「ガーディアンエンジェル」
『ウルトラマンタイガ』第17話
2019年10月26日放送(第17話)
脚本 柳井祥緒
監督 武居正能
セモン星人ミード
ちゃちな詐欺や泥棒を専門にしている小悪党で外事X課時代のカナに何度か捕まえられている。
母星に帰る為の資金を手に入れる為にヴィラン・ギルドの怪獣誘導装置を転売しようとして命を狙われる事になる。
事件解決後、カナを庇って霧崎に撃たれて命を落とした。
昆虫宇宙人クカラッチ星人
身長 170cm
体重 75kg
ヴィラン・ギルドの裏切り者でミードから怪獣誘導装置を手に入れようとした。
事件解決後、外事X課に逮捕される。
宇宙怪人ペダン星人
身長 2m
体重 50kg
ヴィラン・ギルドの構成員で怪獣誘導装置を転売しようとしたミードやクカラッチ星人を始末しようとした。
E.G.I.S.や霧崎に倒され、外事X課に逮捕される。
熔鉄怪獣デマーガ
身長 50m
体重 5万5千t
怪獣誘導装置で出現した怪獣。
炎の力で戦うが最後はトライストリウムのタイガブラストアタックで倒された。
物語
カナの外事X課時代の知り合いであるセモン星人ミードがE.G.I.S.に逃げ込んできた。
E.G.I.S.は星に帰ろうとするミードをヴィラン・ギルドから護衛する事になるが……。
感想
ウルトラシリーズに登場する宇宙人はその星を代表するエリートだったり、星を代表していなくても少なくとも地球人よりは優れた存在である事が多かったので、今回登場したミードのような落伍者タイプは珍しかった。ニュージェネレーションシリーズになってからこのタイプの宇宙人が少しずつ増えてきた感じがする。
様々な宇宙人によって構成されている組織は過去にもエンペラ軍団等があるが、エンペラ軍団がエリートの集まりのような感じになっているのに対して、ヴィラン・ギルドはそれぞれの星からはみ出した落伍者達が繋がって出来た組織と言う感じになっていて、その辺りでもこれまでの組織とは違ったイメージになっている。
ミードは悪人だ悪党だと言うのではなくて「自己中心的な人物」なのだと思う。
人は誰しも自己中心的なところがあるが一方で「これをしたら他の人に迷惑がかかる」とブレーキを掛けるところもあってそのバランスで成り立っているのだが、ミードはその「他人への迷惑」と言う意識が低い人物なのであろう。だから、平気で物は盗むし人は騙すし転売した怪獣兵器で多くの犠牲者が出ると言う事にまで考えが及ばない。
ミードの話をどこまで信じて良いのかと言う疑問はあるが、「普通の宇宙人が地球での生きづらさから犯罪に手を染めるようになる」と言うのはこれまでのウルトラシリーズではあまり取り上げられなかった話である。環境によって犯罪者が誕生すると言うのは現実の社会問題と重なるところがあって色々と考えさせられる。
逮捕されたミードに向かってカナは「今度こそ立ち直って」と言うが、おそらくミードはあのまま生きていても再び犯罪に手を染めていたと思われる。でも、このくらい相手を信じたいと思っていなければ国家組織を離れて独自に活動していくなんて出来ないんだろうな。
セミ少女の話で外事X課は非人道的な組織と言う印象が出来たが、今回ミードを逮捕した職員はミードとカナの会話を許可しているので、外事X課に所属している人間全てが非人道的と言うわけではなさそうだ。
しかし、いくら所属している人間が人道的でも外事X課のような仕事をする組織が綺麗事だけではやっていけないのも事実で、カナが外事X課を離れてE.G.I.S.を立ち上げた理由もそこにあると思われる。
ミードはカナを騙して利用していたし、あのまま怪獣誘導装置を転売していたら多くの人が犠牲になっていたので、カナを助けた事で罪滅ぼしが出来て実は良い人だったとなるのはちょっとなぁ……と思っていたら、ウルトラマントレギア様が街が怪獣に破壊される原因となった悪人ミードを始末してくれた。
仲間や街の人々が危険なので変身したのに戦いでふざけて危機に陥るタイガはちょっといただけない。
デマーガの背中から空に向けて放たれる火炎弾に苦戦するタイガを見て思ったが、意外とウルトラマンは上からの攻撃を防ぐ能力って少ないよね。
トライストリウム誕生のきっかけとなった事でトレギアのターゲットがヒロユキに変わる。
今までは余裕綽々で相手を煽ったり追い詰めたりしていた霧崎だが今回は平常心を装っているように見えて内心はかなりイラついているのが分かる。
ヒロユキとタイガに向かって「私の名は……ウルトラマントレギア」と名乗るトレギア。
これまで主人公がヒーローとして生きたり戦ったりしていく事を決意する時に「ウルトラマン」と言う単語を使う時があったがトレギアは自分を「悪」とした上で「ウルトラマン」と名乗ってきた。あのベリアルですら「お前はウルトラマンだろ?」と指摘されて戸惑った事があると言うのに……。
画面越しに煽ってくる場面等、今回はトレギアの初登場となった『セレクト! 絆のクリスタル』を思い出す演出もあって、劇場版『R/B』から続くトレギアの物語に一本の筋が通った感じがした。
民間警備組織 E.G.I.S.
— ウルトラマンブレーザー公式 (@ultraman_series) 2019年10月28日
宗谷ホマレの業務報告書#ウルトラマンタイガ#イージス業務日誌https://t.co/q3El8klE8S pic.twitter.com/70TaLBhqsy
【監督コメント付】『ウルトラマンタイガ』次回予告 第17話「ガーディアンエンジェル」"ULTRAMAN TAIGA" episode17 Preview + Director interview !!
「黄金惑星の激闘」前編
『トライスクワッド ボイスドラマ』第17回
文芸・演出 足木淳一郎
『ザ☆ウル』の後日談。
ウルトラシリーズは昔の作品のキャラクターや設定や展開を引き継いだ話がいくつかあるが、『ティガ』と『ダイナ』を除くと特別チームの隊員の話が後の作品で再び取り上げられる事は珍しい。あの『メビウス』でも特別チームの隊員の話は意外と少なかった。なので、今回の話でゴンドウキャップについて触れられたのは嬉しかった。これもボイスドラマの利点かなと思う。
今回は『ザ★ウルトラマンタイタス』の後日談にもなっていて、タイタスはスターシンボルを与えられている。
他の惑星と交渉するウルトラマンと言うのは今まであまり見た事が無かったが、宇宙のあちこちで活動しているのだからこう言う会談とかもあって当然。むしろ、付き合いが長いのにこう言うのが殆ど無かった地球との関係が珍しいのかもしれない。
『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』でもユリアンが惑星カノンのイザナ女王と会見しているが、今後はウルトラマンの政治活動も見られるようになっていきそうだ。
【ウルトラマンタイガ】『トライスクワッド ボイスドラマ』第17回「黄金惑星の激闘 前編」-公式配信- "Tri-Squad Voice Drama" episode 17