帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「移動要塞浮上せず!(後編)」

「移動要塞浮上せず!(後編) ーレイキュバス ディゴン スヒューム登場ー
ウルトラマンダイナ』第26話
1998年3月7日放送(第26話)
脚本 長谷川圭一
監督・特技監督 村石宏實

 

水棲生命体スヒューム
身長 193m
体重 7万9千t
地球を偉大なるスヒュームの美しき楽園にしようとする。
クラーコフのメインコンピューターを乗っ取って人工太陽カンパネラを操作するがマイによって奪還される。さらにレイキュバスをダイナに、ディゴンをスーパーGUTSに倒され、出直そうと宇宙に逃げようとするがダイナ・ミラクルタイプによって人工太陽カンパネラで焼き尽くされた。

 

宇宙海獣レイキュバス
身長 65m
体重 7万2千t
冷凍ガスでダイナを氷漬けにするが、ヒビキ隊長との戦いで誤って火球をダイナにぶつけて復活させてしまう。
巨大なハサミでダイナを追い詰めるが人工太陽カンパネラのエネルギーを受けたダイナの反撃を受け、最後はダイナ・ミラクルタイプのレボリウムウェーブ・アタックバージョンでブラックホールに吸い込まれた。

 

半魚人兵士ディゴン
身長 230cm
体重 190kg
クラーコフを襲うがスーパーGUTSに倒されていき、最後の一体もマイによって倒された。

 

物語
スヒュームによって絶体絶命の危機に陥ったダイナとスーパーGUTS。
しかし、それでも尚、諦めない者達によって大逆転劇が行われる!

 

感想
移動要塞浮上せず!(前編)」の続き。

 

ゴンドウ参謀の人工太陽カンパネラを爆破するしかないと言う提案にシイナ参謀は人類の未来にとってあまりに大きな損失と訴える。
ゴンドウ参謀も言っていたが今はそんな事を言っている場合ではない。憎まれ役の位置にいるゴンドウ参謀だが、三人の幹部の中でもわりと現実を見ている方だと思う。

 

TPCの戦力がスーパーGUTSだけでない事を思い知らせてやると言ったゴンドウ参謀だったが出撃させたパッションレッドはあえなく敗北してしまった。これらの積み重ねが後のブラックバスター隊設立に繋がったのかな。
それにしても南極氷上から宇宙空間のパッションレッドを火球で撃ち落すレイキュバスが凄い……。

 

人工太陽カンパネラへの誘導電波を切る最後の手段としてコウダとナカジマはクラーコフを自爆させる事を決意するが、犠牲になりたくないエジリ博士はその事をスヒュームに教えてしまう。
緊急事態に際してコウダ達のように人類の犠牲になろうと考えるのもエジリ博士のように死にたくないと騒ぐのも同じ人間である。

 

リョウが水中ミサイルで排水口からクラーコフに突入する事を思いつくがマイは怖がってそれを拒否する。
「私、リョウ先輩みたいに勇敢じゃないし! 戦いにあまり出た事ないし! 本当はスーパーGUTSの隊員になんて……!」と叫ぶマイをリョウは叩き、その叩いた手をマイに見せて「これがそんなに勇敢な人間の手? 私だって怖い……! 戦うのが怖い! でも、それは自分自身で乗り越えていくしかないのよ!」と説得する。
ツクヨの兵士」で自分の中の怖さと真正面から向き合ったリョウだからこその言葉。

 

レイキュバスに氷漬けにされたダイナの中でアスカは「さすがに……、今度ばかりは、限界だぜ……」と力尽きようとしていたが、そこにアスカ・カズマが現れて「限界を超えた時、初めて見えてくるものもある」と語りかける。
去っていく父カズマに向かってアスカは「父さん! 俺を一人にしないでくれ!」と呼び止めるが、それに対してカズマは「シン、お前は一人じゃない」と答える。一方、現実世界ではレイキュバスと戦いながらヒビキ隊長がダイナに向かって呼びかけていた。
「ダイナ! いつまでそうやって寝ている気だ! 地球がピンチなんだ! 聞こえるかー! ダイナー! お前が何者で、なぜ俺達の為に戦ってくれるか知らねえ! でも、この星の事が好きなら! 人間を、俺達の仲間を嫌いじゃなかったら! もう一度立ち上がってくれぇー!」。
闇の中でアスカがカズマの先に見た光が大きくなってアスカを覆うと遂にダイナが復活する!
ヒビキ隊長の言葉を聞くとこの時点ではまだダイナの正体は知らないようだ。ウルトラマンに自分達と一緒に戦ってほしい助けてほしいと訴える事はこれまでにもあったが、ウルトラマンの正体や目的は知らないがそれでも……と言う訴えはあまり記憶に無い。今回のヒビキ隊長の言葉は人間とウルトラマンと言う全く違う存在の間で結ばれた友情と言う感じがして印象に残るものであった。

 

クラーコフ突入を前にして極度の緊張に襲われるマイとリョウは『君だけを守りたい』を歌う。
リョウ「マイ。戦う事に、もし理由があるならね……。誰かを守る為だと思う……」、
マイ「誰かを……守る……」、
リョウ「皆を守って。頼んだわよ」、
マイ「ラジャー」。
遂にクラーコフに突入するマイ。スヒュームの妨害をリョウが阻止し、マイはクラーコフのコンピューターを15秒間だけ奪還して人工太陽落下の危機を回避するのであった。
今回の話は『ティガ』に続いて歌がドラマの中で効果的に使われていた。毎週聴いている主題歌がドラマの中でストーリーに合った使われ方をされると感動が倍増する。

 

クラーコフのコンピューターを奪還したマイにディゴンが忍び寄るが、マイはそれを迎撃して「私もスーパーGUTSの戦士よ!」と宣言する。
似た言葉は「優しい標的」にもあったが今回はちゃんと中身が伴っていた。

 

今回の絶体絶命からの大逆転劇は『ダイナ』の中でもトップクラスに盛り上がるものであった。
今回登場したスヒュームは当初はスフィアが再登場する案もあったようだが、スフィアよりも絶対悪であるスヒュームだったからこそ逆転勝利のカタルシスがあったのだと思う。

 

戦いが終わって、『君だけを守りたい』を歌うハラシマ主任の娘サオリ。スヒュームのイメージがあるせいかちょっと怖い。
幸せな一家を見たスーパーGUTSは自分達が戦う理由を再確認する。
最初は自分勝手で傲慢でスーパーGUTSと対立していたエジリ博士も危機の中で戦うようになり、人工太陽カンパネラの奪還でマイの勇気と優秀さを知り、スーパーGUTSの事を「とても素晴らしいチームでした!」と述べるようになる。
最後は皆でカラオケに。やっぱりハッピーエンドは良いなぁと感じる後味の良いラストシーンであった。