帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「チュラサの涙」

「チュラサの涙 ートロンガー登場ー
ウルトラマンダイナ』第45話
1998年7月18日放送(第45話)
脚本 上原正三
監督・特技監督 高野敏幸

 

宇宙超獣トロンガー
身長 190cm~51m
体重 300kg~4万3千t
かつてギガール星でミヤタ参謀を襲撃してチュラサに撃退された宇宙怪獣。とても執念深く、チュラサへの復讐を遂げた後、今度はミヤタ参謀に復讐する為に宇宙の果てから地球にやって来た。
雷雲の中にある謎の穴から赤い球として現れ、スーパーGUTSを嘲笑うかのようにTPC関連の基地を次々と襲った。
両手から光線を発し、後頭部の触手や口の中から現れる触手で敵を襲う。攻撃を受けてもすぐさま再生し、不死身と言っていいほどの強さを誇る。
心臓が唯一の弱点で、かつては右肩にあったものを右胸に移動させていたが、チュラサの涙をセットしたギガール銃で心臓を撃ち抜かれ、最後はダイナ・フラッシュタイプのソルジェント光線で止めを刺された。
「超獣」と言う肩書きだがヤプールとは無関係だと思われる。

 

ギガール星人チュラサ
身長 160cm
体重 60kg
10年前にネオマキシマ航法のテスト中にミヤタ参謀が流れ着いたと語られる星の勇敢な女性戦士。
ギガール銃でトロンガーに襲われたミヤタ参謀を助けるが、その後、トロンガーに復讐されたらしい。
トロンガーに再び襲われるミヤタ参謀を自分の宇宙船に招き入れてチュラサの涙とギガール銃を与える。その後、再びミヤタ参謀の前に現れるが現実か夢か明らかではない。
名前の由来は沖縄の言葉で「美しい人」から。

 

物語
スーパーGUTSに誕生日を祝ってもらうミヤタ参謀。そこに宇宙怪獣のトロンガーが出現する。
トロンガーを見ていきなり豹変するミヤタ参謀。果たしてミヤタ参謀の過去に何が……?

 

感想
脚本の上原さんによると今回は円谷監督への恩返しらしく、円谷監督の息子である円谷浩さんの主役回となっている。
因みに上原さんは円谷浩さんが主役を務めた『宇宙刑事シャイダー』の脚本も担当している。

 

スーパーGUTSに誕生日を祝ってもらうミヤタ参謀。
3日前に誕生日だったのに祝ってもらえなかったゴンドウ参謀が哀れだ。
そんなゴンドウ参謀に向かって「部下に愛される参謀になると言う事だ」と言うフカミ総監がさり気に厳しい。
それにしても、ゴンドウ参謀がミヤタ参謀の誕生パーティーに付き合ってくれるとは思わなかった。逆にシイナ参謀は他の参謀と一緒にいる事が少ないが普段はどうしているのかな。

 

今度はミヤタ参謀のファンである事が判明するマイ。
「好きな人の誕生日は全て覚えている」と言うマイの発言に軽くショックを受けている誕生日を忘れられていたゴンドウ参謀がちょっとカワイイ。

 

ミヤタ参謀が結婚しないのは好きな人がいるからと当てるリョウ。ナカジマはミヤタ参謀の恋人はかぐや姫だとふざけて言うが、ミヤタ参謀がチュラサと出会ったきっかけは月面発の実験だったので当たらずも遠からずだったりする。

 

トロンガーと再会したミヤタ参謀は怯え、その恐怖が攻撃性に変化してしまう。
普段のミヤタ参謀とのギャップでかなり印象に残る場面であった。

 

スーパーGUTSに特攻まがいの命令をしてしまうミヤタ参謀にさすがのゴンドウ参謀も驚く。
その後、「我々は鉄砲玉じゃない」と言うコウダ副隊長の訴えを受けてゴンドウ参謀も「君は隊員を見殺しにするつもりか? 10年前に何があったが知らんが、スーパーGUTSを使って個人的な怨みを晴らすような真似は止めるべきだ」とミヤタ参謀に苦言を呈する。
そう言えば、ゴンドウ参謀は個人的な目的で部下を動かした事は無かった。とりあえず、どの計画も「地球防衛」と言う目的があった。又、ゴンドウ参謀が部下を危険な目に遭わせた事も意外と少ない。『光の星の戦士たち』でカプセルに入ったアスカが気を失ったのはモネラ星人の陰謀が入っていたからで、「発熱怪獣3000度」で排熱パイプの接続を切り替える時も大丈夫かどうか一応聞いている。後に人造ウルトラマン計画に着手するのも部下を危険な目に遭わせない為と考える事も出来る。

 

今から10年前、ネオマキシマ航法のテストの為に月面基地に向かうがテスト中に行方不明となってしまった事があるミヤタ参謀。デスクワークなイメージがあったので元パイロットと言うのは意外だった。
ミヤタ参謀が言うには行方不明になっていた15日間はギガール星にいたとの事。しかし、ギガール星でトロンガーに襲われたはずなのに火星で無傷で発見されたので過重なGを受けて気絶しただけなのではと考えられていた。
この回想は現実か夢か分からないものなので演出ももう少しボカした雰囲気にしてほしかった。

 

ミヤタ参謀は10年前の自分はチュラサに助けられて銀河系外の星から帰してもらったのかもしれないと語る。しかし、確証が何一つ無いのでミヤタ参謀の妄想と思われても仕方が無いところがある。この辺りはゴンドウ参謀の方が正しい感じがするが、その他の「子供騙しにもならん」「チュラサはさぞベッピンだったろうね」「君は想像力豊か」はただ単にミヤタ参謀をからかっているように見えてしまう。

 

今までトロンガーの夢に怯えていたミヤタ参謀だったが、トロンガーとの再会で自分の中の恐怖と向き合う事になり、トロンガーを誘き寄せる為に自ら囮を買って出る。
しかし、トロンガーと言う「恐怖」との再会はチュラサとの再会も意味していた。再会したチュラサから「愛」と言う力を与えられたミヤタ参謀はチュラサの涙をセットしたギガール銃でトロンガーを倒すのであった。

 

今回の話は宇宙人やエイリアンが登場しているのでSF色が強くなっているが、ミヤタ参謀とチュラサの関係はかなりファンタジックなものなので、あまりハッキリと描かないで、もう少しボカした感じにしてほしかったところがある。

 

エンディングでチュラサと会話しているミヤタ参謀が描かれている。
言葉の通じないチュラサに自分の名前を教えているように見える。

 

今回の話は高野敏幸さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。