帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「スカードノクターン」

「スカードノクターン
ウルトラマンブレーザー』第13話
2023年10月7日放送(第13話)
脚本 足木淳一郎
監督 宮崎龍太

 

物語
これまでの戦闘記録を資料化する事にしたアンリ隊員。
事件が起きない夜。SKaRDの隊員はそれぞれ気になっていた事を話し合う。

 

感想
恒例のTVシリーズ中盤での総集編。
因みに「ノクターン」は「夜想曲」と言う意味。前作『デッカー』の「ジャンブル・ロック」に続いて音楽を意味するサブタイトルとなった。

 

ヤスノブ隊員はエミ隊員に頼まれて知り合いのアマチュア天文家にバザンガとゲバルガが全く同じ軌道を通って地球に侵入していた事を確認し、二体は同じ星から来ているのではないかと言う噂を手に入れる。
宇宙関係では他に「オトノホシ」のガラモンがいたが、ガラモンの軌道が違った事で逆に同じ軌道を通っているバザンガとゲバルガに同じ星から来た可能性が出てきたと言うのが上手かった。

 

バザンガとゲバルガの共通点をネットの掲示板に書き込むと速攻で削除される事から都市伝説的な陰謀論が出てくるがこれが『ブレーザー』後半の一つの軸となる。

 

1999年に防衛隊に撃墜された隕石もバザンガとゲバルガと同じ軌道を通っていたと言う話が出てきて、さらに「エミ、かく戦えり」でエミ隊員がノヴァイオで発見した防衛隊の資料に書かれてあった「V99」が再び取り上げられる事になる。
エミ、かく戦えり」は一つの話として綺麗にまとまっていながら今回の話で実は伏線回でもあった事が判明する。個人的には明らかに後の話に続く謎を出す作りも好きだが最初にその話を見た時はちゃんと完結していたが後の話で実は伏線回だったと分かる作りも気付いた時の衝撃や感動があって好きだ。

 

メビウス』から「超獣」を他の怪獣とは違う扱いにしてきたが、『ブレーザー』では「宇宙怪獣」を地球怪獣とは厄介さが違う存在として扱っている。
同じ怪獣でも「地球怪獣」「宇宙怪獣」「超獣」とカテゴリーが分けられているのなら今回のようにそれぞれの違いを出していった方が面白くなると思う。

 

今回は部隊がSKaRDCPから動かないからか登場人物の配置等で変化を付けていて、資料作りの時はアンリ隊員とヤスノブ隊員が同じ方向を見ていて、バザンガとゲバルガの話ではエミ隊員とヤスノブ隊員が面と向かっていて、経歴や人生の話ではエミ隊員とアンリ隊員が途中まで背中合わせになっていて、ブレーザーの話ではテルアキ副隊長の問いかけにゲント隊長は途中まで背中を向ける形になっている。この辺りはそれぞれの心理状態が透けて見えるところがあって色々と考察しがいがある。

 

エミ隊員の父親は娘の誕生日より憧れの学者の記念日に祝杯を挙げる人物だったらしい。田口監督メイン作品によくあるメチャクチャ細かく設定されている登場人物の年表を出してきたのかなと思いきやこちらも後の話の伏線となっている。

 

今回の話を見ているとテルアキ副隊長はブレーザーとゲント隊長の関係を疑っているような感じを受ける。(『初代マン』でイデ隊員がハヤタ隊員にウルトラマンの事を話したのは両者の関係を疑っているからではないか?みたいな感じ)

 

いつの間にか寝ていたアンリ隊員。目覚めるとこれまで入力したデータが全て消えていた。
キーボードの上で寝ていたので誤って消してしまったのかなとも思えるが、アンリ隊員の落書きを見ると、あのままではアンリ隊員がV99の謎に辿り着く恐れがあったのでアンリ隊員が寝ているうちにエミ隊員がデータを消した可能性もあると自分は考えている。

 

今回の話を見ると『ブレーザー』の後半でテルアキ副隊長がゲント隊長とブレーザーの関係に確信を抱いたり、アンリ隊員がエミ隊員の抱えている事情を知って一緒にV99の謎に迫ったりする話がありそうだったのだがそういう話は無かった。
何となくだが『ブレーザー』は他のウルトラシリーズと比べると「それぞれの問題は出来るだけ自分で解決する」ところがある。毎回起きる事件はチーム全員で対処するが個々の事情には深入りしないと言う感じかな。