帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「恋するキングジョー」

「恋するキングジョー -変身怪人ゼットン星人 侵略ロボットキングジョー登場-
ウルトラマンマックス』第14話
2005年10月1日放送(第14話)
脚本 上原正三
監督 八木毅
特技監督 鈴木健二

 

変身怪人ゼットン星人
身長 ミクロ~190cm
体重 ミクロ~135kg
夏美の知り合いである松本健を催眠術で操ってキングジョーのロボットを作らせた。
ゼットンの娘として超生命体に育て上げた夏美に憑依するが、最後は自らゼットンの呪縛を振りほどいた夏美の手にかかって倒された。
隠し事が出来ず、自分の手の内を次々にバラしてしまう。

 

侵略ロボットキングジョー
身長 2~56m
体重 75kg~5万t
松本健が作った人間大ロボットと4基の宇宙戦闘機が融合して誕生した巨大ロボット。
分離合体機能を使って相手の攻撃を避ける。ビームを放ち、自分の体を突進させて相手を攻撃する。
ゼットン星人に憑依された夏美に操縦されるが、夏美がゼットン星人の支配を逃れた事で動きが鈍ったところをマクシウムカノンで破壊された。

 

物語
ゼットンは倒したもののゼットン星人が地球に送り込んだ宇宙戦闘機の行方は依然として不明であった。
休暇を貰ったカイトはゼットン星人から夏美を守ると言う特命を受ける。
果たして、夏美はゼットンの呪縛を振りほどく事が出来るのか?

 

感想
ゼットンの娘」の続き。

 

今回の前後編は下町の情緒溢れる光景が全編に亘って描かれている。
『初代マン』が放送されていた頃を再現したらしいが、『初代マン』ではこのような放送当時を思わせる描写は極力外されていたので、『初代マン』放送当時の雰囲気を再現しようとすればするほど実際の『初代マン』とは異なる雰囲気になっていく感じがする。(どちらかと言うと『帰マン』の方が近いかな)

 

今回はミズキ隊員のカイトへの想いを一つの軸に据えている。
カイトが休暇を貰ったと聞いた時の「相棒に断りも無く休暇だと? 許せん奴じゃ」と言うミズキ隊員が可愛かった。
いつもは同僚よりも近い間柄、くだけた間柄を示していた「カイト君」が今回は妙によそよそしい感じになっている。

 

DASHに発見された宇宙戦闘機は煙幕を張って行方を眩ますが、その煙幕には大きく「キングジョー」と書かれていた。いや、もう、頼むから自分の手の内をバラすなよ、ゼットン星人! ここで「キングジョー」と言う名前がDASHに知られてしまった事で松本健の工務店で作られた人間大ロボットが疑われる事となった。
ところで、どうしてゼットン星人は松本健に人間大ロボットを作らせたのだろうか? 因みに作り物のオモチャが本物の兵器になると言う展開は『セブン』の「アンドロイド0指令」がある。(脚本は同じ上原さん)

 

夏美を監視するDASHの変装は『セブン』の「ウルトラ警備隊西へ 後編」が元ネタ。
今回の話を繋げるならば、カイトと夏美は『セブン』のダンとドロシー博士なのかもしれないが、ダンとドロシー博士が同じ宇宙人として対話したのに対し、カイトと夏美はどちらもマックスやゼットン星人と言った宇宙人を内に秘めているが特にその辺りは強調されず、サブタイトルの通りに男女の恋愛要素が前面に押し出されていた。

 

今回の話は夏美の人生が大きい位置を占めている。
物凄く良い人物でありながら今まで辛い人生を送っていた夏美。
しかし、回想シーンが殆ど無くて全てを台詞で説明してしまっているので、どうにも感情移入しにくい。せめて母親を回想で出してほしかった。
又、夏美の不幸話と夏美の良い人描写を同時に行った事でチグハグな部分が生じている。夏美が周りの人全てに愛されるほどの良い人であった為に下町の人達が夏美を奇異の目で見ていたとは思えなくなり、あれだけ周りの人に愛されている夏美が人間をやめたくなるほど辛かったと言うのがどうにも繋がらなくなってしまっている。下町以外の人達が夏美を奇異の目で見ていたのなら、その描写を入れておくべきだった。一応、超能力の解明実験に関わったヨシナガ教授がいるが、ヨシナガ教授も夏美を悪くは言っていないし。
簡単に言えば今回は夏美を描きたかった話なのだが、あまりにも夏美に話を集中させてしまった結果、逆に夏美と言う人物の描写が支離滅裂になると言う本末転倒な結果になってしまった。

 

今回のキングジョーは重厚硬質だった平成セブン版に比べて、ややポップな感じになっていた。
今回の話でもCGによる分離合体攻撃が見られ、さらにこれまで無かったCGを駆使した空中戦も見られた。
ただ個人的にはキングジョーはペダン星人製にしてほしかった。

 

今回の前後編ではキングジョーは分離合体攻撃以外の印象が薄く、ゼットンゼットンシャッター以外の印象が薄かった。
『初代マン』のゼットンも『セブン』のキングジョーもウルトラマンの光線が通じない相手だったが、それを前後編で続けてしてしまうと両者のキャラクターが被ってしまうので、『マックス』のゼットンゼットンシャッターに、キングジョーは分離合体攻撃に描写を絞ったのだろう。
そう言えば、同じく『初代マン』ではウルトラマンの光線が通じなかったアントラーは「バラージの預言」では磁力光線でマクシウムカノンのエネルギーチャージを掻き消すと言う能力に変わっていた。これも怪獣の能力被りを避ける為の処置だったのであろう。

 

キングジョーに乗り込んで操縦する夏美。
アニメだとよくある設定だが、特撮作品で女性が巨大ロボットを操縦するのはスーパー戦隊シリーズを除けば実は少ない。ウルトラシリーズでもあまり無かったが、『Z』ではレギュラーキャラであるヨウコ隊員がストレイジのエースパイロットで色々なロボットを操縦している。

 

「私を守る。カイト、お前はそう言った! さぁ、守ってみよ!」と言っているので、ゼットン星人に憑依された後も夏美の記憶は残っているようだ。とは言え、その思考は完全にゼットン星人のものなので、憑依された事で人格が変化したと言う感じかな?

 

マックスがギャラクシーカノンでキングジョーを足止めしている間にカイトは夏美の心に訴えかける。そしてキングジョーを見事倒すが、ゼットン星人は夏美とカイトをゼットンゾーンに引きずり込む。
ウルトラシリーズで巨大戦の後に人間大戦が行われるのは大変珍しい。

 

カイトの訴えを聞いた夏美は遂にゼットンの呪縛を振りほどく。
ゼットンビーム剣が光る剣なので、どうしても『スター・ウォーズ』のライトセイバーを思い出す。

 

今回の前後編はゼットンとキングジョーが再登場し、新しいウルトラマンであるゼノンやウルトラマン用の新アイテムであるマックスギャラクシーが登場しているが、サブタイトルが「ゼットンの娘」「恋するキングジョー」と夏美のドラマに合わせている事からも分かるように怪獣やウルトラマンではなく小田夏美と言う一人の女性を描いた話となった。

 

今回の話は2020年に亡くなられた上原さんのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。
上原さんはウルトラシリーズだけでなく、仮面ライダーシリーズ、スーパー戦隊シリーズメタルヒーローシリーズでも多くの脚本を書かれている。

 

 

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  • 発売日: 2012/10/26
  • メディア: DVD