帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「遊園地伝説」

「遊園地伝説 ームゲラ登場ー
ウルトラマンコスモス』第45話
2002年5月11日放送(第45話)
脚本 右田昌万
監督・特技監督 八木毅

 

伝説妖精ムゲラ
身長 130cm
体重 80kg
ファンタジーランドで写真を撮ると写る」と言う伝説があった。
人間と言葉を交わす事は出来ないが多くの人と無言の絆を結んでいた。
壊れたものを直したり傷を治療したり出来る。
遥か昔に仲間とはぐれてファンタジーランドに住み着いていたが、遊園地を思わせるレクリエ星の巨大UFO・プレシャーパークが迎えに来て、こうだいに別れを告げて帰っていった。

 

物語
閉園間近の遊園地に巨大UFOが飛来。
防衛軍と巨大UFOの睨み合いが続く中、こうだい少年とアヤノ隊員は妖精ムゲラを救おうとする。

 

感想
「僕のウチは遊園地の中にある。よく皆から良いなぁって羨ましがられて僕の自慢だったけれど、それも今日でお終いだ」。
物語はこうだい少年が住む遊園地ファンタジーランドが閉園されるところから始まる。
今回はウルトラシリーズで何度かロケに使われた向ヶ丘遊園閉園を受けたもので、遊園地に住む妖精を宇宙から舞い降りた遊園地型UFOが迎えに来ると言うメルヘンチックな話になっている。
あちらこちらに『未知との遭遇』や『E.T.』を思わせる描写がある。ムゲラのデザインもE.T.をモデルにしているのかもしれない。

 

ムサシとアヤノ隊員が子供の頃に流行ったと言うムゲラ伝説。ファンタジーランドで写真を撮るとムゲラが写ると言うもので話を信じたムサシはよくやって来ていたらしい。その後、ファンタジーランド閉園の話を聞いたアヤノ隊員はムゲラの心配をするが、ムサシはムゲラが本当にいると信じているのかと笑い飛ばす。
子供の時に何度も調べてムゲラはいないと結論付けたのかもしれないが『THE FIRST CONTACT』でウルトラマンの存在を信じていたムサシがムゲラの存在を信じないのは不自然だった。どうもアヤノ隊員が主役の話では周りの人物の描写がおざなりになってしまう事が多い。
ところで休日に二人きりで遊園地。これはデートと言って良いよね?

 

宇宙空間に新たに現れたワームホールをEYESはカオスヘッダーと考えて出撃するが、ワームホールから現れた巨大UFOに返り討ちにされてしまう。
今回もテックブースターが悲しいまでに活躍しない。『ティガ』のアートデッセイ号や『ダイナ』のクラーコフに比べて扱いがあんまりだ。

 

ファンタジーランドに舞い降りた巨大UFOに対して防衛軍は付近を立ち入り禁止にしてベンガルズを配備する。
EYESは最初に仕掛けたのはこちらで巨大UFOから無差別に攻撃した事は無いと訴えるが、佐原司令官はカオスヘッダーの侵略を受けていながら甘い考えだとして、領空侵犯は防衛軍の管轄だと突っぱねる。
そう言えばカオスヘッダーが初めて地球に襲来した時も最初は美しい光の塊で皆が警戒していなかったところを不意に攻撃したんだったなぁ。
今回の話で領空侵犯は防衛軍の管轄となり、宇宙怪獣や異星人やカオスヘッダー等への対応は防衛軍が優先権を得てEYESは地球怪獣以外の対応の優先権を奪われかねない事態となった。

 

防衛軍と巨大UFOが対峙する中、こうだいはムゲラを救う為に遊園地の中に入り込んでしまう。それを知った父も後を追って中に入ろうとするが防衛軍に止められると偶然知り合ったムサシとアヤノ隊員に秘密の通り道を教えてこうだいを助けてほしいと頼む。
う~ん、父はどうして防衛軍ではなくムサシ達にこうだいを助けてほしいと頼んだのだろう? 防衛軍は危険だから父が中に入るのを止めたわけで別にこうだいを見殺しにする気は無かった。(事実、救助に向かっている) 父は自分が中に入って息子を助けたかったのかなと思いきやムサシ達に頼んで自分は中に入っていない。同じ他人であるムサシ達に頼めて防衛軍に頼まなかった理由が思い浮かばない。物語の都合としてはムサシ達を中に入れてムゲラと会わせる為なのだろうがよく考えると父の行動はかなり不自然だった。

 

防衛軍がこうだいを見付けるが、こうだいが追われていると思ったムゲラが助けに入り、ムゲラの不気味な姿を見た防衛軍は恐怖と驚きで思わず発砲してしまう。それが巨大UFOに命中してしまった為に巨大UFOが反撃を開始し、一連の事情を知らない佐原司令官は先制攻撃を受けたとしてベンガルズに反撃を命じてしまう。
不運が重なって起きてしまった全面戦争。そこにコスモスが現れて巨大UFOの光線を弾いてベンガルズのミサイルを止める。
全面戦争が始まった瞬間に時間の流れが変わり、コスモスが両者の間に入った時に元の時間に戻る演出が効果的。
止めたミサイルを防衛軍の前に置いて「めっ!」と睨みつけるのがコスモスらしくて良い。
今回の話は他の作品だと異色作になるだろうが『コスモス』だとむしろ正統派の話に感じるところが面白い。

 

全面戦争が回避され、ムゲラとこうだいの別れを見て、EYESだけでなく防衛軍までもが手を振って巨大UFOを見送る。星同士や人同士の争いとは無縁だった子供の頃の気持ちを思い出したのだろうか?
「誰にでも忘れられない場所がある。たとえ、そこが無くなっても、その場所を思い出す度に輝きはますます強くなるだろう。君の心の宝石となって……」。

 

今回はムゲラに関わる人達の話なのだが、こうだいとアヤノ隊員の二つの視点で進めてしまったのでイマイチ話を深められなかったところがある。個人的には今回はガッツリとゲスト中心の話にしても良かったかなと思っている。