帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「亜空間 -メタフィールド-」

Episode04 亜空間 -メタフィールド-」
ウルトラマンネクサス』第4話
2004年10月23日放送(第4話)
脚本 長谷川圭一
監督 根本実樹
特技監督 菊地雄一

 

ブロブタイプビーストペドレオン
クライン時 体長 5m~10m 体重 個体によって差異あり
グロース時 体長 20m~50m 体重 2万5千t~4万5千t
フリーゲン時 全長 40m 体重 3万t
より強力なビーストになる為に47のペドレオンが融合した。
ナイトレイダーの攻撃を学習して体内の可燃性ガスを火球として発射するようになる。その他にも触手を巻き付けてからの電撃、口内を発光させて相手を吹き飛ばすと言った新たな能力を身に付けていた。
再びメタフィールドに引きずり込まれるとネクサスハリケーンで動きを封じられて最後はオーバーレイ・シュトロームで消滅させられた。

 

物語
再び融合してグロースになったペドレオンを殲滅させる為にナイトレイダーは新型のクロムチェスターγを実戦投入する。
しかし、学習によって急速に進化していくペドレオンはナイトレイダーの攻撃を振り切って市街地へ向かう。そこに再びネクサスが現れる!

 

感想
全4話と長かったファーストエピソードも今回で完結。
『ネクサス』は週一の放送には向いていなかったがまとめて見ると面白さが分かると言われる事がある。
『ネクサス』のような連続形式はウルトラシリーズでも『ガイア』があったし当時は平成仮面ライダーも定着していたのだが、これらの作品と比べると『ネクサス』はやりたい事をファーストエピソードに詰め込みすぎた感じがした。
例えば平成仮面ライダーの『クウガ』は2話ごとに新フォームや新アイテムをどんどん出していたし、『アギト』や『龍騎』は最初に複数のライダーを登場させてライダーバトルを展開して視聴者の興味を引いた後で世界観の細かい描写に移っていた。ウルトラシリーズの『ガイア』も第3話から第5話で二人目のウルトラマンであるアグルを出した後で根源的破滅招来体やXIGの細かい話に移っていった。
一方の『ネクサス』はウルトラマン、ビースト、ナイトレイダー、MPと言った要素を全て詰め込んだ事でファーストエピソードが平成ライダーでもあまり見られなかった四部作となってしまった。ただでさえ平成ライダーと違ってウルトラシリーズはまだ一話完結のイメージが強かったので、最初から全てを説明するのではなく取り上げる要素を絞って前後編あたりで話を始めた方が良かったかなと思う。

 

平木隊員によるとイラストレーター吉良沢は予知能力者でビーストの出現を感知できるらしいとの事。
劇中見る限り、吉良沢にある程度の未来予知が可能だったとしても毎回のビーストの出現を予知できていたとは考えにくく、ビースト振動波とビーストはレーテの周辺に多く現れると言う情報から出現ポイントを絞っていたと思われる。(一方の姫矢はエボルトラスターでビーストの出現を感知していたと思われる)

 

姫矢が西条副隊長の前に突然現れたり消えたりしているが後の話を見るといつも瞬間移動をしているわけでは無さそう。(瞬間移動が毎回出来るのなら森の中を走っていないでビーストが人間を襲っている場所に瞬間移動すれば良い)
今回の話で吉良沢がホログラムで孤門達の前に姿を現しているので、姫矢の神出鬼没もホログラムを飛ばしているようなものなのかもしれない。これなら現場にいても変身して戦わなかった事の説明が付く。

 

西条副隊長の回想シーンで『ULTRAMAN』でザ・ワンに寄生された時の有働のような謎の男が現れる。
孤門が「人を救う」事を何度も繰り返しているのに対して西条副隊長は「人を救う為ではなく自分の復讐を果たす」為にナイトレイダーに所属している事が分かる。
孤門と西条副隊長はどちらも子供時代の記憶がその後の人格形成に大きく関わっていて、それがそのままネクサスへの接し方の違いとなっている。

 

MPの首藤リーダーは表情が変わらず口だけ動いている感じなのが機械的で怖い。

 

ミッションエリアの封鎖にはホワイトスイーパーの他に事情を知らない一般の警察も加えられていた。ホワイトスイーパーの手が足りない時は一般の警察官を使って戦いが終わったら記憶を処理してしまうと言うのは合理的な感じがするが、人間を駒のように扱う組織を見ると、今回は人間の脅威であるビーストを倒す為なのでまだ分かるが、どこかでTLTの都合だけで人々を駒のように使ったりTLTにとって不都合な真実に対して記憶処理を行ってはいないのかと言う疑いはどうしても抱いてしまう。

 

平木隊員が警察官を気にしてペドレオンを撃てなかった事から人命よりビースト殲滅を優先すると言う過激な考えを持つのは吉良沢と西条副隊長ぐらいである事が分かった。ホッとした。

 

前回の戦いではペドレオンの飛翔体に追いつけなかったナイトレイダーだが今回は新型のクロムチェスターγで追いかけて攻撃している。

 

ペドレオンを前にして孤門は逃げずに戦う。
途中に挟まれるリコの家族の描写は孤門は人々の幸せを守る為に戦うと言うのが明確になって良かった。

 

今回はファーストエピソードのラストバトルなのでこれまでの話を思い出させるものが多かった。出来れば「残弾の数は常に把握する事」と「諦めるな!」の台詞もベタでも入れてほしかった。

 

吉良沢は作戦の説明の時にナイトレイダーに向かって「巨人がまた現れるとは限らない」と言っていながら実際はネクサスの出現を計算に入れていた。
ゲーム感覚で物事を見ているように思えるが実際は予知能力者として普通の人間より一つ先の段階に行ってしまっているが故の言動であった。
この頃は憐がいないので吉良沢の心情は掴みにくいところがあった。

 

ペドレオンの攻撃がメタフィールドの光の壁に阻まれた事からメタフィールドの中から外へ攻撃できない事が分かる。
そう考えるとやはり前回の戦いで起きた空中の爆発はメタフィールドがまだ不完全であったからと考えられる。(外界との遮断が完全では無かったのでペドレオンにも逃げられたのかも)

 

メタフィールドの中は異世界の雰囲気が上手く出ていたが、荒野だけなのはちょっと寂しかった。当初は未来の姿として破壊された地球や過去の記憶として朽ちた遺跡やビーストの化石が入れられる案もあったらしいが、そう言ったプラスアルファが欲しかった。
ザ・ネクストの時はメタフィールドを使わなかったので、これはネクサスになってからの能力だと思われる。ザ・ネクストからネクサスへの変化は地球の環境に適合した結果らしいのでメタフィールドの能力はその過程で身に付けたものなのかもしれない。(なので新宿大災害の記憶を持っている吉良沢もメタフィールドに関する情報は持っていなかった)
メタフィールドの設定は『コスモス』で予算の関係で戦闘の場所が山の中ばかりになってしまった事への対応策との事。成功した部分と失敗した部分があると思うが、前作の問題点をこのような設定を作って解決するのは面白かった。