帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「あの日の翼」

「あの日の翼」
ウルトラマントリガー』第9話
2021年9月18日放送(第9話)
脚本 林壮太郞
監督 辻本貴則

 

石化闇魔獣ガーゴルゴン
身長 55m
体重 5万5千t
3000万年前にカルミラの命を受けてユザレを石にしようとしたが石化光線を返されて自身が石にされてしまった。
現代になってカルミラによって封印を解かれると再び暴れるが、シズマ会長が操縦するガッツウイングに口の中の目を潰され、最後はトリガー・マルチタイプのゼペリオンソードフィニッシュで一刀両断された。
しかし、この戦いによってユナの覚醒は大幅に進む事となった。

 

ウルトラマンティガ
身長 53m
体重 4万4千t
シズマ・ミツクニが何度も助けられた光の巨人。

 

物語
ユナの18歳の誕生日にシズマ会長が久し振りにナースデッセイ号に顔を見せる。
闇の巨人との戦いが激しくなる中、遂にシズマ会長は自分の素性を明かす事にする。

 

感想
世界各地で発見された石版等から3000万年前の地球も今と同じように多くの怪獣が現れていた事が明らかになる。ここで紹介された怪獣はグビラガマクジラゴモラ、デスドラゴとなっている。このうちグビラとデスドラゴは劇中でも登場し、ゴモラガマクジラはその力を持つGUTSハイパーキーがあるので劇中で語られていないところで出現して倒されたと思われる。

 

遂にシズマ会長の正体が明らかになる。
『ティガ』『ダイナ』のネオフロンティアスペースの人間でTPCの情報局員だったシズマ・ミツクニは原因不明のマシントラブルが多発するエリアに調査に向かったのだが時空の渦に飲み込まれて『トリガー』の次元にやって来たとの事。
マシントラブルが多発するエリアがどこなのかは語られていないが『ティガ』『ダイナ』『サーガ』とネオフロンティアスペースでは次元を超える穴が開く事が度々ある。

 

シズマ会長の正体を知らされたケンゴは「別の地球!? ハルキさんと同じように」と驚く。既にハルキと言う次元を超えてやって来た人間がいるので今回の話でシズマ会長が別次元から来たと言うのは本当かどうかと言うところでウダウダしないでサクッと次の会話に進めたのは良かった。ニュージェネレーションシリーズでは恒例となった次元を超えてのウルトラマン客演を上手く使った。

 

『ナースデッセイ開発秘話』でホッタさんがガッツウイングは当時の地球の技術を考えると明らかにオーバーテクノロジーだと言っていたが実際に別の次元から持ち込まれたオーバーテクノロジーであった事が判明する。

 

「もしかして、シズマ会長がいた地球にもウルトラマンが存在していたんですか?」と尋ねるケンゴ。ここでケンゴはティガの存在を知り、シズマ会長が自分に何を期待していたのかが分かる。

 

「彼には何度も助けられた。光の巨人……ウルトラマンティガ!」
やっぱりティガのデザインは美しいなぁと改めて思う場面であった。

 

アキト「俺が祝ってもユナは……」、
ケンゴ「何言ってんだよ。アキトなら絶対にユナの事を笑顔にしてあげられるって」、
アキト「ホント、ウザい」。
アキトは思考がネガティブになる事が多いので出来るだけポジティブに物事を考えようとするケンゴとの組み合わせはバランスが取れていると思う。

 

テッシン「隊長、最後までやってくださいよ」、
タツミ「出来ない」、
テッシン「出来ない!? 隊長ってアレですか。普段あんまりこういう事やらないんですか?」、
タツミ「やらんな」、
テッシン「でしょうね」。
前回の「繁殖する侵略」もだったがタツミ隊長は真面目で少し怖い雰囲気がコミカルな状況とのギャップで面白さが生まれる。
テッシンはボケ役のイメージがあるがタツミ隊長とのやりとりを見ると実はツッコミ役の方がハマるかもしれない。

 

シズマ会長の妻でユナの母親であるシズマ・ユリカが回想で登場。彼女こそがユザレの血筋であった。そう言えば『ティガ』でも『トリガー』でもユザレの力に覚醒するのは女性ばかりであるが、女性にだけ現れる力なのかな?
シズマ・ユリカを演じるのは『炎神戦隊ゴーオンジャー』でゴーオンイエロー楼山早輝役だった逢沢りなさん。早輝のモットーが「スマイルスマイル♪」なのでこのキャスティングは予想外だったけれど上手いなぁと思わず唸るものであった。

 

GUTSファルコンの開発を進める中でガッツウイングはプロトタイプとして改造を施されて遠隔操作が出来るようになっていた。
『ティガ』のBGMと共にトリガーを援護するガッツウイングに見ているこちらのテンションも上がる!

 

それにしてもシズマ会長の操縦技術がヤバすぎる!
動き自体も凄いけれど攻撃を受けて出火したら池を撃って水しぶきを上げて消火するとか、アンタ、本当に情報局員だったの!?と思う発想力であった。実際に乗るのと遠隔操作とではまた色々違うと思うが『ティガ』時代でもGUTSに入隊して活躍出来るんじゃないのかと思えるレベルだった。

 

今まではユザレが自分や周りの身の危険を感じたらユナの意識を押しのけて出ていたが、今回はユナがユザレを呼び出そうとして、ユザレが現れてもユナは意識を失わないようになった。

 

超古代ではユザレに石化光線を返されて自身が石になってしまったガーゴルゴンだが現代の戦いでは間一髪避けている。ちゃんと学習していてちょっと感動した。

 

アキトのユナへのプレゼントはデコったスタンガンであった。
こいつ、頭も顔も良いがモテないな……。

 

シズマ会長が自身の素性を明かしたのはGUTS-SELECTを一致団結させる為となっているが実はまだユナとケンゴの正体については伏せたままだったりする。
ふと思ったが、指揮官のタツミ隊長、ナースデッセイ号とGUTSファルコンを操縦するテッシンとヒマリ、宇宙人として豊富な知識を持つマルゥル、開発担当のアキトとそれぞれ役割があるのだがユザレであるユナとトリガーであるケンゴはGUTS-SELECTの中では役割が無いんだよな。

 

『トリガー』の世界は『ティガ』の世界との繋がりが強くてニュージェネレーションシリーズの中でも異色な感じを受けるが、よく考えたら登場する怪獣は「この作品で初めて出る怪獣」「過去の作品に登場した怪獣」「過去に登場した怪獣の新種や派生やオマージュ」となっていて『コスモス』以降の多くの作品と同じだったりする。
『トリガー』は闇の巨人、ゴルバー、ガゾート、デバン、キリエル人と『ティガ』関係の怪獣が多くいるが、それでも全体の半分以下なので、『ティガ』のTVシリーズのような話の作りだと『ティガ』っぽさを出す事はかなり難しかったかもしれない。
そう考えるとカミーラ達をオマージュしたカルミラ達をレギュラーにする事で『トリガー』は全体に『ティガ』のイメージを付ける事が出来たのかもしれない。

 

『トリガー』に『ティガ』の要素を強く感じるのは闇の巨人の他にGUTSが登場したからだと思われる。これまでのウルトラシリーズでは世界観が繋がっている昭和シリーズと『メビウス』や『ティガ』と『ダイナ』を除いて特別チームの設定が再登場する事は殆ど無かったので、『ティガ』のGUTSを継ぐGUTS-SELECTの登場で『トリガー』に『ティガ』のイメージを感じる事が出来た。
実際に見るとGUTS-SELECTは『ティガ』のGUTSより『ダイナ』のスーパーGUTSに近いところがあるが、今回の話でGUTS-SELECTがスーパーGUTSと同じくGUTSを元に作られたチームと分かって妙に納得できたところがあった。

 

『ティガ』の世界と『トリガー』の世界の関係だが、『トリガー』の世界は「この作品で初めて出る怪獣」「過去の作品に登場した怪獣」「過去に登場した怪獣の新種や派生やオマージュ」で構成されているので実は『ティガ』関係の怪獣がちょっと多いだけで多くのウルトラ作品の世界と同じだったりする。
ユザレは『ティガ』と『トリガー』で違う役者が同じ名前と似た設定で登場しているが、こちらも『ティガ』と『マックス』で上田耕生と言う人物が違う役者で同じ名前と設定で登場している前例があるので、マルチバースでは他の次元に顔は違っているが名前が同じで設定も似ている人物がいると言う事かな。
こうして見ると『ティガ』の世界と『トリガー』の世界は元々は他の世界と比べると共通点が少し多いかなくらいな関係だったが、そこに『ティガ』の世界からシズマ・ミツクニがやって来てGUTSの知識と技術を広めた事で『トリガー』の世界は『ティガ』『ダイナ』の世界にグッと近くなったと言える。一人の人間がここまで世界を大きく変えたと言うのはウルトラシリーズでは他に例が無いかもしれない。

 

 

「操縦系を切り替えろ」
『ナースデッセイ開発秘話 ~特務3課奮闘記~』第9話
脚本 足木淳一郎
監督 村上裕介

 

「これだから社会を知らない高校生は! 他人の苦労も知らないで自分勝手に!」。
ホッタさんが嘆きたくなるのも分かるなぁ……。しみじみ。今回は他にも会社勤めをしていると分かるネタが大量にあってある意味で大人向けの回とも言える。

 

アキトは人的損害を抑える為にGUTSファルコンを遠隔操縦型に変更する事を決定。その為のシステムまでアキトは既に考えていたが、ホッタさんはトライアルをしっかりやってデータを蓄積してからGUTSファルコンに使いたいと考え、それを聞いたマルゥルは並の機体ならGUTSファルコンの代わりにならないがガッツウイングならテスト機に使えるのではないかと思い付く。
こうしてTPUの虎の子であるガッツウイングはGUTSファルコンのテスト機になったのだが、そのおかげでユナを守る為に自分がガッツウイングを遠隔操縦する時が来るとはさすがのシズマ会長も予想してはいなかっただろうなぁ。

 

シズマ会長の返事のメールが「いいよ」と言う軽い一言だけだったと言うのはなんか分かる気がする。自分の中で宅麻伸さんはそういうイメージがある。