帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ロック・ファイト」

「ロック・ファイト ー宇宙戦闘獣コッヴⅡ登場ー
ウルトラマンガイア』第10話
1998年11月7日放送(第10話)
脚本 小中千昭
監督・特技監督 村石宏實

 

宇宙戦闘獣コッヴⅡ
身長 67m
体重 7万8千t
かつてコッヴが現れたのと同じワームホールから出現した惑星破壊機ヴァーサイトは電波干渉であらゆる通信を切断する。火花状の光線を出すが、その発射部分の装甲が弱かった為にチーム・クロウによって撃墜され、データを音に符号化した通信を使用していた為に慧の聴いていた音楽を送り込まれて機能を破壊された。
ヴァーサイトは実はコッヴを作る工場で襲う星の環境に合わせた怪獣を作り出していた。途中で機能が破壊された為に早目に覚醒していた1匹のコッヴが不完全な状態で出現し、他のコッヴも卵から次々と覚醒していったが、最後はファイターチームの一斉攻撃とガイアのクァンタムストリームでコッヴとヴァーサイトは完全に破壊された。

 

物語
いまだに実戦に投入されない不満を堤チーフにぶつけるチーム・クロウ。
その時、宇宙のワームホールから惑星破壊機ヴァーサイトが出現。迎え撃つべく全ファイターチームが出撃する!

 

感想
今まで名前のみの登場だったチーム・クロウがいよいよ登場。
女性のみのチームでロックが好きと言う設定だが聴いている音楽がちょっと古い感じがする。そもそも音楽に合わせてテンポをとりながら歩くシーンそのものが古い気がする。今回は逆立ちして考える我夢と言ったように全体的に80年代頃のノリを感じた。

 

意外と珍しい特別チームの食堂シーンだが『ガイア』では多い。人物を描くには食事シーンが一番適しているらしいので登場人物が多い『ガイア』では効果的なのかもしれない。
我夢はまだ来てそんなに経っていないのに早くも食事に飽きたと不満を漏らし、ラーメンや寿司を希望する。食堂にラーメンは最低でも一種類ぐらいは置いていそうなのでメニューにラーメンが無いと言うのは意外だった。
ところでクロウの演習で食堂が震えていたが演習の度にこれでは食事が大変だと思う。ひょっとしたら今回のクロウはいつもより基地の近くで演習をしていたのかもしれないがそれはちょっと迷惑すぎるかな。

 

演習でチーム・ファルコンを抑えて攻撃ポイントナンバー2となったクロウ。
ナンバー1はチーム・ライトニングだが北田と大河原がクロウに勝てるとは思えないので梶尾リーダー一人で何とかクロウに勝ったのかもしれない。そうだとすると梶尾さんスゲー。

 

まだ実戦投入されていない事を不満に思うクロウだったが実はファルコンもまだ実戦投入されていなかったりする。(「あざ笑う眼」での対ガンQ戦は演習中のアクシデント)
クロウがまだ実戦投入されていない事を強調するのならファルコンの実戦を描いておくべきだった。前回の「シーガル飛びたつ」でのシーガルの出動の有無もだが連続ドラマを強く意識するのならこういう細かいところにもっと気を配ってほしい。

 

演習では優秀な成績を残すクロウを何故か出撃させない堤チーフは稲城リーダーに「優れた戦力を持つ部下を使わないのは指揮官としての無能を問われる」と詰め寄られる。
堤チーフは「クロウには男性のチームには出来ない女性らしい任務があるはず」と考えていたらしいがパイロットで女性らしい任務って何だ? 堤チーフは男性優位主義者と言うわけではないようだが、あまりに特別扱いするのも結局は女性を差別している事になる。
今回の話以降、堤チーフはクロウを女性のみのチームではなくあくまでファイターチームの一員として扱うようになる。
ところで堤チーフは子供が苦手らしいが今回の話を見る限り女性も苦手だと思われる。

 

今回のクロウは食堂の近くで演習を行ったりヴァーサイトとの戦いで先走ったりと周りを見れていないところがあった。
稲城リーダーに語った「自分のチームだけがチームではない」と言う言葉から堤チーフはクロウに周りを見る事を望んでいたようだが劇中ではあまりそこには触れられていない感じ。そもそもクロウが周りを見なくなっていったのは堤チーフが出撃させない事による焦りが原因だったりする。

 

梶尾リーダーがわざわざクロウに絡んでくるが逆に実戦の度に機体を落としている事をツッコまれ、「命を張って未知のターゲットを相手にしている」と反論しても慧に「安い命」「犬死はしたくない」「勝つ為に飛ぶ」と突っぱねられてしまう。
このやり取りを見ていると慧は過去に何かあったのだろうかと思える。
その後、今度は林が演習で自分を落とした樹莉に突っかかる。この二人の喧嘩は子供の喧嘩のようであった。(と言うか、林さん、9歳も年下を相手にムキになって絡まんでも……)
ただ一人クロウの実戦初参加を祝った塚守は実に大人だった。

 

今回初めて全ファイターチームが出撃する。
9機ものファイターが次々と出撃する場面は他のウルトラシリーズでも見られないもので壮観であった。

 

電波干渉で通信が切断されているので堤チーフはレーザーパルスで作戦中の交信を行うと告げる。それを米田リーダーは相変わらず隙の無い戦術と評価するが、通信が切断されているので普通は考えるものだと思う。
結局、レーザーパルスも途中で使用不可能になってしまい、クロウが考えた手話が使われる事になる。

 

ヴァーサイトのアメリカ落下に対し、迎撃ミサイルが撃てないとXIGに返答したG.U.A.R.Dアメリカの幹部。この時点では役名はまだ無かったが後の『ガイアよ再び』で再登場して「ジェレミースピノザ」と言う役名が与えられた。

 

ヴァーサイトのパルスが人間にとっての音楽なので慧の聴いていたロック調の音楽を送る事で機能を停止させると言う展開が面白い。
それにしても戦闘中に音楽を聴けるとはXIGは自由と言うか放任と言うか……。(比較的緩いイメージがある『マックス』のDASHでも勤務中の音楽は上司に怒られる)

 

今回のコッヴは不完全な状態で覚醒した。「再生怪獣は弱い」と言われる事があるが明確に前回現れた個体より弱いと言う設定で登場するのは珍しい。

 

無数の幼体コッヴが可愛かった。さすがのガイアも倒すのを躊躇うレベル。

 

今回は堤チーフや他のチームがクロウの実力を知って評価すると言う話で、ライトニングとファルコンはヴァーサイト撃墜で活躍を見せたクロウに驚き、堤チーフは自分が古い人間で考えが間違っていた事を認める。
自分達の実力を認めさせる事が出来たクロウは「ヨッシャ! イェイ!」と喜ぶ。
エンディングでクロウに合わせて「イェイ!」をする我夢がカワイイw