「よみがえる巨獣 ーゴモラ登場ー」
『ウルトラマンパワード』第11話
1994年7月25日発売(第6巻)
脚本 ティム・レーネーン(原案 伊藤和典)
監督 キング・ワイルダー
特殊効果 ジョセフ・ビスコーシル
古代怪獣ゴモラ
身長 65m
体重 5万5千t
チリのアンデス山脈でミイラの状態で発見された、1億8千万年以上前の湿地帯に生息していた古代恐竜ゴモラサウルスの一種。
恐竜館に置かれていたが大量の雨を吸って復活する。水牛のように暖かくて湿った気候を好むので川の中に潜んでいたが、浅瀬に上陸したところを麻酔弾を受けて捕獲される。スカイハンターでの移送中に麻酔が切れた為に暴れ出し地上に落とされてしまう。よろめきながら街を破壊しているところをパワードの攻撃を受けて力尽きた。その後、亡骸は恐竜館に展示される事となった。
物語
1億8千万年以上前の古代恐竜ゴモラサウルスの一種がミイラ状態で発見され、恐竜館に置かれる事になった。
しかし、大量の雨を吸ったゴモラは活動を再開する。
感想
原題は「Dino Might」。
「恐竜の力」かな?
今回の話は『初代マン』の「怪獣殿下 前篇」「怪獣殿下 後篇」のリメイクとなっている。
ゴモラ発見を伝える番組で「恐竜達が歩き回っていた時代にタイムトラベルです」と言う台詞があるが、実際はゴモラの方が自分以外には恐竜が1匹もいない時代にタイムスリップした感じだったろう。
番組を見たカイは「生きた恐竜が蘇ったら科学の歴史が塗り替えられる」と言うが、怪獣がこれだけいながら恐竜発見に驚くものなのかな。仮に怪獣と恐竜を区別したとしても恐竜扱いのチャンドラーが既にいるわけだし。それとも絶滅した種族を科学で蘇らせる事が重要なのかな。
ゴモラの監視を頼まれていながら何の役にも立たなかった警備員。
ただ怯えていただけなのに翌日のTV取材には勇敢にゴモラと戦ったと言っていた。オイオイ……。
サンダースも言っていたが、あれほどデカイ奴が叫び声を上げて夜の街を歩いていたのに誰も気が付かなかったのは変だ。嵐の音でかき消されたのだろうか?
ゴモラを発見したのは長谷川博士。日本人が出るとは思わなかったので驚いた。
ゴモラの生け捕りを願うが機転が利かない人物で、結局、ゴモラを見付けられたのはカイのおかげであった。
それにしても、昼間に街のど真ん中を流れる川からゴモラの角が出ているのに、どうして誰も気付かない?
W.I.N.R.はゴモラが浅瀬に上陸したところを麻酔弾で眠らせて捕獲すると、スカイハンターのクレーンで移送するが、この場面に使われたゴモラの人形が着ぐるみと雰囲気がえらく違う。
ゴモラの体は乾燥していて全身に麻酔が回らず途中で起きてしまう。
サンダースはストライクビートルでスカイハンターのクレーンを切断してゴモラを切り離そうとするが、ヘリウムタンクへの誘爆の危険を感じたエドランド隊長は「撃つな! 絶対に撃つなよ!」と命令。しかし、サンダースは「撃てって!? 了解!」と撃ってしまう。でも、言うだけあって、誘爆させずにクレーンの切断に成功する。
上空から落とされたゴモラ。落ちた先は運悪く人間が住む街だった。カイは人々を避難させると言って隠れてパワードに変身する。しかし、ゴモラにはパワードと戦うだけの力は残っておらず、戦いの途中で力尽きて倒れてしまう。
パワード、W.I.N.R.、長谷川博士、そして街の人々に見守られながら、ゴモラは静かに息を引き取った……。
全てが終わり、TVのレポーターが事件を締めくくる。
「ゴモラは死ぬ必要があったのか? 再び地上を歩く事はあるのか? それは謎です。しかし、ゴモラの復活は、まさに驚くべき出来事でした」。
その後ろを通り過ぎるW.I.N.R.の隊員達。
恐竜館にやって来たカイは呟く。
「ゴモラには我々が怪獣に思えたのかもしれませんね」。
そこにはゴモラの剥製が雄々しく展示されていた。
『初代マン』のゴモラも人間の犠牲者だったが初代マンを上回る強さで暴れていたので見ている間は「可哀相」と言う印象は薄かった。しかし、今回のゴモラは周りに翻弄され続け、それに抗うだけの力も持っていなかったので本当に可哀相な存在に見えた。
『パワード』の怪獣はあまり上手く動けていないが、今回はそれが逆に良い効果を生み出していた。