「天の影 地の光 ー甲殻怪地底獣ゾンネル 超巨大天体生物ディグローブ登場ー」
『ウルトラマンガイア』第17話
1998年12月26日放送(第17話)
脚本 古怒田健志
監督・特技監督 村石宏實
甲殻怪地底獣ゾンネル
身長 89m
体重 10万t
美宝山の地底に眠っていたがアグルの力で覚醒させられた。
藤宮のデコーダで操られるが闘争本能は抑えられないのかガイアと戦ってしまう。
口から火を吐く。体内で熱核融合反応が加速度的に進んでいて、アグルによってその体内エネルギーを開放されるが……。
脚本の古怒田さんによると四聖獣の一つ「玄武」に位置する存在らしい。
超巨大天体生物ディグローブ
身長 計測不能
体重 計測不能
木星付近に現れた未確認天体。当初は地球の公転軌道を通過するが影響は無いとされていたが途中でいきなり軌道を変更して地球に向かった。直撃したら東京を中心に半径100kmの巨大なクレーターが出来て舞い上がった粉塵によって地球全域に氷河期が訪れる恐れが生じた。
アグルによって開放されたゾンネルの体内エネルギーの直撃を受けるが……。
物語
木星付近に未確認天体が現れるのと前後して藤宮が謎の行動を開始する。
我夢はそれを地球と人類を救う為のものだと考えるが藤宮の真意は……。
感想
藤宮はジオ・ベースが所有する怪獣出現が予測される場所のデータを盗み出して美宝山に姿を現す。この時に藤宮が持っていたのは怪獣探知機みたいなものなのかな?
地下に潜る為に人間大のアグルに変身したのに驚いた。仮面ライダーと違ってウルトラマンはこういうちょっとした事での変身と言うのは珍しい印象がある。
ところでマグマ溢れる地底で変身を解いていたが大丈夫かな? 滅茶苦茶熱いと思うのだが……。
樋口さんは地球怪獣は元々地球に存在していたものが根源的破滅招来体(コッヴ)によって覚醒させられたものではないかと言う仮説を立て、今まで観測されなかった異常が観測されるようになった事から世界各地に怪獣が出現する可能性があると考える。これは後の地球怪獣軍団へと繋がる布石となった。
ところで樋口さんと再会できた我夢は妙に嬉しそう。よほど気が合ったのだろう。
藤宮は覚醒させたゾンネルを機械語デコーダで操る。
デコーダは元々はインドのアルケミー・スターズが開発した翻訳機で藤宮はアグルの力を使って怪獣を操れるように改良している。
データの怪獣を操るのなら『メビウス』のマケット怪獣や『X』のサイバー怪獣等があるが、人間が生身の怪獣を操るのは意外と少ない。あったとしても『初代マン』の「謎の恐竜基地」に登場したモンスター博士のように破滅する事が多い。
待機していたチーム・クロウをそのまま出撃させる堤チーフ。どうやら今はもう女性だから特別視する事は無くなったようだ。
威嚇攻撃だけではゾンネルを止められないと言う樹莉と慧に対して稲城リーダーはまだ命令が無いと慎重な姿勢。以前のような焦りや刺々しさが無くなっている。その後もガイアとアグルの争いに疑問を呈したりと周りを見る余裕が出てきている。
我夢は藤宮がゾンネル出現を予測して美宝山にやって来たと考えるが、その考えはもちろん間違いで、藤宮こそがゾンネルを出現させた張本人だった。
千葉参謀はゾンネルをディグローブから目を逸らす為の囮だったのではと考える。これも結局はハズレだったがが中々鋭い考えだった。
最終的に我夢は藤宮はゾンネルを使って地球と人類を救おうとしていると考えるが……。
ゾンネルの体内エネルギーを利用すればディグローブの地球直撃は防げるが大気熱で爆発が起こって中心から半径20kmあまりの地上は燃え尽きてしまう。
地球に与える被害は減らせるが人間に対する被害は依然として大きい。藤宮は地球が救えれば多少の人間が犠牲になっても仕方が無いと考えるが我夢はそう考える事が出来ず避難する人々を見てガイアに変身する。
今回は「何かを救う為に他の何かを犠牲にする」と言う「トロッコ問題」に似た話。日本のヒーロー作品でこの問題を取り上げる事は珍しく、取り上げたとしてもヒーローの能力を使って両方を救う事が多い。実際、今回の話も次回の「アグル対ガイア」でウルトラマンの能力によって地球も人間も救われる事になる。
ゾンネルを持ち上げようとするガイア。
おそらくゾンネルを大気圏外に持っていって宇宙でディグローブを爆発させるつもりだったのだろう。
10万tのゾンネルを持ち上げられるとは我夢もウェイトトレーニングを始めたのかな?
今回の住民の避難シーンはミニチュアに人々を合成すると言う珍しい方法が採られている。
これまでの藤宮は地球怪獣も根源的破滅招来体の尖兵として倒していたが今回から地球怪獣を根源的破滅招来体から切り離して考えるようになる。そして逆に地球怪獣を自分の尖兵として根源的破滅招来体にぶつけようと考え出した。