帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「泣くな! おまえは男の子」

「泣くな! おまえは男の子 ー凶剣怪獣カネドラス登場ー
ウルトラマンレオ』制作第5話
1974年5月10日放送(第5話)
脚本 阿井文瓶
監督 東条昭平

 

凶剣怪獣カネドラス
身長 62m
体重 3万9千t
頭部の角をアイスラッガーのように飛ばして攻撃する。口から炎を吐く。地球と月の間をわずか30分で移動する。
MACの攻撃を受けて一時退却するが月の裏側で休息を取った後に再び地球に侵入した。
レオに向けて飛ばした角を真剣白刃取りで奪われると逆に投げ返されて目を潰される。その後、ハンドスライサーで真っ二つにされた。

 

物語
父親を殺されて拗ねるトオルを見て、ゲンは自分がトオルのお父さんになってあげると言うが、そこに怪獣出現の知らせが来てしまう。
ゲンはトオルの視線を背に出撃しなければいけなかった。

 

感想
今回から冒頭の番組タイトル画面に「ウルトラマンレオ!」と言う子供達の声が入るようになる。

 

涙よさよなら…」「男と男の誓い」ではツルク星人打倒がドラマの軸になっていて、父親を殺された梅田兄妹のドラマはあまり描かれていなかった。今回はそこを取り上げた話となっている。
あんな惨事の後では周りの幸福な家族を見るのは辛いだろう。トオルが自分は不幸な子供なんだと拗ねてしまうのも分かる。
トオルはお父さんの子だろう? ただそれだけかな? カオルのお兄さんじゃなかったのかな? お父さんがいなくなって寂しいからと言って、それを忘れてやしないかな? 甘えたり拗ねたりする前にカオルのお兄さんだって事を思い出してみるんだよ」。
父親の言葉にトオルは自分は子供でもあるがカオルの兄でもあると言う事に気付いて拗ねるのをやめる。カオルにとって自分は唯一の家族、それも兄なのだから……。(それにしてもトオル役の新井つねひろさんは拗ねる演技が上手いなぁ)

 

ゲンはトオルを慰めようと、自分がトオルだけのお父さんになってあげると言うが、その後すぐに出撃しなければいけなくなってしまう。トオルが「おおとりさんはMACの隊員。僕のお父さんじゃない!」と言ったように今のゲンがトオルのお父さんになってあげる事は出来なかった。結局、トオルを立ち直らせたのは実の父親の声であった。
「それは感傷だ。なるほど、お前のトオルに対する気持ちはよく分かる。しかし、お前が遅れた為に何百人ものトオルが出来たかもしれんのだ」と言うダン隊長の言葉通り、今のゲン=レオにはトオルだけでなく地球の平和そのものがかかってしまっているのだ。

 

しかし、「たった一人の孤児に対して何もしてやれないのに地球だ人類だと言うのは空しい……」とゲンが言ったように、「地球」と言うあまりにも大きく実感の掴みにくいものを守ると言うのもまた難しい事。
セブンが死ぬ時! 東京は沈没する!」で出てきた「宇宙ステーションから見た地球」の場面がその後は使われなかったのもこれが理由かもしれない。そして『レオ』では「宇宙ステーションから見た地球」の代わりに梅田兄妹や百子さんと言った身近で具体的なものを通してゲン=レオが守るべき地球の平和を見せるようになった。

 

細かい部分だけど、城南スポーツクラブの家族レクリエーションで、ある子供が母親に花をあげる時に「母の日は明後日よ」と言う台詞がある。調べてみると今回の話が放送された二日後が母の日になっているのだが、そうなると金曜日の昼間に親と子供が一緒に遠足に行ったとなるので、会社や学校はどうしたのだろう?とちょっと気になった。

 

ナレーションも「奇妙」と言った対カネドラス用の特訓機。真夜中の体育館で無機質に動く機械はちょっと不気味。
ダン隊長が考案して大村さんが作ったらしいが、こういうのはMACで作らないのかな? そして以前にも書いたがゲンが巨大な怪獣を想定して特訓する事を誰か疑問に思ってほしい。

 

トオルの事が気になって特訓に身が入らないゲンに対してダン隊長は「体で覚え込まなければならない事を口や頭を使って逃げ回るような奴は足手まといだ」と批判する。屁理屈を言う前にまずは実践してみせろと言う事なのだろう。

 

今回からレオへの変身の掛け声が「レオー!」と伸ばされるようになった。

 

カネドラスがどうして地球を襲うのか劇中では判明しなかった。地球攻撃の意思は明確に持っていたので、背後に黒幕の宇宙人がいるのかもしれない。ひょっとして、マグマ星人か? この後の怪獣達もやたらと城南スポーツクラブの近辺に現れるし……。

 

大村さんは昔に剣道をしていたらしく、真剣白刃取りを見せてくれる。
爆風で気を失ったのにゲンに放っておかれた大村さんがちょっと気の毒。