帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「監視者 -ウォッチャー-」

Episode30 監視者 -ウォッチャー-」
ウルトラマンネクサス』第30話
2005年5月7日放送(第30話)
脚本 太田愛
監督・特技監督 八木毅

 

レプタイルタイプビーストリザリアス
身長 51m
体重 3万6千t
口から強力熱線を吐く。
シュトロームソードで倒されたが細胞の一部がアンノウンハンドに回収された。
名前の由来は「リザード(蜥蜴)」かな。
肩書きの「レプタイル」は「爬虫類」と言う意味。
『コスモス』の「邪悪の巨人」のネルドラントⅡの着ぐるみを改造している。

 

物語
力を合わせてリザリアスを倒したネクサスとナイトレイダー。
憐に会いに孤門と瑞生は遊園地に向かうが、そこで憐を監視する謎の人物と遭遇する。

 

感想
リザリアスはゴジラを思わせる重量感溢れるタイプで、これまでのビーストにはいなかったオーソドックスな怪獣なのが逆に新鮮だった。

 

ホワイトスイーパーが飛び散った怪獣の破片を回収する場面は『ゴジラVSビオランテ』のゴジラ細胞を思い出した。
ゴジラ細胞みたいにTLTがビースト細胞を入手して研究・兵器化する話があっても面白かったかもしれない。

 

ULTRAMAN』のザ・ワンとの繋がりでネズミ、イヌ、トカゲ、カラスの4種は特に強力なビーストとして設定されていた。このうち、ネズミはノスフェル、イヌはガルベロス、トカゲはリザリアスとなったが、カラスだけは放送期間が短縮された為に登場が無くなってしまった。残念。

 

脚本の太田さんによると憐と瑞生の話は親のいない憐が父親になれるかもしれない話だったとの事。ハリスは子供のいない親代わりとして親のいない子供の憐と関わる予定だったのかな。
放送期間の短縮もあって親子を題材とした話があまり作られなかったのは残念。因みにその数少ない親子を題材にした話が憐を命の危機に追いつめた松永管理官の話だったと言うのは興味深い。

 

「ウルティメイトバニッシャーは何者かにデータを消去されて使用不可能となった」「北米本部の考えは二つに分かれている」「TLT-Jにもスパイがいる」と今まで本筋に絡んでいなかった石堀隊員がいきなり作品の謎に切り込む発言をして驚いた。
因みにウルティメイトバニッシャーを使用不可能にしたスパイの正体は実は石堀隊員だった。和倉隊長に疑問をぶつける事で自分はそれらの謎や疑問を追及する人物だと和倉隊長と平木隊員に思い込ませ、後の新宿大災害の情報暴露からナイトレイダーの反乱と言う流れをここで作っている。
こういう謎の多い作品で謎を解こうとする人物が実は全ての謎を作っていた黒幕と言うのは驚きであった。

 

「第3のデュナミストはプロメテの子」「プロメテウス・プロジェクトを推し進めたのは北米本部」「プロジェクトの基盤となったハイパージェネティック理論は来訪者によってもたらされた」「忘却の海レーテ」と「予兆 -プロフェシー-」に続いて気になるワードが並べられた今回の話。これまでバラバラだったワードも一つの大きな流れにまとまってきた。
吉良沢はこの流れから憐がデュナミストになった意味を探ろうとしたが実は上記のワードと憐がデュナミストになったのは無関係であった。ウルトラマンに選ばれるのはこういう理屈ではないのだ。
この場面の文字が浮かび上がる演出はアニメっぽいが『ネクサス』には合っていた。椅子に腰かけた吉良沢が脳内で思考を取り留めなく巡らせると言う体の動きの無い場面だったので、それを飽きさせないようにする良い演出だったと思う。
因みにこの一連の話の後にクラゲ=来訪者がアップで映し出されていて全ての鍵が来訪者に繋がるようにされている。

 

嘘が吐けなくて憐の親について尋ねられてしどろもどろになったり、瑞生に監視者の事を告げられてすぐに振り向いたり、逃げる監視者を追いかけようとして失敗したり、やはり孤門は戦う事に向いていないんだなぁと改めて感じる話であった。西条副隊長がいたら「何やってるの!」と怒鳴られていたであろう。

 

孤門とは逆に瑞生はこれまでのドジっ娘MPの印象を覆す大活躍。
既に面識のある孤門相手に初対面として振る舞ったり、監視者の存在を見抜いたり、意外とアクションが出来たりと実は凄腕だった事が分かる。ぶっちゃけ、対象者に毎回毎回逃げられている三沢よりMPとして優秀なんじゃないかと思う。

 

因みに監視者が逃げた方向から尾白が走ってやって来たので尾白が監視者ではないかと言うミスリードがされている。TLTのスパイ問題でも石堀、和倉、平木、松永の全員に怪しい演出がされていて、ウルトラシリーズでは珍しく誰が敵で誰が味方か分からない感じになっている。

 

憐がデュナミストになる前から監視を行っていた事から監視者はプロメテウス・プロジェクトの関係者と推測されるが、以前に吉良沢が話したサイクロプスの哀しみを考えると憐がデュナミストになる事を予知して監視していたとの推測も成り立つようになっている。

 

バーベキューの後に皆で夜空の星を見上げて鳥の話をする場面はナイトレイダー、MP、プロメテの子にしてデュナミスト、一般人の4人が並んで普通の若者として語り合う形になっている。
本来は出会う事の無い立場の違う人達が同じ場所に集まって同じ話題で盛り上がると言うのはこういう特殊な設定を持つ作品だからこそ描けるところがある。