「第三番惑星の奇跡 ー完全生命体イフ登場ー」
『ウルトラマンマックス』第15話
2005年10月8日放送(第15話)
脚本 NAKA雅MURA
監督・特技監督 三池崇史
完全生命体イフ
身長 第一型・4m 第二型・27m 第三型・31m 第四型・52m 第五型・54m
体重 第一型・3万2千t 第二型・3万5千t 第三型・4万3千t 第四型・4万6千t 第五型・4万9千t
地球に落下した「ただの白い塊に過ぎなかったもの」。
周囲と同じ温度で脈拍も呼吸も見受けられない物体であったが、DASHの攻撃を受けて変化。火で焼こうとしたら火を噴くものに、ミサイルで攻撃したらそれを撥ね返すものになり、攻撃すればするほど強力になっていく。マックスのマクシウムカノンで爆散するもマックスの姿を模した人型に変化しマックスの能力も取り込んでしまった。
街を破壊し人々に絶望を齎すが、アッコちゃんが『別れの曲』を奏でると音楽を奏でるものとなり、最後はマックスに導かれて宇宙へと還って行った。
劇中ではただの白い塊である第一型、火で焼かれて醜く爛れた第二型、四足の化け物となった第三型、人型になった第四型、楽器の塊となった第五型が出ている。
物語
ミズキ隊員の知り合いであるアッコちゃんの演奏会が迫る中、謎の存在イフが現れる。
地球上にある全ての兵器を集めて一斉に攻撃しても、その全てを撃ち返すものに育ってしまうイフ。
世界が絶望に覆われる中、全てを失ったアッコちゃんは楽器を手にイフの所に赴く。
感想
「もし」最初に攻撃を仕掛けていなかったら、あれだけ「畏怖」をもたらす存在にはなっていなかったかも?
ウルトラシリーズ最強怪獣議論で名前が挙がる怪獣の一体であるイフ。
あらゆる攻撃を受けても、それをさらなる力で押し返すイフの存在はまさに無敵。
まぁ、物語を見ていたら「最強」とか「倒し方」とかを考える事自体が違っているのだが……。
紅蓮の炎に焼き尽くされた廃墟の街を裸足の少女が泣き叫びながら歩くと言う絵が物凄いインパクトを誇る今回の話。
今回は脚本や演出も凄いが、やはりアッコちゃん役の佐々木麻緒ちゃんの演技に目が行く。個人的な意見であるが、ウルトラシリーズでここまで演技力のあった子役を自分は知らない。
アッコちゃんは孤児院に預けられていた。両親がいなくて独りぼっちと言う話だが、これは両親が死亡したのか、両親に捨てられたのか……。
昭和ウルトラシリーズでは親を亡くした子供が多くいたが、平成ウルトラシリーズでは少なくなった。
ミズキ隊員とアッコちゃんはどのように知り合ったのか気になる。
アッコちゃんとの関係がもっと明確だったら、イフを攻撃して事態を悪化させたミズキ隊員の暴走にももう少し納得が出来たと思う。
イフを前に打つ手が無いマックスは悔しさを滲ませながら一時退却する。
暴れる怪獣を前にマックスが撤退するのはこれが初めて。
イフの倍返しに手も足も出ないマックスとコピーされたマックスの光線技で破壊されていく街の場面は絶望感が凄かった……。
わずか2話前にあのゼットンが登場していると言うのに、それを上回る絶望が出てくるとは……。
今回の戦いで一つ気になったのは、どうしてマックスギャラクシーを使わなかったのか?
使ったところでイフが倍返しをするのは分かるが、イフがどのように変化するのか見てみたかった。
破壊された公会堂に居座ったイフはエリーの分析によると「眠っている」らしい。
最初は脈拍も呼吸も見受けられなかったが人間やマックスからの攻撃をコピーした事で生物になったと言う事だろうか?
アッコちゃんは防災頭巾を被ってイフに会いに行っている。
原爆ドームを連想させる公会堂等、この辺りは戦争をイメージしているように見える。
『マックス』の世界観に合わせて解釈するなら、怪獣出現が続いたので防災頭巾が配布されるようになったと言うところかな。劇中に描写は無いが、避難訓練や怪獣警報みたいなものもあるのかもしれない。(因みに『80』の「大空より愛をこめて」でノンちゃんが防災頭巾を被って怪獣による空襲警報を知らせる場面がある)
マックスが敗れ、イフによって世界が蹂躙される中、ヒジカタ隊長は「太陽系第三番惑星……、滅びるにはまだ……惜しい者達が住む星だ……」と決意を新たにする。
しかし、DASH、ミズキ隊員、マックス、どんな力をもってしてもイフを「倒す」事は出来なかった。
そんな中、アッコちゃんが奏でた一つの音楽が事態を終息に向かわせる。
それを見たミズキ隊員はアッコちゃんを守る為に構えた、全ての引き金となった自分の銃に目をやり、マックスもマクシウムカノンもマクシウムソードもマックスギャラクシーも使わず、ただ静かにミズキ隊員を促す。
ヒジカタ「攻撃には攻撃……。音楽には音楽か……。……世界は美しい」、
コバ「その世界を……、たった一人の女の子が助けてくれた……」、
ショーン「いつか……DASHを解散できる日が来ると……イイね」、
ヒジカタ「あぁ……、本当の平和が地球に訪れた時だからな……」。
そして世界に再び光が訪れる。
アッコちゃんがピッコロで奏でた音楽はフレデリック・ショパンが作曲した『別れの曲』。正式名は『練習曲作品10第3番ホ長調』と言うらしい。
DVDに収録されている「もうひとつのエンディング」はまさに「我々は……決して開けてはならないものを開けてしまった……」内容である。
そして次回予告w