帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『ウルトラニャン2 ハッピー大作戦』

『ウルトラニャン2 ハッピー大作戦』
1998年3月14日公開
脚本 會川昇
監督 ときたひろこ

 

光の星の戦士たち』の同時上映で公開された『ニャン』の続編。
今回はネコとカラスの縄張り争いがメインだが、その裏には人間による山の開発や人間が開発した化学物質の問題があるなど意外と社会派であった。

 

カラス軍団はボスのノブナガ、女傑のランマル、少し距離を置いたゴエモンと時代劇ネタとなっている。
カラス達が割り箸を削って吹き矢として攻撃してきたのには驚いた。かなり知能が高いぞ!
カラス達は自分達の縄張りにマーク入りの張り紙を張っていたが、どうやって調達したんだろう?

 

ネコなのに何故かギターを弾いて全国を流離う竜二の兄貴とアンコのあまりにもお約束と言うかベッタベタな人情話が面白い。

 

前作でははるかはマンションなのでネコは飼えないとなっていたが今回は何故かニャンを飼えている。管理人が認めてくれたのだろうか? 説明が無いのがちょっと不満。

 

はるかもユキも通っている烏森進学塾はただ勉強をするだけでなく食べ物にも気を使っている。話だけ聞くと良さそうに思えるが実態は脳の発達を促す化学物質を100種類以上配合した人工食品を子供達に食べさせると言うもの。子供相手と言うえげつなさでウルトラシリーズでも鬼畜度上位に入りそうな所業になっている……。

 

ネコとカラスの話し合いの場に中立の存在として犬のドーベルマンが見張っているのが面白かった。

 

ニャンに近付いたらクシャミをするようになったはるかとネコが近くにいると無性に体が痒くなってしまうノブナガ。実はどちらも学習塾の食べ物を食べていた事が分かり、食べ物に含まれる化学物質がアレルギーを起こしていた事が明かされる。
魚を食べるとアレルギーが治るらしいが「魚嫌いなはるかはニャンに自分の魚を食べてもらっていた」「はるかの友達のユキはすし屋だったので魚を食べていて大丈夫だった」と言う伏線の張り方が上手かった。(魚を食べただけでアレルギーが治るの?と言う根本的な疑問はあるが)

 

前作でも悪徳ペット業者に尻尾を握られて力を発揮出来なくなっていたニャンは本作でもカラスとの戦いで尻尾のリングにペンキをかけられてしまった為に力を発揮できなくなってしまう。
こういう「特殊能力を発揮出来なくて危機に陥る」と言うのは多くの作品で見られるものでウルトラシリーズでも変身アイテムを奪われると言う展開で何度か見られる。
一応は隠して持っている変身アイテムと違ってニャンの尻尾は常に外に出ている状態なので危機に陥るシチュエーションは人間のウルトラマンより作りやすそうな感じがする。

 

アレルギーが治ったはるかにニャンはお風呂に入れてもらうが尻尾のリングの汚れだけは取れなかった。
ニャン「はるかちゃん、僕が迷惑じゃなかったの?」、
はるか「迷惑なんかじゃない!」。
会話が成立している!? 
ニャンによると二人の心が通じたらしい。
「ニャンがいれば自分はハッピーなんだから」と言うはるかの言葉を聞いたニャンは「はるかは自分を、自分ははるかをハッピーに出来る。だったらノブナガ達とだって」と考える。
その時、ニャンの尻尾のリングの汚れが取れて輝きを取り戻していた。

 

竜二とアンコの双子の子供達がランマルにさらわれてしまい、竜二は子供達の奪還作戦を考える。奪還作戦の内容はカラスの機動力を削ぐものになっていて猫とは思えないほど考られたものだった。
子供達の救出に現れる博士達。なんと乳母車をグライダーに改造する。(変形機能付き!)
て、どうやって改造した? 誰が改造した? どうやって空を飛んでいるんだ?
前作もクライマックスはかなり力押しなところがあったが今回も盛り上がりで押し切ったところがある。

 

魚を食べさせればカラス達のアレルギーは治るとしてニャンは皆に街中の魚を集めるよう頼み、渋る竜二に向かって「僕は信じている! 心はきっと通じ合える、どんな相手とも……。心の絆はどんな力にも勝る本当の強さなんだ!」と説得する。
遂に竜二も含めた街中の猫が街中の魚を(魚屋さんから盗んで)集めて来た。
街中のネコを集める時、小助はネコ型の携帯電話を持っていた。……どこで手に入れたんだ?
最後にウルトラニャンはマネキウム光線で街中の魚を巨大なコイノボリに変えてカラスを全部飲み込んでしまう。(ちょっと怖い)
吐き出されたカラス達はアレルギーが治っていて、数日後、竜二とアンコの双子の子供達を背中に乗せて楽しそうに空を飛ぶノブナガの姿があった。

 

ネコとカラスの戦いが終わった後、ニャンとモモが一緒にいるところにアレルギーが治ったはるかがやって来る。
はるか「いいなぁ、ニャン。彼女と一緒で」、
モモ「羨ましいでしょう?」、
ニャン「彼女じゃないよぉ!」、
モモ「!!??」。
ニャンを巡るはるかとモモの戦いはまだ始まったばかり?(と言っても、モモからの一方的なものなのだが……)

 

主題歌は堀内久美子さんの『不思議猫ウルトラニャン』。

 

本作は『G』の原案を務めた會川昇さんが脚本を担当している。

 

『ニャン』の物語は本作で終了しているが後に『ティガ』の『THE FINAL ODYSSEY』に少女に赤い風船を渡す着ぐるみのウルトラニャンが登場している。