帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「予知者 ーイラストレーターー」

Episode13 予知者 ーイラストレーターー」
ウルトラマンネクサス』第13話
2004年12月25日放送(第13話)
脚本 村井さだゆき
監督 根本実樹
特技監督 菊地雄一

 

フィンディッシュタイプビーストノスフェル
身長 50m
体重 3万9千t
倒されたと思われたが生きていた。
動物園で孤門と偶然出会った山邑家を襲う。

 

物語
リコの死に傷付く孤門の心を溝呂木がさらに追い詰めていく。
果たして姫矢や西条副隊長の言葉は孤門に届くのか?

 

感想
クリスマスなんて関係無い!とばかりに展開される鬱描写。
出口の無い「悪夢」のような幻はまさに「悪魔」が作った「迷路」であった。

 

孤門がバラバラのマネキン人形を抱き締める場面が印象的だが、その少し前の場面で孤門はマネキン人形二人をリコの両親だと思って挨拶している。つまり、第三者にはマネキン人形に見えるが孤門にはそれが人に見えていたわけだ。
と言う事は孤門が抱き締めていたマネキン人形の首はひょっとしてリコの……。

 

実戦投入は次回からだがメガキャノンチェスターが登場。
ドリルメカ以外の地上メカはウルトラシリーズでは珍しい。個人的に東宝怪獣映画を思い出すので地上メカは残してほしいところ。
『ネクサス』の前半はビーストの進化に合わせてナイトレイダーに新兵器が導入されていって最終的にウルティメイトバニッシャーを備えたハイパーストライクチェスター完成へと繋がる流れになっている。
このようにメカの増強に一つの流れを作っていったのは連続物ならではと言える。「オモチャの扱いが……」と言われる『ネクサス』だが、こうして見ると商品展開を物語の流れにちゃんと組み込んでいた事が分かる。

 

孤門に幻影を見せたり異次元世界を自由に出入りしたりと溝呂木の悪魔的能力が如何無く発揮された話。姫矢がこれほどの能力を見せた事は無かった。
ここは『ULTRAMAN』で人間を完全に食べなかったザ・ネクストと真木が能力を完全に発揮できずに苦戦したのに対し、人間を完全に喰っちまったザ・ワンと有働は能力を完全に発揮していたのを思い出す。
おそらく溝呂木は完全に人間を捨てて力を受け入れたのでここまでの力を発揮したのだろう。姫矢が変身する度に疲弊していったのに溝呂木には変身による疲弊等が見られなかったのも同じ理由かもしれない。

 

溝呂木が孤門を狙ったのは西条副隊長にある闇の資質を気付かせる為らしい。ただ、具体的にどうしたかったのかはイマイチよく分からなかった。
精神をズタズタにされた孤門に前回と同様に黒い塊が取り憑こうとしていた。おそらく溝呂木はこのまま孤門を自分の手駒にするつもりだったのだろう。
このように人間でありながらビーストに取り憑かれて怪物化した人間はビーストヒューマンを呼ばれるらしい。

 

姫矢は孤門を救う為に溝呂木の位相に干渉して闇のダークフィールドを光のメタフィールドに変換しようとした。
これまでファウストによる位相変換はあったがネクサスによる位相変換は今回が初めて。

 

追い詰められた孤門を救ったのは西条副隊長の平手打ちだった。
さらに西条副隊長は大切な人を失った悲しみをビーストへの憎しみに変えて戦えと伝える。
殆どのヒーロー作品では憎しみは否定されるもので『ネクサス』でも最終的には否定されるのだが、一時的でも憎しみが肯定されてどん底まで落ちた孤門が再び動き出すきっかけの一つとなったのに正直言って驚いた。
こういう人間の心の暗部を主人公の孤門できっちりと描いた結果、他のウルトラシリーズには無い『ネクサス』ならではの密度の濃い成長ドラマが生まれる事となった。

 

孤門を追跡していた三沢だったが溝呂木によって振り切られてしまう。
この時は常人の三沢と超人の溝呂木と言う構図だったが、後に三沢が闇の力を手に入れて闇の力を失った溝呂木に止めを刺す事になるとは誰が予想したであろうか……。

 

「来訪者」「M80さそり座球状星団」「超新星爆発」「特殊なニュートリノ」「忘却の海」「レーテ」と気になる言葉が次々と出て来る回。
このように気になるワードを散りばめて視聴者の興味を引く手法は『新世紀エヴァンゲリオン』で注目されたものだった。『ULTRA N PROJECT』の目的の一つに視聴者層の拡大があったので90年代後半にアニメの枠を超えて社会現象となった『新世紀エヴァンゲリオン』を意識するのは納得できる。
個人的に『新世紀エヴァンゲリオン』は好きな作品なのでウルトラシリーズでその作風を意識した作品が作られた事は素直に嬉しかった。

 

孤門が動物園で会った家族がノスフェルに襲われるラストシーンは衝撃的。
リコもそうだったが無関係な人達を悪意を持って襲うと言うのが悪辣。

 

怪獣は基本的に特定の人間を襲うのは稀で大抵は建物を破壊しているだけなのだが、ビーストは「人間を襲う」と言うのを明確にしているので恐怖が増しているところがある。(ただ、この恐怖は「怪獣的」と言うより「モンスター的」な感じかも)