「怪獣動物園 ーキングモーラット登場ー」
『ウルトラマンティガ』第30話
1997年3月29日放送(第30話)
脚本 斎藤和典
監督 原田昌樹
特技監督 大岡新一
変異怪獣キングモーラット
身長 66m
体重 5万8千t
地下に捨てられた廃棄物を食べて巨大化したモグラネズミの変異体。
いきなり地中から現れてハラすかせてグーグーと人騒がせな怪獣。
光に弱く、夜になると食料を求めて動き出す。牙が伸び、耳から電流を発する。
ティガ・マルチタイプのセルチェンジビームで全ての細胞を同じ比率で縮小され、その後は山さんに飼われる事となった。
英語でモグラは「モール」、ネズミは「ラット」なので合わせて「モーラット」。愛称は「モラちゃん」。
物語
ダイゴと動物園に行ったレナは檻に入れられている動物を見て怪獣も檻に入れれば殺す必要が無いのではと考える。
感想
「うたかたの…」で取り上げられた「怪獣との共存」を引き継いだ話。
「檻に入れたら怪獣を殺す必要は無くなる」「動物は人間に制御可能な存在で、怪獣は制御不可能な存在」と言う考えは後の『コスモス』に繋がる。
怪獣が現れた事自体が大事件なので怪獣が暴れる前に仕留めようと言うシンジョウに対してレナはそれは人間の勝手な考えでキングモーラットは恐がりでおとなしいかわいい奴かもしれないと反論する。
悪いが、レナのその考えも人間の勝手な考えと言う可能性がある。
レナの「怪獣だからと言って悪い奴とは決め付けられない」は正しいが「怪獣と動物の違いはその大きさで、小さくしてしまえば良い」と言う展開はちょっと乱暴だったと思う。
確かにデバンのような小さくて悪くない怪獣もいるが、大きくても悪くない怪獣はどうするのか。それらの怪獣を全て小さくしていくのは「うたかたの…」でレナが批判した「人間に都合の悪い存在は排除する」と近い話になってしまう。
レナの意見を聞いてGUTSは攻撃を一旦中止するのだが、キングモーラットが再び動き出すまで何の対策も取らなかったのはシンジョウが言うとおり甘かった。キングモーラットの周りに檻を作っておくか、人間に被害が及ばない場所に移動させるか。せめて山本さんと牛は避難させるべきだった。
レナの訴えを聞いたティガは極限までエネルギーを消耗させるセルチェンジビームでキングモーラットを縮小する。
この後に「神の成せる業だ」と言うホリイの言葉にダイゴが顔を曇らせるのが細かい。
ダイゴは人間でティガに変身した後も人間として行動しているが、ティガの存在や力は人間を遥かに超えた神の領域であった。
今回の話で「悪魔の審判」でのダイゴとレナのデートの約束が果たされる。
ホリイがツッコんでいたが、2人の仲はどこまで周りに知られているのだろう?
今回は細かいところで色々な笑いが入れられているが、一番笑えるのは墜落コンビであった。もう何機落っことしたか数えられないほど墜落して、最後はムナカタリーダーにガッツウイングを修理してから帰るように命令されてしまう。
これまでのウルトラシリーズには無いやり取りであった。
今回の話は斎藤和典さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。
因みに今回の話を担当している斎藤さん、原田監督、大岡監督は同時期の『ゼアス2』にも関わっている。