帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「命すむ星」

「命すむ星 ー破滅魔人ブリッツブロッツ 地殻怪地底獣ティグリスⅡ登場ー
ウルトラマンガイア』第45話
1999年7月17日放送(第45話)
脚本 古怒田健志
監督 原田昌樹
特技監督 満留浩昌

 

破滅魔人ブリッツブロッツ
身長 60m
体重 6万6千t
ワームホールから現れてG.U.A.R.Dの関連施設を次々と襲っていった。
今までの怪獣と違って情報と高い知性を持っている。
身軽でマッハ9で飛行する。チョップが得意。両手の甲から光弾を発する。胸の増幅器で相手の攻撃を受け止めて跳ね返す。
アグルV2を倒すがガイアV2との戦いではティグリスとXIGの攻撃で胸の増幅器を破壊され、最後はガイア・スプリームヴァージョンのフォトン・ストリームで倒された。

 

地殻怪地底獣ティグリスⅡ
身長 88m
体重 10万t
大地に住むもので守りたいものの為にブリッツブロッツと戦うが奮戦空しく倒されてしまう。しかし、その姿は人々に大きなものを遺す事となった。
以前現れた個体より少し小さくなっている。

 

物語
ワーム・ジャンプ・ミサイル計画が失敗に終わった事で柊准将は更なる強力な兵器が必要だと主張する。
一方、ワームホールからブリッツブロッツが襲来。アグル、XIG、ガイアまでも苦戦させる強敵の前にティグリスが現れる……!

 

感想
稲森博士が遺した地球改善プランとパーセル最終ヴァージョンを藤宮に渡す我夢。それってG.U.A.R.Dへの背任行為に当たる気がするのだが……。
この時に藤宮が受け取ったパーセルはオリジナルビデオの『ガイアよ再び』で使われる事になる。

 

我夢はパーセルを使って怪獣とコミュニケーションを取りたいと言うが藤宮はパーセルは通訳ではなくコントロールするものなので無理だと答える。
怪獣は自分の生存圏を守る為に暴れているだけなので、せめて地球に住んでいる怪獣達と戦い以外の道が出来ればと語る我夢。このテーマは後の『コスモス』に引き継がれていく。

 

柊准将は根源的破滅招来体への直接攻撃が失敗した今こそ更なる強力な兵器が必要だと訴えるが、千葉参謀は人々の安全や環境保全も考えなければならないし地球に住んでいるのは人間だけではないと返す。それでも柊准将は「地球は人類唯一の生存圏だ。それを脅かすものはいかなる相手でも排除すべき」と主張を譲らなかった。
かつての藤宮が人間がいれば地球は滅びるとして人間を排除しようと考えたように今の柊准将は怪獣がいれば人間は滅びるとして怪獣を排除しようと考えている。このようにある種族が生き残る為に他の種族を排除しようとするのは同時期に展開された『平成セブン』でも見られた。

 

すっかり元気になった律子はアッコにそらに存在する天使の話をする。
「アッコ、そらにはね、天使がいるんだって。それを見た人は……もう二度と地上には降りてこない。それでもあの人達は……それを見たくてそらを飛ぶ。戦いに魅入られた人は……本当に大切なものの事なんて忘れてしまう……。そういう人を好きになっちゃ駄目よ、アッコ。でもね、私は……もう一度だけ待ってみようと思うの。懲りないよね」。
以前に比べて律子は前向きに考えるようになった気がする。
律子の亡き夫は律子の言葉の端々で語られるだけだったが、どういう人だったのかもう少し知りたかったところがある。
ここで語られるそらに存在する天使の話は『コスモス』の「空の魔女」でも似た話がある。因みに今回と同じく原田監督作品。

 

恵と偶然出会った柊准将は「怪獣に大切な人を殺されたらどうする?」と尋ね、その問いに恵は「憎むかもしれないが憎しみは新たな憎しみを生むだけで、憎悪は理性を失い判断を狂わせる」と答える。それを聞いた柊准将は「自分の憎しみの為に戦っているんじゃない」と返し、では何の為に戦っているのかと言う恵の問いに「自分の大切なものを守る為に」と答える。
柊准将のこの考え方は多くのヒーローと同じ考え方で間違ってはいないと思う。だが、『ガイア』では「敵とされていた地球怪獣を本当に敵と認識して良いのか?」と言う考えが入ってきているので、柊准将の考え方は何かが足りないと感じるものとなった。後に恵は柊准将の事を「愛するものを守りたい、ただそれだけの為に戦える優しい人だが見ている世界が狭すぎる」と語る。

 

かつて柊准将が見たのと同じ夕日をエリアル・ベースから眺める千葉参謀と石室コマンダー。天の高みにいる人間に地上の人間の痛みは分からないと柊准将が言っていた事を語る千葉参謀に対して石室コマンダーは地上の生活を離れて気付いた事がたくさんあると答える。後に玲子もアグルとそらを飛んでそらから地上を見た時に海や大地には色んな命が寄り添うように生きている事を感じたと語っている。地上でしか見えないものは確かにあるが一方でそらからでしか見えないものもたくさんある。

 

ワームホールからG.U.A.R.D国際フォーラムを狙ってブリッツブロッツが現れる。
ブリッツブロッツは実にシンプルなデザインで平成ウルトラ怪獣の中ではかなり異色となっている。
『ガイア』の登場怪獣の中でもトップクラスの実力を見せ付けたブリッツブロッツだが特にアグルV2のライフゲージに傷を入れたのには驚いた。でも、作品終盤ではこのくらい過激にやった方が強敵感が出て良いと思う。

 

科学特捜隊を思わせるG.U.A.R.D国際フォーラムは表向きは会議場だが地下には新兵器の研究施設が隠されていたとの事。何だかんだ言って更なる強力な兵器の準備はしていたのね。

 

ブリッツブロッツが研究施設をピンポイントで狙ってウルトラマンとの戦いでも弱点のライフゲージを攻撃した事から千葉参謀は今までの怪獣とは違って情報と高い知性を持っているとし、それを聞いた吉田リーダーは根源的破滅招来体による直接攻撃がいよいよ始まった事を感じる。

 

ブリッツブロッツとの戦いでダメージを負った藤宮の所に柊准将がやって来て「お前の力を俺に貸せ」と詰め寄る。と言う事は柊准将は藤宮がウルトラマンだと言う事を知っていたのか。いつ、どうやって知ったのか気になる。
自分と組んでブリッツブロッツを倒すんだと語る柊准将だったが、藤宮は先程の戦いで力を使い果たしてしまっていた。やはりライフゲージを傷付けられたのは大きかったようだ。
ところで変身前の人間に向かって「ウルトラマンに変身して戦え」と言った人間は(『レオ』のダン隊長は除いて)柊准将が初めてかな? 石室コマンダーは明確にそう指示した事は無いので。(あからさまに変身を促している表情をした事はあるが)

 

ティグリスとミズノエノリュウを感じとる恵の所にKCBがやって来る。
リンブンだけでなく田畑さんにも無視されて一人蚊帳の外の玲子がちょっと哀れ。アグル編ではあんなに目立っていたのに……。
因みに田端さんと恵は今回の話でようやく顔を合わせている。

 

再び現れたブリッツブロッツはなんとチョップで梶尾リーダーを撃墜する! 光線や光弾で戦闘機を撃墜した怪獣や宇宙人は数多くいるがさすがにチョップで戦闘機を撃墜するのは他にパッと思い浮かばない。それだけにこの場面はインパクトがあった。
因みにこれが梶尾リーダーの初撃墜。北田や大河原と違って梶尾リーダーは不時着に失敗してしまう。撃墜され慣れていないからかな?

 

ガイアV2が久し振りにフォトンエッジを放つが胸の増幅器で跳ね返されてしまう。……アグルV2の戦いを見ていなかったのか?
今回に限らず何故か光線を吸収する怪獣に関する情報は他のウルトラマンに伝えられない事が多い気がする。

 

ウルトラマンやXIGでも苦戦を強いられるブリッツブロッツの前にティグリスが出現して、そこからウルトラマン・人間・地球怪獣がブリッツブロッツに立ち向かっていく展開がメチャクチャ盛り上がる!
対立していた相手と力を合わせて更なる強敵に立ち向かうと言うのは少年向けのバトル作品では燃える王道展開であるがウルトラシリーズではこれまで殆ど無かった。なので、今回の話はウルトラシリーズの歴史が一つ先に進んだ感じがした。

 

ブリッツブロッツの直立不動のまま後ろに倒れるやられ方は『セブン』のキングジョーのオマージュかな? ウルトラマンの光線を吸収するのは『初代マン』のゼットンを思い出すので、ブリッツブロッツには歴代の強敵達の要素が組み込まれているのかもしれない。

 

墜落したファイターをバックに「俺は……こんな所で……死ぬわけにはいかないんだ……」と声を振り絞って歩く梶尾リーダー。
守りたいもの、共に戦うものがいる限り梶尾リーダーは諦めない。必ず生きて帰って来る。

 

ティグリスの亡骸を前にして柊准将は「勇敢なる戦友に……敬礼!」。
それに合わせて敬礼するXIGと軍人ではないので敬礼はしないが想いは同じな藤宮。
そして「大地に住むもの達。その時はもうすぐ訪れます」と呟く恵。
神社に浮かび上がるミズノエノリュウの姿。この地球で何かが変わり始めた。
エンディングは地球をバックに地球怪獣達の映像が使われている。もちろんこれは最終章への前振り。

 

今回の話は人間と地球怪獣が共に戦うと言う『ガイア』でもかなり重要な話なのだが実は問題点がいくつかある。
『ガイア』は争っていた人々が根源的破滅招来体の襲来に対してG.U.A.R.Dの名の下に結集したと言う始まりであった。そして今回の話では地球での生存圏を賭けて戦っていた人間と地球怪獣が宇宙からの脅威を前に力を合わせて戦うと言う展開になっている。「争っていた人間が人間以外の存在に対抗する為に結集する」と言う始まりと「戦っていた地球人と地球怪獣が地球以外からの脅威に対抗する為に力を合わせる」と言う今回の話は「今まで戦っていたもの達を協力させる為に外に新たな敵を作る」と言う構造が全く同じなのだ。「人間達の結集」から「人間以外の存在である地球怪獣との協力」になったので人々が見る世界は広がったと言えるが、一方で「敵がいなくなったらどうなるのか?」と言う疑問が出てくる。この辺りの問題は後の『コスモス』に引き継がれていく事になる。

 

今回の話は古怒田さんのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。この後、古怒田さんは数多くのアニメ作品に参加し、特撮でも円谷、東宝東映と様々な会社の作品で脚本を書く事になる。