帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「うたかたの空夢」

「うたかたの空夢 ーレギュラン星人 マウンテンガリバー5号登場ー
ウルトラマンダイナ』第42話
1998年6月27日放送(第42話)
脚本・監督・特技監督 川崎郷太

 

悪質宇宙人レギュラン星人ヅウォーカァ将軍
身長 260cm
体重 200kg
宇宙一の嫌われ者でその筋では有名なほど悪賢い宇宙人。
地球人がスペシウム砲と言うあんまり凄い武器を持った為に文句を言いに来て、数多すぎな球体型円盤でスペシウム砲受領を妨害し、さらに強力な彗星爆弾を小惑星帯で爆発させて広範囲に小惑星の破片を降り注がせる自らも自画自賛するほど悪賢い「石ぶつけ作戦」と言う素晴らしいネーミングの作戦を展開する。圧倒的な物量攻撃でMG-5のスペシウム砲を破壊し、火星にたぶん10キロメートルくらいの大きな小惑星を落下させようとする。
アスカが乗ったα号を袋叩きにするがダイナ・フラッシュタイプに円盤全てを破壊され、「おのれぇ~、ウルトラマンダイナァッ!!」と言う言葉を残して全滅した。
夢だけどね。

 

スーパーロボットマウンテンガリバー5号
身長 58m
体重 6万t
火星マリネリス基地開発部のホリイが「まぁ、こんな事もあろうかと思って」開発していたとっておきのロボット。略して「MG-5」。
スペシウム砲を装備しているが設計ミスによるコックピットが狭いと言う重大な欠陥を抱えていてチビスケのマイが操縦する事になる。ギアはオートマでアルチハンドが基本と言う初心者にも優しい設計。でも乗り心地はあまり良くないらしい。
スペシウム砲以外の武器は今日のところは……無い。が、コナクソー!なパンチで「あ、凄い」活躍をする。
レギュラン星人の球体型円盤でスペシウム砲を破壊されて一時退却するが、火星に落下する大きな小惑星を押し返す為に再び出撃する。
てな感じでアスカの夢で大活躍であった。

 

物語
火星で発見された大きなエネルギーを生むスペシウムを使った強力な兵器「スペシウム砲」が完成し、その受領にアスカとマイが向かう事になるが、それを知ったレギュラン星人ヅウォーカァ将軍の大攻勢が始まる!
と言う夢のお話。

 

感想
川崎監督が再び脚本、本編、特撮の全てを一人で担当した『ティガ』の「うたかたの…」の続編?
「戦争」と言うテーマは同じなのにここまで雰囲気の違う話になるのが『ティガ』と『ダイナ』の面白いところ。今回の話は文字で面白さの全てを伝えるのは到底無理なので実際に見る事をお勧めします。

 

ミニチュアやCGを駆使して作り上げた格納庫や攻防戦、基地を真上から見た構図や上空から迫るビーム、シャトル発射での震える頬等、今回の話はこれまでに比べて特撮のレベルが一段階高くなっていて、ウルトラシリーズが新たな段階に入ろうとしている事が感じられる。

 

今回の話はオマージュやパロディが多く、ウルトラシリーズ関係では、
①火星の物質を元にナカジマが設計したスペシウム砲はもちろん『初代マン』が元ネタ。因みにスペシウム砲の演出は初代マンのスペシウム光線と同じになっている。
②戦闘機の発進シーンで合図を送る作業員がいるのはあえてウルトラシリーズで考えると『80』のUGMの発進シーンかな?
③「第4ゲート開け!」の場内アナウンスは有名な『セブン』の「フォース・ゲート・オープン!」から。
④一旦下がってから上がるγ号の発進システムは『セブン』のウルトラホーク1号から。
⑤発射直前のシャトルは『セブン』のウルトラホーク2号かな?
等がある。他にも数が多いので一つ一つは挙げないが『ティガ』絡みのネタがかなり多かった。
ウルトラシリーズ以外では「長距離援護射撃を30秒間行う」やリョウの「絶対にアスカ達をそらに上げるぅー!!」と言う台詞はガンダムシリーズっぽい。最後の大きな小惑星を押し返す場面はやはり『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を思い出す。
これ以外ではヅウォーカァ将軍が『宇宙戦艦ヤマト』のズォーダー大帝だとか、冒頭の隊長日誌が『スター・トレック』だとか、キャプテン・ムナカタのモデルが『キャプテン・ハーロック』だとか、額に包帯を巻いたマイが『トップをねらえ!』のタカヤ・ノリコだとか、MG-5の足の模様が『帰マン』で郷秀樹役だった団次郎さんがコマーシャルを務めた男性化粧品の「MG5」がモデルだとかは自分は元ネタをちゃんと見ていないのでよく分からなかった。他にもまだまだ色々あるようなので興味ある人はネットで探してみてください。

 

マイ「だってぇ~、今日、彼氏に「会うか?」って……」、
アスカ「彼氏ってどの?」、
マイ「内緒」。
アスカ役のつるの剛士さんとマイ役の山田まりやさんが付き合っている事が報じられた時期だったので、今回の話を見るとどうしてもその時のプライベート関係を思い出してしまう。

 

「石ぶつけ作戦」で火星が危険に晒されるが、アスカの覚悟を聞いたコウダ副隊長はすぐにアスカとマイを火星に行かせる事をヒビキ隊長に進言する。「決断の時」と違って決断が物凄く早かった。

 

今回の話は旧GUTSのメンバーが登場しているが他にも防空司令部になっていたダイブハンガー、デキサス砲を発射するガッツウイング2号、ヴァルキリー砲を試射するステーション・デルタと『ティガ』の施設や機体が再登場している。
因みに劇中では語られていないがムナカタはアートデッセイ号を奪って自由とロマンを求めて宇宙海賊になったとの事。一体、何があったんだ……? 

 

レギュラン星人が再登場。そう言えば今回の話はガンダムシリーズを思わせる台詞や展開が多いがレギュラン星人が登場した『ティガ』の「地球に降りてきた男」にはガンダムシリーズシャア・アズナブル役を担当している池田秀一さんがゲスト出演していた。

 

火星に落ちていく大きな小惑星をストロングタイプで止めようとするダイナ。そこにMG-5に乗ったマイもやって来る。
マイ「私にも……出来る事を……!」、
ダイナ「いいからどけってぇーの!」、
マイ「今の声?」、
ダイナ「……」。
結局は夢オチであったがウルトラシリーズでここまで間の抜けた正体バレもないなぁw

 

最初からどことなくおかしな雰囲気はあったのだが途中から明らかに変な描写が入ってきたので夢オチは分かったのだが、まさかウルトラシリーズでここまでストレートに夢オチをするとは思わなかった。過去にも夢か現実か判然としない話はいくつかあったが明確に夢オチであると語ったのはこの話と『Q』の「1/8計画」くらいかな。賛否両論あると思うが今回は夢オチだからこそ色々実験的な事が出来たところがあると思う。
尚、今回の話がツボにハマッた人は『機動警察パトレイバー』の「星から来た女」をオススメします。

 

マウンテンガリバー5号の起動日が「西暦 弐千拾八年四月壱日」になっている。つまり「エイプリルフール=嘘」なのだ。因みに円谷プロ円谷英二監督の曾孫の円谷洋平さんが所属していたサイバーエデンの企画で2005年から2010年にかけてエイプリルフールにネット上で様々な企画を展開していた。

 

今回の話は川崎監督のウルトラシリーズ最終作となっている。