帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「第3波接近襲来」

「第3波接近襲来」
ウルトラマンブレーザー』第24話
2024年1月13日放送(第24話)
脚本 小柳啓伍
監督 田口清隆

 

宇宙爆弾怪獣ヴァラロン(第1形態)
身長 55m
体重 6万6千t
月に落下するが生み出した有機爆弾を使って月の軌道を変えて地球にぶつけようとする。
月に来たアースガロンMod.4を返り討ちにし、ブレーザーからエネルギーを吸収して第2形態にパワーアップする。

 

宇宙爆弾怪獣ヴァラロン(第2形態)
身長 60m
体重 6万9千t
月でアースガロンMod.4とブレーザーを退けると月の破片を利用して地球へと向かった。

 

物語
「サード・ウェイブ」であるヴァラロンは有機爆弾を使って月の軌道を変えて地球にぶつけようとする。
ヴァラロンを倒す為、SKaRDは決死の覚悟で月に向かう事となる。

 

感想
エミ隊員の父親が残した日記を読みながらサード・ウェイブの動向を聞いていたドバシはヴァラロンが月の軌道を変えて地球にぶつけようとしている事を知ると「何だとぉ!?」と怒りを露わにして日記を燃やしてしまう。
日記にはエミ隊員の父親がV99との対話を望んでいた事が書かれてあったがドバシがそれを燃やしてしまったのは証拠隠滅の他に「月の軌道を変えて地球を滅ぼそうとする奴らと対話なんか出来るか!」と言う怒りもあったのかな。

 

全ユニットを統合運用して宇宙での作戦能力も付与されたアースガロンMod.4が登場。
巨大怪獣と同じ大きさで、強い火力を誇り、空中戦や宇宙空間での戦闘も可能とアースガロンは遂にウルトラマンに近い動きが出来るところまで来た。

 

アースガロンが宇宙からの敵を想定していた事からエミ隊員はアースガロンがV99用の兵器だった事に気付く。
V99案件は元々は1999年からと四半世紀も前から始まっていたのだが2023年にV99と関わりのあるバザンガが現れてから作業のペースが速められたところがある。しかし、数ヶ月でアースガロンを実戦に投入して宇宙空間で戦闘させるまで進めるのは無茶なスケジュールだったらしく、地球滅亡の危機と言う一番肝心な戦いを準備不足で迎える事となった。
怪獣や侵略者は1999年以前からずっと現れていたので、V99が来なくてもアースガロンの計画をもっと早く進めて実戦に投入していたらもう少しマシな状況でヴァラロンを迎え撃つ事が出来たと思われるがこういうところが『ブレーザー』の防衛隊っぽいと言える。

 

アースガロンは『Z』の特空機や『トリガー』『デッカー』のナースデッセイ号等と比べると活躍が少なかったが、「アースガロンは戦力として心許ない」と言う印象があった事で今回の作戦の危険度が視聴者に伝わったところがあると思う。

 

基本的にゲント隊長は場がシリアスになりすぎないように努めている。
なので今回のコミカルさが一切無い作戦指示は緊迫感があった。

 

ゲント隊長とハルノ参謀長のやりとりを見ると、ハルノ参謀長は高圧的であったけれど最初に方向性をハッキリと示してそれを強く言ってくれるので、実は部下のゲント隊長としては心強いところがあったのかもしれないと感じた。上司が決断できなくてフラフラしているのが部下としては一番不安で困る状況になる。

 

エミ隊員の「仲間と思っている」と言う言葉に「嬉しい」と答えるアーくん。遂にアーくんは「嬉しい」と言う感情を表現できるようになった。
そしてエミ隊員の説得を受けたアーくんは機密事項に抵触するのでV99に関係する事は喋れないがあるデータをエミ隊員に渡すと言う判断を下す。

 

「月の公転軌道に影響が出る」と言う大きな情報を防衛隊が公表したのは意外だった。
作戦の成功率も低そうなので『シン・ウルトラマン』のように一般市民には情報を隠したままにすると思った。

 

ジュンが見送ると言っていたのに予定より早く家を出てしまうゲント。悪気は無いのだろうが息子の気持ちを軽く見ているよな……。
ジュンが作ったブレスレットを付けて「これがあれば目一杯頑張れる気がしてさ」と言っているので息子の事を粗末に扱っているわけではない事は分かるのだが、ゲントのそういう気持ちをジュンは直接聞く事が少ない。簡単に言えば「ゲントは息子への想いをちゃんと喋ってはいる」が「ジュンは父親の想いをちゃんと聞く機会があまり無い」んだよね。ジュンはそれでもグレる事も無く成長してくれたのだが、それはたまたま上手くいったところがあって、では、それが上手くいかなかったらどうなってしまうのかは『大怪獣首都激突』のマブセ父子で描かれる事になる。

 

源川「ドバシ長官!?」、
ドバシ「元だよ元!」、
と言っていながら横で作戦に口を出してくるドバシ。
ドバシの指示に源川司令官があえて「了解」と答えたのは「元長官」と言っていながら長官のように振る舞っているドバシへの批判・皮肉だと思われる。

 

ゲント隊長の体調が悪化した事もあって今回のブレーザーは変身して戦う事を拒否していたがゲント隊長の説得を受けるとブレーザーストーンが光ってブレーザーブレスが現れる。
ニュージェネレーションシリーズは一体化した人間とウルトラマンがコミュニケーションを取り合うので「○○変身だ!」と言う言葉を合図に変身する事が多いのだが『ブレーザー』ではストーンが光ったり熱を持ったりブレスが現れたりするのが変身の合図になっている。ここは変身アイテムが光るのが変身の合図になった第2期ウルトラシリーズを思い出す。

 

ウルトラマンに変身するも最初からカラータイマーが赤く点滅しているとどれだけヤバい状況なのかがすぐに分かる。
こうして見ると基本的にペラペラ喋る事が無いウルトラマンにカラータイマーと言う危機的状況がすぐに分かる設定を付けたのは見事だった。

 

身長55mのヴァラロンの有機爆弾の爆発で直径3,476kmの月の公転軌道に影響が出たのも驚きだが、身長47mのブレーザーが直径3,476kmの月の軌道を戻すのにも驚いた。さすがにこれはちょっと無理なのではと感じる。(『ダイナ』の「うたかたの空夢」だと夢オチではあるがダイナは火星に落ちる小惑星を押し戻す事が難しかった)