛星を破壊したのは地球がバルタン星人からの報復を受けないようにする為だった事を明かす。
ここまで丁寧に事情を説明してくれるウルトラマンは珍しい。初代マンはまだ自分とベムラーの関係を説明していたけれど、続くジャックやエースはかなり漠然とした説明だった。
ウルトラマンが地球と他の星の全面戦争を回避しようとする話は他の作品にもあるが、そこで地球の衛星を破壊すると言う思い切った行動に出る事はあまり無い。もしパワードが既にカイと同化していたらカイを通じて地球人に警告する事が出来るのだが、この時点のパワードでは地球人にメッセージを送る手段が限られていたので、緊急事態の行動だったと考えられる。

 

パワード「バルタン星人と戦う為に君の体を貸してほしい。私の体はこの星での活動には向いていない。だが君と同化する事で3分間は戦う事が出来る。決して君の心に立ち入るような事はしない。カイ、時間が無いのだ」、
カイ「どうすればいい?」、
パワード「カプセルを使うのだ」。
赤い光の中に現れるカプセル=フラッシュプリズム。そして眩い光と共にパワードが地球上に現れる。
劇中で赤い玉=パワードの正体が判明するのはかなり遅い。なので予備知識無しで見ると物語前半は謎が謎を呼ぶ展開となっている。初登場時の初代マンはヒーローと言うより謎の宇宙人と言う側面が強かったが、その雰囲気を上手く再現していると思う。

 

エドランド隊長達がバルタン星人を追い詰めるが、人間大だった3体のバルタン星人は合体して巨大化。それでもサンダースは「デカい方が狙いやすいって事です」と口が減らない。
虚勢を張っているところもあるだろうが、サンダースのどんな状況であっても諦めないキャラクターは最終回まで一貫している。

 

衝撃波で街を破壊していくバルタン星人。
そこに赤い玉が出現。眩い光を放ち、やがてパワードが降臨する。
ここは光が具現化してウルトラマンになっていくのが上手く表現されていた。

 

パワードとバルタン星人との戦い。
平手でバルタン星人を押し出すパワードだが、バルタン星人は空中で止まり余裕。
ゆっくりとした攻防が静かなBGMと共に盛り上がる。

 

羽根を広げ超高速で街中を飛行するバルタン星人と、それを追いかけるパワード。
両者が通過した後に衝撃でビルが壊れていくのが良い。パワードの飛行ポーズはカッコ悪いが……。
確かにセットはチャチだし変な場面もあるが演出が上手く補っていると思う。

 

バルタン星人の衝撃波を受けて倒れるパワードだったが、ポーズをとってエネルギーを溜めていく。
衝撃波を弾き、パワードの周りにスパークが現れるのがカッコイイ。
パワードは溜めたエネルギーをメガ・スペシウム光線として一気に放射してバルタン星人を倒す。
メガ・スペシウム光線は撃つまでに溜めがあって必殺技と言う感じが出ていた。

 

戦いを終えたパワードがエドランド隊長達を見下ろす場面ではパワードの目が赤くなっていてちょっと恐かった。エドランド隊長達もビビっていたし。
パワードの目が赤くなるのは感情の高まりやエネルギーに関係しているらしいが今回の話ではいつの間にか赤くなっていた。メガ・スペシウム光線のエネルギーを溜めている時に段々と目が赤くなっていくとかしたらもっと盛り上がったのかなと思う。

 

「俺達友達に見えるかな? それとも虫けらでしょうかね?」。
パワードと目が合ったサンダースの一言。ウルトラマンは地球人の事をどう思っているのか。その事を劇中で言及した人物は意外と少ない。
この台詞の後、サンダースはパワードを援護する事を決める。理由は「バルタン星人は完璧に敵だから」。つまり「敵の敵は味方」と言う理論。
バルタン星人との戦いを終え夜空に去っていくパワードを見て、サンダースは「何者でしょう?」と尋ね、エドランド隊長は「さあな。でも敵じゃなくて良かった」と答える。
今回はウルトラマンと地球人の間に信頼関係は無いけれどバルタン星人と言う敵がいたのでウルトラマンと地球人は敵対関係にならなかったと言うちょっとドライな関係であった。この構図の危うさは後に「宇宙からの帰還」で指摘される事になる。

 

カイはクレーターの近くで気絶していたヤングを助けると、赤い光の正体を落下物が気化して光ったものではないかと説明する。
そんなカイの心にパワードの声が響く。
「カイ。バルタン星人はまだ地球侵略を諦めていない。地球の安全が確認されるまで留まりたいのだが……」。
パワードの問いに「OK」と答えるカイ。この言葉をヤングは自分に向けられたものだと思って「うん、大丈夫」と答える。この流れは上手かった。

 

パワードは他のウルトラマンに比べてちゃんと手順を踏まえてカイと同化している。
初代マンは「フッフッフ……、心配する事は無い」で、ジャックは郷秀樹の返事無しで、エースはメチャクチャ上からものを言って、ジョーニアスは説明はしたけれどヒカリの返事は待たずに、それぞれ地球人と一心同体になっていた。

 

原案を担当した伊藤和典さんはウルトラシリーズは『パワード』のみの参加となっている。

 

VHS版の主題歌は前田達也さんの『ウルトラマンパワード』と『この宇宙のどこかに』となっているが、TV放送時はエンディング曲が『STARLIGHT FANTASY』に変更されている。

 

 

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