帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「2020年の再挑戦」

「2020年の再挑戦」
ウルトラマンZ』第18話
2020年10月24日放送(第18話)
脚本 継田淳
監督 辻本貴則

 

地底怪獣パゴス
身長 52m
体重 3万6千t
桐元市に地底から現れて暴れるが突如として姿を消してしまった。
口から分子構造破壊光線を吐く。
後にケムール人が発した電磁波に引き寄せられて出現し最後もケムール人によって消された事が判明した。
ケムール人が倒されて地上に戻ると慌てて地底に帰っていった。

 

誘拐怪人ケムール人
身長 190cm~55m
体重 40kg~1万6千t
老化を防ぐ為に地球人の肉体を奪おうと54年前に大勢の地球人を誘拐した。
そのうちの一人がカオリとの合成手術の時に事故が起きて地球人とケムール人の二つの肉体を持つ事となり、地球に戻った途端に制御したはずのカオリの精神が肉体の主導権を奪おうとするようになった。
観覧車の頂上に人間を転送する液体を詰めていて、雨雲に混ぜて東京中の人間を誘拐しようとした。
ベリアロクのデスシウムスラッシュでカオリを分離させられて倒されると転送液もベリアロクが作った次元の裂け目に送られた。その後、ケムール人に転送された者は全て地上に戻ってきた。

 

物語
街に現れた怪獣が突如として姿を消した。
周辺を調査するハルキは不思議な女性と出会う。
女性と消失事件の背後には54年前の恐るべき計画が潜んでいた。

 

感想
「2020年にウルトラシリーズがあるならこれをしなければいけないでしょ!」と皆が思っていたであろう『Q』の「2020年の挑戦」の後日談のようなお話。
『Q』の頃は未来だった「2020年」が『Z』では現在になったと言うのは不思議な感覚。因みに自分は平成世代なのだが『ティガ』『ダイナ』のシリーズでTV作品の最後の話の舞台は「2020年」であった。あの時は「2020年」には遙か未来のイメージがあったが今はもうその未来を過ぎた時代に我々は生きている。

 

今回登場したパゴスは『Q』で飯島監督が「2020年の挑戦」と同時に撮影した「虹の卵」に登場した怪獣。

 

パゴスが街に現れた時の走る列車や呆然とする人々の光景は「街に怪獣が出た」と言うのが出ていて短かったが印象に残る場面であった。

 

今回は夜の場面が多く、昼間の場面でも曇りで全体的に薄暗い感じになっている。その為か『Z』の他の話に比べてモノクロ作品だった『Q』に雰囲気が近くなっていた。

 

今回はカオリが自分を「殺して」とハルキに頼んだり、以前に自殺を試みた事が語られたり、ケムール人の肉体にカオリの精神が裸の状態で浮かび上がったりと他の話に比べて対象年齢が少し上になっている感じがした。

 

叫ぶ命」でグルジオライデンが登場した時に『R/B』を見た人が思ったであろう「怪獣の正体が人間だと知ったらハルキは戦えるのか?」が今回の話で実現する事となった。

 

今回のケムール人は地球人の体と一体化した事で一つの体に二つの人格が存在する事になったが実はこれはウルトラマンに近い。
因みに『Q』の「2020年の挑戦」でケムール人のスーツアクターを務めた古谷敏さんは『初代マン』でウルトラマンスーツアクターを担当していて、今回の話でケムール人のスーツアクターを務めた石川真之介さんは『X』の『きたぞ! われらのウルトラマン』で初代マンのスーツアクターを担当している。

 

今回のベリアロクはカオリとケムール人を分離させると何でもありになっていたが、ベリアロクだったらハルキの為に頑張ったらこういう事が出来そうな感じがある。
何となくだが、これを喋らない普通のアイテムでやったら都合が良いと感じてしまうが、ベリアロクが「見ちゃいられねぇな」「分離させてやる」「しぶとい奴だ」「こうなったらぶった斬っても分離させるぞ」「俺様を信用しろ」と言った後でやるとご都合展開に感じなくなる。喋る事でアイテムが頑張っている事が分かると言うのは「喋るアイテム」であるベリアロクを実に上手く使ったなと感じた。

 

ケムール人を押さえ込む巨大なカオリの精神体は第2期ウルトラシリーズの石堂脚本を思い出した。

 

54年前にケムール人を撃退した人達を「勇敢なる先人達だ」と語るヘビクラ隊長。『Q』の人達はウルトラマンに頼らないで自分達の力で怪獣事件を解決していったので、確かに今のヘビクラ隊長にとっては尊敬できる人達なのだろう。

 

ケムール人と分離できたカオリは54年のブランクを埋めていく事になる。
ウルトラシリーズでこういう話だと全ての問題が解決するハッピーエンドかゲストの人間が命を落としてしまうバッドエンドかが多いが今回はカオリの命は助かったが彼女が失った54年前の生活は既に失われて戻せないと言うどちらとも違う結末となった。そこで失われた54年間と言う過去を悔やむのではなくて、ブランクを埋めていくこれからの未来に思いを馳せていくところがウルトラシリーズらしい前向きさだなと思う。

 

 

 

 

「頭を鍛えろ!」
ウルトラマンゼット&ウルトラマンゼロ ボイスドラマ』第18回
脚本 足木淳一郎
CG 渋谷怜央加
編集 坂口俊昭

 

警備隊の訓練校での小テストでケムール人とゼットン星人を間違えてしまったゼット。そんなファンの間でよく語られるイジワル問題を公式で見る事になるとは……。

 

ゼロは戦闘の方がズバ抜けていたので勉強の方は免除的?な感じだったらしい。
因みに昔の児童誌の設定ではセブンは体育だけがズバ抜けて成績が良くて他はあまり良くなかったとの事。こうして見るとセブンとゼロってやっぱり親子だなぁと思う。

 

ゼットに勉強方面の面倒は誰か他の人に見てもらえとしてゼロは候補としてヒカリを挙げる。いや、だから、ただでさえ忙しいヒカリに面倒臭い弟子を押しつけちゃダメだってw

 

80が先生だったのは『80』の第1クールだけだったのに今も「80=先生」のイメージが強いのを見ると初期設定の印象ってやっぱり大きい事が分かる。