帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「キングの奇跡! 変えるぜ! 運命!!」

「キングの奇跡! 変えるぜ! 運命!!」
ウルトラマンジード』第17話
2017年10月28日放送(第17話)
脚本 安達寬高
監督 坂本浩一

 

ウルトラマンキング
身長 58m
体重 5万6千t
クライシス・インパクトの爆心地跡でライハの前に姿を現す。
ライハのリトルスターの秘密を明かすと、ライハを精神世界に飛ばしてジードを救わせた。

 

反重力宇宙人ゴドラ星人
身長 2m~52m
体重 120kg~4万5千t
AIBの本部でゼナを襲撃するが返り討ちに遭った個体で地球から強制退去させられた。

 

ウルトラマンベリアル
身長 55m
体重 6万t
精神世界でリクと対面し、赤目になったジードを使ってゼロビヨンドを追い詰める。

 

ベリアル融合獣キメラベロス
身長 58m
体重 6万9千t
現実世界でジードを取り込みゼロビヨンドを追い詰める。
ジードに脱出された後は戦いの場所を地球に移され、自身の力とキングの力が融合したロイヤルメガマスターのロイヤルエンドで倒された。

 

物語
キメラベロスに取り込まれたリクを救う為、ライハはキングの声を聞きにクライシス・インパクトの爆心地跡へと向かう。
一方、リクは精神世界でベリアルと対面し……。

 

感想
第1期ウルトラシリーズはサブタイトルが短めだったが、第2期ウルトラシリーズでは長いサブタイトルが使われるようになった。平成に入って再び短めのサブタイトルが使われるようになっていたので、今回の久し振りの長めのサブタイトルは新鮮であった。(『列伝』のサブタイトルは長めだったけれど)

 

リクとベリアルが対面する精神世界は『ゼロファイト』の「輝きのゼロ」でベリアルに体を乗っ取られた時のゼロの精神世界を思い出す。

 

リクに向かって親子の大切さを語るベリアル。
そう言えばベリアルのライバルであるウルトラの父もゼロも家族の話がある珍しいウルトラマンであった。
ベリアル自身の家族についてはリク以外は語られてはいないが、彼にも親と言う存在がいたのだろうか? もし、いたのなら、今回のベリアルが語っている親子の話はその親の影響もあるのかもしれない。

 

ゼロビヨンドとキメラベロスが月で再び激突する。
ゼロビヨンドとノーマルのベリアルとではゼロビヨンドの方が強かったが、今回はジードも取り込んだ事でキメラベロスの方がゼロビヨンドより強くなっている。

 

ジード』が発表された時に「ベリアルの息子」と言う設定からジードが途中で闇に堕ちて人類やウルトラマン達と対立する展開が予想されたが、そのような展開は起こらなかった。
しかし、今回の話ではジードを取り込んだキメラベロスがゼロビヨンドと戦う時に精神世界ではベリアルと赤目のジードがゼロビヨンドと戦っていると言う場面がある。
精神世界でゼロビヨンドと戦うジードに向かってベリアルが「良いぞ、我が息子よ」と褒めているが、実際はベリアルがジードの力を使ってゼロビヨンドを攻撃していて、ジードにはゼロビヨンドと戦う意思は無かった。この辺りはウルトラマン同士の戦いはなるべく避けるウルトラシリーズならではの配慮なのかなと思う。

 

クライシス・インパクトの爆心地はライハが生まれた病院にあった。
ライハがキングの声を聞く事が出来て、他の人間より早くリトルスターが形成されたのはキングの手助けがあって生まれる事が出来たから。
この「ウルトラマンの助けがあって誕生する事が出来た存在」と言うのはベリアルの力があって誕生する事が出来たリクと同じで、この設定により本作はリクとライハのW主人公の構図がより明確になった。

 

キングの力によって精神世界に入る事が出来たライハはそこでベリアルに取り込まれそうになっているジードを見る。
「リク、駄目! ベリアルに惑わされないで! あなたはリク。朝倉リク……。思い出して!」。
ライハのこの言葉は「僕の名前」でリクが伏井出ケイに向かって叫んだ「僕はリク! 朝倉リク! それが僕の名前だぁ!」を思わせる。ベリアルが血の繋がった親子の絆を語ったのに対し、ライハは想いの繋がった親子の絆を語った。
僕の名前」の展開を踏まえるとライハの言葉を聞いたリクは血が繋がっているベリアルより想いが繋がっている朝倉錘の方に傾きそうなのだが、実はライハの言葉はリクのベリアルに傾く心を止める事は出来たが決定打にはならなかった。朝倉錘の想いやベリアルの悪事が分かっていても、ここでベリアルを振り切って朝倉錘を選ぶ事が出来ない程にリクは自分の出生を気にしていたのだった。

 

「忘れないで! 仲間の事を! 地球の事を! あなたの夢を! あなたは……皆のヒーローなんだから!」。
そんなリクの気持ちを最後に動かしたのは子供の時のドンシャインのヒーローショーでの出来事であった。
出生に関わったベリアルと名前に関わった朝倉錘の話はどちらもリクの記憶には無い赤ん坊時代の話である。今のリクを動かすのに必要だったのは記憶として残っている子供時代の出来事であった。

 

ドンシャインはリクにとって憧れのヒーローなのだが、元々『ドンシャイン』はTV番組と言う作られたもので、さらにリクを励ましたショーのドンシャインはTVに出ている人ではないと思われる。でも、このドンシャインはリクにとって紛れもないヒーローであった。
リクが憧れのヒーローであるドンシャインで思い出した場面は「ヒーローが格好良く怪人を倒す」ではなくて「ヒーローが子供に笑顔を取り戻す」であった。
このドンシャインの場面は「誰でもヒーローになれる」「ヒーローは皆の笑顔を守る」と言うヒーローとして大切なものが描かれていた。このテーマはそのままウルトラマンでありながら光ではなく闇を起源にしているジードの物語にも繋がる事になる。

 

今回のドンシャインの話を見ると宮内洋さんの「ヒーロー番組は教育番組」と言う言葉を思い出す。実を言うと自分はヒーロー作品にそこまでのものは求めていないのだが、ヒーロー作品が子供達に大きな影響を与えるのは事実だと思う。

 

ウルトラマンジード超全集』には『爆裂戦記ドンシャイン』についての様々な設定が紹介されている。又、『ジード』のBLU-RAY BOX Ⅰには特典映像として『爆裂戦記ドンシャイン』の第3話「危うしタカコ! ドンシャイン危機1秒前!」が収録されている。
因みにドンシャインの声を担当しているのはかつてvoyagerのメンバーであった山口智広さん。

 

キメラベロスから脱出したジードを見たゼロは「遅いぞ、ウルトラマンジード」と言い、それを聞いたジードは「主役は遅れてくる。前にそう言っていましたよね」と返す。これは「運命を越えて行け」を踏まえた台詞。こういうやりとりはベタではあるが、主人公の成長が分かりやすくて良い。

 

戦いの舞台を地球に移し、voyagerの『フュージョンライズ!』をバックにジードがフォームチェンジを駆使してキメラベロスを追い詰め、戦うジードの姿に人々が声援を送るようになる展開は『ジード』でも特に燃える名場面!
おそらく何歳になっても自分はこう言う場面で涙腺が緩むんだろうなぁ。

 

マグニフィセントにフュージョンライズしたジードを見たキメラベロスは「ウルトラの父か。ケンには怨みがある。容赦せん!」と叫ぶ。
ウルトラの父の本名はケンであるが、今ではウルトラの母もケンの事を名前で呼ばなくなったので、ひょっとしたら、今もケンの事を名前で呼ぶのはベリアルだけなのかもしれない。
ベリアルはゼロに執着しているが、マグニフィセントを見た時は半分はゼロの力で構成されているフォームなのにベリアルにはケンしか見えていないと言うのが興味深かった。やはりベリアルにとってケンは特別な存在なのだろうなぁ。

 

ライハのリトルスターを受け取ったジードはベリアルとキングの力を融合させたロイヤルメガマスターにフュージョンライズする。
以前にも書いた事があるが、ウルトラマンはオールマイティな存在なので特定の属性に落とし込むのが難しいところがある。だからか、ウルトラマンの力を組み合わせる場合、属性の組み合わせより人間関係を意識した組み合わせが多く、『オーブ』のバーンマイトや『ジード』のソリッドバーニングのような師弟、『オーブ』のエメリウムスラッガーのような親子、『ジード』のマグニフィセントのようなベリアルのライバルと言った感じになっている。
今回登場したロイヤルメガマスターも人間関係から考えられた組み合わせで、ベリアルの息子であるリクがあえてベリアルの力を使い、そこにキングに認められて与えられた力を合わせる事で、今までキングに何度も野望を阻止されてきたベリアルをジードが超えた事を示した。
それに対してベリアルのキメラベロスはファイブキングとゾグ(第2形態)と言う同じ平成三部作に登場した敵ではあるが両者にそれほどの繋がりは無いと言う組み合わせになっていて、ベリアルが人間関係より戦闘力を重視している事が分かる。
フォームチェンジするだけでここまでのドラマとテーマを込める事が出来るのが実に面白い。

 

「馬鹿な……! 貴様、認められたと言うのか!? キングに!」。
かつてベリアルを宇宙牢獄に封印し、『ウルトラ銀河伝説』で復活したベリアルに対してゼロを派遣し、『ベリアル銀河帝国』ではベリアルが光の国に送り込んだダークロプス部隊を倒すのに貢献し、クライシス・インパクトでは宇宙と融合する事で宇宙の崩壊を回避させるとベリアルの計画を何度も阻止してきたキングだが、ベリアルがキングについて言及するのは実は珍しい。この言い方だと、ベリアルはキングに認められたかったように思えるが……。

 

ロイヤルメガマスターはウルトラ6兄弟の力も使う事が出来る。
『ギンガS』のギンガストリウムもウルトラ6兄弟の力を使う事が出来るものだったが今回はそれにベリアルとキングの力も加わっている。インフレが凄い……!

 

ロイヤルメガマスターはマントにヒゲと主人公ウルトラマンとは思えないゴージャスなデザイン。
体のラインはベリアルに近いが色がキングの紫になっているのでベリアルの印象はかなり薄れている。こうして見ると「ベリアルがキングの力を得た」と言う感じになっているのかな。
因みに「ロイヤル」は「王」と言う意味がある。

 

今回の話で遂にベリアルは倒された。
しかし、ベリアルは何度倒されても必ず復活する。
そんなベリアルを「倒す」のではなく「終わらせる」事になるのはもう少し後のお話。

 

戦いが終わった後、星雲荘に帰って来たリクが「ただいま」を告げる相手がライハだったり、『ジード』の名前の由来が「ジーッとしててもドーにもならない」を略したモア由来のものから「遺伝子の「GENE」と運命の「DESTINY」を合わせた「GEDE」の「E」と「D」をひっくり返す事で「運命をひっくり返す」」としたライハ由来に変えた事でリクの心にいる女性が決まった事が分かる。
因みにドンシャインのヒーローショーの場面で少年時代のリクには親と言う家族がいなかったが、そこにライハがやって来ている。「僕が僕であること」で語られたようにリクには親と言う家族はいなかったが新しい家族を得る事が出来たようだ。

 

 

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ウルトラヒーローシリーズ 47 ウルトラマンジード ロイヤルメガマスター