帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ゼルダポイントの攻防」

ゼルダポイントの攻防 ーシーラ登場ー
ウルトラマンティガ』第32話
1997年4月12日放送(第32話)
脚本 太田愛
監督・特技監督 北浦嗣巳

 

怪鳥シーラ
身長 62m
体重 4万t
北海道羅臼岳から出現して真っ直ぐにゼルダポイントを目指し、ガッツウイングと衝突して負傷しても浅間山で休んで再び飛び立った。その正体は20年前に根津博士の娘・麻美と一緒にゼルダガスの犠牲となった小鳥のシーラであった。
ゼルダガスを憎んで破壊しようとしていると思われたが本当はゼルダガスを飲み込んでこの世から無くす事が目的だった。
GUTSやティガとの戦いで力尽きてしまうが、GUTSによってその亡骸は宇宙へ運ばれる。死亡した根津博士の魂と一体化して光の鳥となり、その頭では麻美が笑っていた。最後はティガが作った光の道に導かれて成仏した。
正式名称は「シーラキート」と言うらしい。

 

物語
真っ直ぐにゼルダポイントを目指す謎の怪鳥。そこには20年前のある悲劇と一人の科学者の苦闘が秘められていた。

 

感想
旧防衛軍の秘密事項ゼルダポイント。そこには日本の十分の一を消滅させられる程のゼルダガスが封印されていた。イルマ隊長が知らなかったので、おそらくは付近の住民にも何も知らされていないだろう。
『ティガ』のTPCやGUTSは理想的な組織として描かれる事が多いが今回のような組織の闇の部分が描かれる事もあり、それらは後のエボリュウ細胞やF計画等に繋がっていく事になる。

 

いきなりGUTSの通信を占拠してシーラに対して危険な正面攻撃を仕掛けろと命じるサワイ総監。ゼルダガスの危険性を考えたら仕方が無い判断だが、やっぱりこの役回りはヨシオカ長官の方が合っていたと思う。

 

シーラとの衝突で負傷したムナカタリーダーだったが「指揮官は体じゃなく頭を使うもの」として出撃する。この辺りはしっかりと役割分担が出来ているGUTSならではの描写であった。

 

ムナカタリーダーと一緒にシーラとの衝突で負傷したダイゴ。
ティガに変身するとダイゴの傷がそのままティガに現れる。以前は何とも無かったのだが今回は傷が深かったからなのかな?

 

ムナカタリーダーの負傷に激怒したシンジョウは根津博士に掴みかかるが根津博士の真意を知って謝る。その後、気合を入れてシーラを攻撃するが今度はシーラの真意を知って涙し、力尽きたシーラの最後の望みを叶えるんだと言うムナカタリーダーの命令に涙を堪えて応える。
ダイゴは喜怒哀楽をハッキリと出さないタイプなので、こう言う感情面が強いドラマではその時の感情をハッキリと表に出すシンジョウが目立つ事が多い。

 

20年前、北海道エネルギー開発所所長だった根津博士は偶然にもゼルダガスを開発するが学会ではなかなか受け入れられず、さらに自宅に置いていたサンプルが爆発して辺り一帯が消滅して一人娘の麻美と小鳥のシーラも死んでしまい、「呪われた科学者」として学会を追放されてしまった。
特撮では「学会を追放された科学者」がよく出てくるイメージがあるがウルトラシリーズでは意外と少ない感じがする。

 

今回登場のシーラは見ていて泣ける存在。
麻美との思い出を反芻させ、ガッツウイングに落とされ、血反吐を吐く。ティガとの戦いでは炎を吐くが、それも途中で尽きてしまう。それでも懸命にゼルダガスを無くそうとする。ティガの怪我しているところを執拗に攻撃したが、その後、倒れたティガにゴメンと謝っているように見えた。
自分はこう言う動物が頑張っている姿に弱い。

 

実はシーラは麻美に逃がされていた事が分かるが全身に大火傷を負っていて生き延びられたとは考えにくい。ゼルダガスを無くす為にシーラの魂が怪獣化したと考えるべきだろう。
なぜ今になって現れたかだが、シーラと根津博士の苦しむ姿が重なっているので、ゼルダガスを無くしたいと願う根津博士の想いがシーラの魂を呼んだとも考えられる。

 

最後の場面は『初代マン』の「恐怖のルート87」を思い出す。

 

同じ個体かどうかは明言されていないが、『トライスクワッド ボイスドラマ』の「風と花」前編で「金色に光る青い目の美しい鳥」と言うシーラを思わせる台詞がある。


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