帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「蛍の復讐」

「蛍の復讐 ーカオスバグ登場ー
ウルトラマンコスモス』第5話
2001年8月4日放送(第5話)
脚本 川上英幸
監督 市野龍一
特技監督 村石宏實

 

カオスバグ
身長 53m
体重 5万7千t
群馬県にある蛍が村に不法投棄されたゴミに取り憑いたカオスヘッダー。
虫が光に集まるように熱を襲う習性があり、EYESのテックサンダーの熱を利用してホタルを誘き寄せる作戦を逆手にとってテックサンダーのブライトレーザーのエネルギーで実体化した。
無機物と融合したカオスヘッダーはルナモードのルナエキストラクトでも除去できない。
触角から光線を撃つ。左手からの光線で相手のエネルギーを吸収する。光る尻尾にエネルギーを溜めて目から光線として撃ち出すがコロナモードのネイバスター光線は吸収しきれず爆発した。
名前の由来は「バグ(虫)」かな。

 

物語
今日も対立を繰り広げるムサシとフブキ隊員。
ヒウラキャップはそんな二人をあえてコンビにして怪事件の調査に向かわせる。
怪事件の現場はフブキ隊員と縁のある村だった。

 

感想
不法投棄されたゴミに取り憑いた事でカオスヘッダーは生物以外にも影響を及ぼす事が判明する。「怪獣保護」と言う設定がある『コスモス』では怪獣を生物として捉えているのでカオスバグのような生物の概念では括れない怪獣は出しにくいところがあるが、カオスヘッダーの設定を上手く使って出す事が出来た。

 

カオスバグのデザインはホタルと不法投棄されたゴミが交じり合ったもので自然が破壊されて姿を消したホタルの怨念が絡んでいるような感じになっている。そう考えると今回のカオスヘッダーとカオスバグは『A』中盤以降のヤプールと超獣に近いと言える。

 

初期のカオスヘッダーは地球上で最も強い存在は何か見極める為に色々と調査している感じがする。

 

冒頭にあったタイヤを残して金属部分だけ無くなった車を見て『Dr.スランプ』のガッちゃんを思い出した。

 

車がホタルに喰われたと言う報告を聞いたフブキ隊員はムサシに向かって「その程度の事ならこの坊やで十分でしょう」と言うが、それを聞いたムサシは「そろそろ坊やって言うの止めてもらえません? おじさん」と反撃。「19歳を坊や呼ばわりするの立派なおじさんじゃないですか」と言うムサシの発言にフブキ隊員は思わず掴みかかるがムサシも負けじと掴み返す。
どちらも素直じゃなくて頑固で意地っ張りな部分は同じ。特にムサシは見た目の印象と違って結構毒舌な部分があって驚く。イマドキと言えばそうなのかな。

 

ヒウラキャップはムサシとフブキ隊員を組ませて調査を命じるが、アヤノ隊員やドイガキ隊員は水と油、春と冬、全く合わない二人でケンカを始めないかと心配する。しかし、ヒウラキャップはフブキ隊員は冬ではなく風だとして二人合わせて「春風コンビ」と勝手に命名してしまう。
「春風コンビ」は昔のお笑いコンビみたいでダサい名前であるが、春一番は冬の気候と春の気候がぶつかって生まれるもので、厳しい冬から暖かい春への移り変わりを示しているので、春であるムサシと冬であるフブキ隊員がぶつかって、それが厳しい衝突関係から暖かい協力関係へと変わっていく事まで考えての名付けだったとするなら深いかな……?

 

今回の舞台である蛍が村はフブキ隊員が体が弱かった子供時代に療養を送っていた場所であった。
子供時代のフブキ隊員は今とは違って気弱そうだったが現在のフブキ隊員はかなり鍛えられた体になっていて相当な努力を積んできた事が分かる。
子供時代の写真を見て思わず笑みがこぼれるフブキ隊員だが現在の村人との話が全く無かったのが残念。誰か一人ぐらいは出てきて昔話をしてくれると思ったのだが……。
因みに今回から『コスモス』は各隊員の紹介話が続くがその殆どが幼少期の思い出を軸にしている。(同時期に公開された『THE FIRST CONTACT』もムサシの紹介編と考えるとこちらも子供時代の話になっている)

 

清流があって蛍もたくさんいた蛍が村だったがトンネルが出来た10年前から蛍が激減して最近は殆ど見られなくなってしまっていた。しかしフブキ隊員はトンネルが出来た事で村人は急病人を隣町にある病院まで搬送できるようになって冬の大雪でも孤立する事が無くなったと述べる。
色々と問題が指摘される公共事業だが単純に無くせば良いと言う問題ではない。よく指摘される何度も行われる冬の道路工事も農家等に仕事を確保すると言う役割があって、これを無くしてしまうと生計を立てられなくなる人々が出てしまう。(だから道路工事は冬が基本。夏は農業の仕事があるから)
とは言え、問題があるのは事実なので何らかの解決方法を考え出すのは必要であるが。

 

今回は地上用の移動メカであるシェパードが登場。ただ活躍が無かったのが残念。出来ればフブキ隊員がカオスバグに立ち向かう時にも使ってほしかった。
ところでシェパードはトレジャーベースから発進するが、あんな孤島から発進するなんて現場に到着するまでかなり時間がかかりそうだ。(設定では時速520kmが出せる事になっているが)

 

カオスバグによって破壊されていく蛍が村を見たフブキ隊員はいても立ってもいられなくなってカオスバグに立ち向かっていく。
怪獣は世の中の問題を具現化した存在と言う解釈があるが今回はまさにそれで不法投棄とそれが原因で姿を消した蛍の問題がカオスバグに込められている。カオスバグを攻撃する時のフブキ隊員の「この村を汚すなぁー!」はそれを明確に示している。(前後の流れを見るとここで「汚す」と言う言葉が出るのはちょっと不自然だったが)

 

今回は村人の避難シーンで人間と怪獣が一つの画面に収められていた。怪獣の巨大感や恐怖感を演出するにはこういう基本が大事だと思う。
フブキ隊員がカオスバグに突撃する場面を見ると身長50mは実はかなり大きい事が分かる。

 

リドリアスからカオスヘッダーを取り除いたルナエキストラも無機物と融合したカオスヘッダーには通じなかった。第1話でルナエキストラクトを見た時はさすがに都合が良すぎるなぁと思ったが除去不可能な状況が意外と早く登場した。

 

カオスバグの猛攻に苦戦を強いられたコスモスは遂に覚悟を決めてコロナモードにモードチェンジするとカオスバグの目から撃ち出す光線をネイバスター光線で押し返してそのままカオスバグを爆破する。
今回のカオスバグは中々の強敵でそれを打ち破ったコロナモード=本気のコスモスの強さも十分に表現された。ヒウラキャップの「背筋がゾッとしたよ……。あまりの強さにな……」と言う言葉には「いずれコスモスがEYESの敵に回ったら……」と言うニュアンスも感じられる。(実際にコスモスがEYESの敵になる展開は無かったが、後にコスモスの姿と能力をコピーしたカオスウルトラマンがEYESの前に立ちはだかる事になる)

 

戦いが終わって相手に敬意を表するようにポーズを決めるのが他のウルトラマンとは違うコスモスらしい場面であった。

 

子供の頃は蛍が村で本物の蛍の光を見ていたが大人になって再び訪れると蛍の光は不法投棄された廃棄物にカオスヘッダーが取り憑いたものとなっていた。
村を離れて数年、あまり里帰りもせず関心も薄かった為に不法投棄に気付かず、結果としてカオスバグを生み出す事になった。
そう考えるとカオスバグを生み出した原因は不法投棄した人々だけでなく、それを見過ごしていた人々にもあると言える。
今回の事件を機にSRCの環境保護チームがゴミの撤去に入って蛍が村を特別監視区域に指定する事になり、いつか蛍が帰って来るかもしれないと希望を持てるようになった。カオスヘッダーによる今回の事件が人間に不法投棄の問題を気付かせる事となったのだ。

 

ヒウラキャップからフブキ隊員の子供時代の話を聞いたムサシはフブキ隊員に対して妙に優しくなる。その優しさに少し微笑みながらもすぐに馴れ馴れしいと突っかかってしまうのが照れ屋のフブキ隊員らしい。
ヒウラキャップが命名した「春風コンビ」は本人達にも不評だったが、この「春風コンビ」が後に『コスモス』そのものを大きく動かす事を考えるとヒウラキャップの見る目は確かだったと言える。