帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『ザ・ウルトラマン ジャッカル対ウルトラマン』

ザ・ウルトラマン ジャッカル対ウルトラマン
2015年9月4日配信
脚本・監督 横山彰利

 

ドワンゴとカラーによる企画「日本アニメ(ーター)見本市」で公開された。
2011年に亡くなられた内山まもるさんの漫画『ザ・ウルトラマン』の「ジャッカル対ウルトラ兄弟」をアニメ化した作品。アニメならではのスピーディーなバトルシーンは必見!

 

冒頭で「1975年春」と説明されているように本作は『レオ』の最終回後の話となっている。

 

本作の敵であるジャッカル大魔王はゾフィー以外の殆ど全てのウルトラマンを倒してウルトラの国を壊滅させると言うウルトラシリーズの歴史においてもトップクラスの戦果を上げている。
能力は歴代ウルトラマンを苦しめた強敵に変身できると言うもので、この手の能力では外見のみの変身である事が多いがジャッカル大魔王は能力も完全に再現出来ると言うとんでもないレベルになっている。

 

因みにジャッカル大魔王はキングによって「宇宙の墓場」と言われるブラックホールに追放されたが、ウルトラマン達への怨みを糧にブラックホールのエネルギーを得てパワーアップしたと言う設定。
『初代マン』の「ウルトラ作戦第一号」で初代マンはベムラーを宇宙の墓場に護送する途中だったが、この宇宙の墓場もブラックホールだったのかな? そう考えるとベムラーは実はジャッカル大魔王レベルに危険視されていた存在だった事が分かる。さすがは初代マンが「悪魔のような怪獣」と言うわけだ。(講談社の『ウルトラマンひみつ大百科』に収録されている宮田淳一さんの漫画『ウルトラマン地球へ』では初代マンの友人であるウルトラマンクロードの命を奪っているし)

 

本作の主人公の一人であるメロスは「鎧を纏ったウルトラマン」となっている。ウルトラマンが鎧を纏うのには違和感を覚える人もいただろうが、セブンにはプロテクターが付いているし新マンやタロウはブレスレットと言う武器を使っているので、その流れを考えたら鎧を纏うウルトラマンもアリだと思う。
メロスはゾフィーの申し出を断って一人で戦おうとした。ウルトラマンも初代マンやセブンの頃と違ってタロウやレオの頃になると未熟な部分が描かれるようになったので、メロスのような一匹狼的なキャラクターが登場するのも納得出来る。
『初代マン』から始まったウルトラマンシリーズも『セブン』から『レオ』まで色々な事をして幅を広げていったので、その流れの先と考えると「鎧を纏った一匹狼のウルトラマン」と言うメロスのキャラクターの誕生は十分にあり得るものであったと言える。

 

セブンはジャッカル大魔王に倒されていないが最終決戦でキングによって復活している。
実は内山さんが描いた『小学2年生』版の『レオ』のコミカライズではセブンは円盤生物との戦いで命を落としている。おそらく本作は『小学2年生』版の『レオ』の続きだと思われる。

 

内山さんは第2期ウルトラシリーズのコミカライズを担当して、『T』の「燃えろ! ウルトラ6兄弟」ではウルトラの国の歴史部分のイラストを担当した。
第2期ウルトラシリーズ終了後も内山さんの漫画は続いて1975年にはジャッカル大魔王が登場する「さよならウルトラ兄弟」(後に「ジャッカル対ウルトラ兄弟」に改題)が、1978年からは『ザ・ウルトラマン』が連載開始された。その後、1981年の『メロス』のコミカライズである『ウルトラ戦士銀河大戦争』の連載や1997年の『宇宙船』での『ティガ』の「いざ鎌倉!」のコミカライズを経て2006年の『ザ・ウルトラマンメビウス』から再びウルトラシリーズのコミカライズを多く担当するようになった。

 

ウルトラ銀河伝説』では内山さんがウルトラマンの先祖の光の国の住人として出演している。

 

昭和のウルトラシリーズが人間ドラマ中心なのに対して『ザ・ウルトラマン』はウルトラマン達の戦いを中心に描いている。ウルトラマン達を凌ぐ強さを持つ敵が次々と現れたりウルトラマン達が武器を使用したりと後の『ウルトラ銀河伝説』や『ウルトラギャラクシーファイト』の原型と言える内容になっている。
他にもタイトルが『ザ☆ウルトラマン』の参考にされたり、オリジナルキャラクターの宇宙警備隊アンドロメダ星雲支部隊長メロスが『メロス』のアンドロメロスの原型になったり、ベリアルやトレギアに先駆けてウルトラの国を裏切ったウルトラマンのエルフが登場したりと後のシリーズに多大な影響を与えた作品となっている。

 

ザ・ウルトラマン』のキャラクターは実写の映像作品には登場していないが『ウルトラマンゼット&ウルトラマンゼロ ボイスドラマ』の「採用試験②」でメビウスの口からメロスとアウラの名前が出ているので、どうやら設定上は存在していると思われる。


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「日本アニメ(ーター)見本市」では本作以外にも2015年1月に『電光超人グリッドマン』をアニメ化した『電光超人グリッドマン boys invent great hero』が公開され、同じ雨宮哲監督とアニメ製作会社TRIGGERによって2018年に『SSSS.GRIDMAN』が製作される事となった。

 

 


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