帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「爆撃、5秒前!」

「爆撃、5秒前! ー電脳珍獣ピグモン 装甲怪獣レッドキング 両棲怪獣サラマドン 飛膜怪獣パラグラー登場ー
ウルトラマンマックス』第6話
2005年8月6日放送(第6話)
脚本 たけうちきよと
監督 栃原広昭
特技監督 鈴木健二

 

装甲怪獣レッドキング
身長 60m
体重 7万t
超古代にサブジェクト・ファントムで暴れ回っていたが宇宙人に地中に埋められ、そのままピグモンの石像によって封印されていた。
ピグモンを狙い、サラマドンとパラグラーを倒し、マックスにも戦いを挑む。
底無しのスタミナを誇っていたが体内に有していた岩石が底を突くと最後はマックスに宇宙に運ばれてマクシウムカノンで爆破された。

 

電脳珍獣ピグモン
身長 150cm
体重 95kg
宇宙人が人類とコンタクトを取る為に作った生体コンピューター。
人語を発する事は出来ないが接触する事で意思の伝達が可能で、宇宙人はピグモンを介してサブジェクト・ファントムに文明を授けた。
自分を守る為に存在するサラマドンやパラグラーを鎮める事が出来、レッドキングを封印する等、サブジェクト・ファントムの安全装置としての機能もある。
最後はサブジェクト・ファントムと日本の衝突を防ぐ為に自ら石像になってサブジェクト・ファントム自体を封印した。

 

被膜怪獣パラグラー
身長 58m
体重 2万8千t
ムササビのように両手足の間に被膜を張って飛行突進攻撃を行う。
サラマドンと同じくピグモンを守ろうとしてマックスやレッドキングに戦いを挑む。
レッドキングに向かって飛行突進攻撃したところを岩石投げで撃墜され、最後は岩石攻撃を受けて倒されてしまった。

 

物語
ピグモンを狙う怪獣とピグモンを守る怪獣が激突!
日本に迫るサブジェクト・ファントムに向けて燃料気化爆弾コスモ・ディーバの発射が決定される中、DASHはカイトとミズキ隊員の救出に向かう。

 

感想
出現、怪獣島!」の続き。

 

超古代文明は宇宙人の智慧を借りて作られたと言う説があるらしく、実際、サブジェクト・ファントムはピグモンを介した宇宙人によって文明が授けられていた。
ピグモンはどの作品でも何故か人類に友好的だったが本作ではコンタクト用の生体コンピューターだったので人類に友好的だったと考えられる。
超古代ではレッドキングから人類を救ったピグモンが現代では人類に襲われてしまう。人類の業は深い。

 

ピグモンを守る為に存在していたサラマドンとパラグラーも同じ宇宙関係の怪獣と考えて良いのかな。もしそうなら地球怪獣のレッドキングが宇宙怪獣のサラマドンとパラグラーを倒したのは『初代マン』の「怪彗星ツイフオン」で地球怪獣のレッドキングが宇宙怪獣のドラコを倒したのが元ネタなのかもしれない。

 

怪獣と一緒に暮らして宇宙人とも交流があって高度な科学力を持っていた超古代文明ですらレッドキングと言う圧倒的な力の前に滅んでしまった。後の「イジゲンセカイ」には別個体のレッドキングが登場しているので、ひょっとしたらレッドキングは複数で暴れ回ったのかもしれない。
サブジェクト・ファントムの石板にはレッドキングの出現を「大地は驕れる民に牙を剥かん」と記していて、ヨシナガ教授は「驕れる民」を現代の人類に当てはめて考えた。ひょっとしたら、レッドキングは後の「バラージの預言」に登場したアントラーのように地球の意思が関わっていた怪獣だったのかもしれない。

 

「考古学者にとってピグモンは貴重な研究材料」と訴える進藤に対し、ミズキ隊員は「その傲慢な考えが怪獣を怒らせた」「この世界に生きているのは人間だけではない」と返す。
後者の発言はさり気に後のデロスの民の話に繋がっているような気がする。

 

サブジェクト・ファントムが日本に激突したら島の岩石が爆発して日本に多大な影響が及ぶ。そこでUDFパリ本部が下した決断は燃料気化爆弾コスモ・ディーバによる爆撃であった。
日本国民の生命と財産を守る為、サブジェクト・ファントムに残っているカイトとミズキ隊員を諦めろと言う命令に敢然と反対するヒジカタ隊長がカッコ良い。その後の「望んでいた事じゃないですか」「……頼んだぞ」と言うヨシナガ教授とトミオカ長官のやり取りも良い。第2期ウルトラシリーズでは憎まれ役の上司がよく出てきたが『マックス』では上司二人とも理解のある人物となっている。

 

最初はコスモ・ディーバによるサブジェクト・ファントム爆撃に反発していたコバ隊員だったが、次の場面ではもう時間が無いからとカイトの事を諦めるようミズキ隊員を説得していた。
今回の話は他にも足を負傷しているミズキ隊員がカイトを探しに行って、負傷していないコバ隊員とショーン隊員が先に島を脱出していたりと不自然な展開があったのが残念。

 

コスモ・ディーバは発射1秒前に発射中止となったが、やはりここはタイトル通りに発射5秒前にしてほしかった。
サブジェクト・ファントム出現やコスモ・ディーバ発射等、今回は妙に細かい時間表示がされていたが、あまり活かされていなかった。

 

コスモ・ディーバによるサブジェクト・ファントム爆撃前にカイトとミズキ隊員を救出できる可能性はわずか3%。こんな確率の低い作戦に賭ける人間をエリーは理解出来なかったが、それを成し遂げたDASHを見て人間の可能性は時に論理的数値を超える事を知る。
笑顔で帰還するDASHメンバーを見て、作られた笑顔ではない、心からの笑顔をエリーが手に入れる展開が素晴らしい。

 

一緒にサブジェクト・ファントムから出ようと言うカイトに向かってピグモンは別れを告げる。そしてピグモンの姿が見えなくなると一つの赤い風船が空へと飛んで行った。
これはピグモンが昇天すると言う意味合いがあるらしい。
ピグモンと赤い風船の組み合わせは『初代マン』の「怪獣無法地帯」が元ネタなのだろうが、『マックス』本編の描写に限るとどうしてここで赤い風船が?と言う疑問が出てしまう。
他の作品でも度々見られるが、昔の話を元にしているので元ネタを知らないと完全に理解できない展開や演出になってしまうのは問題だと思う。オマージュも良いが、それとは別に一つの話として成り立つようにしてほしい。

 

脚本のたけうちさんはウルトラシリーズは今回の前後編のみの登板となっている。

 

 

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