帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「天空の我夢」

「天空の我夢 ー超空間波動怪獣メザード登場ー
ウルトラマンガイア』第4話
1998年9月26日放送(第4話)
脚本 長谷川圭一
監督 高野敏幸
特技監督 神澤信一

 

超空間波動生命体メザード
身長 66m
体重 3万3千t
波動生命体プライマルメザードの状態で現れて分子レベルによる崩壊で都市一つを砂漠化させた。
我夢の分析によると不連続的存在で極めてミクロ的性質を有する超空間波動生命体で四ヶ所同時に存在していて人間が視認できるのはその一観測地点に存在する影のようなものだけで通常兵器による攻撃は全て通用しない。
反発する波を干渉させ、その存在を一点に収縮させるパイロットウェーブによってマクロの世界に引きずり出され、梶尾リーダーによって撃墜されるが超空間波動生命体メザードとなって実体化する。
光線や電流を発して攻撃するが最後はガイアのフォトンエッジで炎上した。
砂漠化された都市から生還した人々は誰かに頭の中を覗かれた気がしたと語るが……。

 

物語
いきなり都市の一つが砂漠化してしまった。
その原因となった空飛ぶクラゲにXIGは攻撃を仕掛けるが全く通用しない。
クラゲの正体を見抜いた我夢はその対策を始める。

 

感想
もう一人のウルトラマンであるアグルの正体は何か? そして敵なのか味方なのか?
放送当時の自分は「ウルトラマンは人間の味方」と言う認識しかなかったのでアグルのスタンスが実は違うと知った時は結構衝撃だった。

 

今日もお姉さんとして我夢におせっかいを焼くアッコ。
それをジョジーに「仲が良い」とからかわれるがアッコは「子供は趣味じゃない」と返す。
我夢を子供扱いする事で自分は大人であるとしたいのだろうが、それはそれで子供っぽい。

 

光をつかめ!」ではいつの間にかいなくなっていた我夢の友人3人が再登場。
当時のウルトラシリーズはTBS系列なのにお台場でデートをするサトウ。ひょっとして、彼女がいるのに他の女性を研究室に勧誘しようとしていたのか? でも、こうやって色々な人に声を掛ける性格だからこそパイロットウェーブ製作に必要な人材を集める事が出来たのかな。
サトウ、マコト、ナカジの存在で我夢のXIG以外での場面を描けるようになったのが良かった。そう言えば、主人公の友達が準レギュラーで登場するのはウルトラシリーズでは珍しい。主人公の掘り下げに役立ちそうなので他の作品でもやってほしいところである。

 

1998年にフランスからお台場に自由の女神が送られた事でこの時期の番組は自由の女神がやたらと登場していた記憶がある。『ガイア』でも自由の女神が哀れ砂にされてしまった……。

 

サトウの近くでOLがアルケミー・スターズについて話をしているが、アルケミー・スターズの事は一般の人々にはあまり浸透していないようだ。かなり大事な事なのに自分に直接関係が無いと関心が低くなってしまうのは人の悲しい性である。

 

今回はメザードの性質について我夢の難解な説明台詞が続出した。言ってる事は分からなくもないが初めて見た時はやはり戸惑った。
そういう話には弱い千葉参謀は結論だけ教えてくれと発言。でも我夢が答えた「波のような存在」と言う結論でも理解できたかどうかは疑わしい。

 

メザードに通常兵器は通じないと判断した我夢は撤退を提案し、石室コマンダーはそれを了承する。それに対して千葉参謀は少年の主張で作戦を決めるのはいかがなものかと苦言を呈するが石室コマンダーは我夢はXIGの正式な科学分析担当ですと反論する。
千葉参謀にとって我夢はアルケミー・スターズと言うより普通の少年と言うイメージの方が強いのだろう。無理は無いが。

 

メザードがいるミクロの世界は古典物理学の範囲では異次元みたいなものであると説明する我夢。
ウルトラシリーズで異次元と言えば『A』のヤプールヤプールと根源的破滅招来体は共通部分が色々語られているが、両者を比べてみると70年代前半と90年代後半の感覚が分かって面白い。

 

我夢はメザード対策として大学研究室の光粒子加速器の理論を応用する事を決め、大学生達がパイロットウェーブを製作する事になる。それに対して疑問を抱く梶尾リーダーに堤チーフはアルケミー・スターズが関わっているからとフォローを入れる。
梶尾リーダーは戦うのは自分達軍人で民間人は戦いに絡むべきではないと考えているが、我夢は軍人民間人関係無く皆を守れる力と意思を持った者達が力を合わせるべきと考えている。
それにしても何故に堤チーフはこんなに我夢に甘いのだろうか?

 

「リンブン」と呼ばないでと懇願するリンブン。調べてみると「リンブン」はあだ名で本名は「倫文(のりふみ)」と言うらしい。知らなかった。
『ガイア』のファンでもリンブンの本名を覚えている人は少ないような気がする。

 

砂漠化した都市に再び藤宮を見る玲子。
今回の藤宮は顔は出たが代わりに声は無かった。

 

フライング・シミュレーターで練習を積んでいた我夢はサトウ達から届けられたパイロットウェーブに「ガンバレ! 我夢 平和をヨロシク!!」と言う張り紙を見つけるとファイターEXで出撃する。が、現実の空はフライング・シミュレーターの空と違って、危うく我夢は何もしないうちに墜落するところだった。
今まで頭の中で世界を組み立てていた我夢は現実の世界を体験して、フライング・シミュレーションで頭は鍛えられても体は鍛えられない事を知る。
そう言えば我夢はやたらと空に拘っていたが、藤宮が海に憧れていたように我夢には空への強い憧れがあったのだろうか?
それにしても我夢はこれで初出撃から三回連続無断出撃となった。アンタは『機動戦士Zガンダム』のカツか?とツッコみたくなる。『Zガンダム』では無断出撃は上司や先輩に修正されるが我夢が上司や先輩に修正されたようには見えない。堤チーフも我夢には甘いし。石室コマンダーは千葉参謀に我夢の処分を約束していたが……。

 

梶尾「素人が一体何を考えている! すぐ引き返せ! 実戦は遊びじゃない!」、
我夢「僕はこの翼を平和を壊す奴らと戦う為に作ったんです!」、
梶尾「そんな事は分かっている!」、
我夢「戦う術を持たない人達を守る為に! コイツのした事は許せない!」。
その言葉を聞いた梶尾リーダーは我夢にアドバイスを送る。
梶尾「簡単に落とすな! 空に出たからにはお前も自分の仕事をやり遂げろ!」、
我夢「了解!」。
我夢はパイロットウェーブを発射してメザードをマクロの世界に引きずり出す事に成功する。
我夢「やった!」、
梶尾「上出来だ!」。
そして梶尾リーダーの攻撃で撃墜されるメザード。
梶尾リーダーが我夢をXIGの一員として認め、我夢が梶尾リーダーを尊敬すべき存在と感じた瞬間だった。
それにしても梶尾リーダーが我夢に言った「簡単に落とすな!」と言う言葉はよく撃墜される北田と大河原にも言ったらどうなんだ?とちょっと思ってしまった。

 

ファイターEXを自動操縦にしてガイアに変身する我夢。
自動操縦が出来るのならPALはいらないのではと思ったがガイアに変身している間のアリバイ作りまでになるとPALがいた方が良いのかな。

 

砂漠化された都市にずっと留まっていたメザードが突然動き出したのは砂漠化された都市にいた人々の頭の中を完全に覗き終わったからであろうが今回の話だけでは分からない。
今回の藤宮はメザードの動きを警戒していただけだったのだが、これも今回の話だけでは分からなくて見方によっては藤宮がメザードを操っていたようにも見える。
この辺りは後の展開としてわざと謎を残したと思われる。こういう作りはこれまであまりされてこなかったが連続ドラマを強く意識した『ガイア』では度々見られる事になる。

 

初登場時は嫌味な存在に思えた梶尾リーダーだったが今回の話でプロ意識の強い人物だと分かった。ウルトラシリーズだと初期は郷秀樹と対立するが終盤は親友となった『帰マン』の岸田隊員や普段はよく怒る怖い先輩だが本当は後輩思いの『A』の山中隊員に近いキャラクターと言える。
こう言う位置のキャラクターはある意味一番おいしいとも言える。実際、この後の梶尾リーダーは主人公並の活躍を見せる事になる。