帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「超音速の対決」

「超音速の対決 ー高速怪獣ザンバ登場ー
『ザ☆ウルトラマン』制作第17話
1979年9月5日放送(第23話)
脚本 星山博之
絵コンテ 高橋資祐
演出 辻勝之

 

高速怪獣ザンバ
身長 84m
体重 5万2千t
3日前にアンデス山中で発見された5匹の死体のうち生きていた最後の1匹。
ピグの計算によると、平均飛行速度はマッハ5で最大瞬間速度はマッハ8まで出せる。
超高速となった自分の体であらゆる物体を真っ二つにする。角を飛ばし、口から突風を吹く。
光り輝く物に反応する特性を持っていて、上下移動する時にバランスを崩すと言う弱点があり、科学警備隊に誘き出されて攻撃を受けた後、ジョーニアスのウルトラボディスクリューとプラニウム光線で止めを刺された。

 

物語
謎の飛行物体による被害が続出する中、極東ゾーン航空班から青木パイロットが科学警備隊に派遣される。
ライバルだったヒカリに並々ならぬ対抗心を剥き出しにする青木にアキヤマキャップはある指示を出す。

 

感想
ヒカリの同期でライバルだった青木登場。
ヒカリが優秀なパイロットと言うイメージが無かったので、ナンバー1を争っていたと言う過去にやや驚き。科学警備隊に選ばれた理由もこれだろうか?
ヒカリに対抗心を剥き出しにする青木は『セブン』の「栄光は誰れのために」に登場したアオキを思い出す。おそらく偶然だろうけれど名前も同じだし。

 

久し振りの再会にヒカリは喜ぶが、青木は求められた握手を無視するなど徹底的に敵対する。
それをヒカリは今回の事件は航空班がザンバの姿を捉えたのに調査の主導権を科学警備隊に譲る事になった不満と考えるが、青木はもっと昔から、科学警備隊ではなくヒカリ個人に対して思うところがあった。
実は青木は自分こそが宇宙ステーションEGG3勤務になると思っていたのに、それをヒカリに奪われたと思っていたのだった。
「エリートコースに乗る為に上司にどんな手を使ったか知りたいもんだ! ヒカリ! 足手まといになるなよ!」。
青木の言葉はいいかがりではあるが、ウルトラシリーズでは意外と当てはまったりする。『セブン』のモロボシ・ダン、『帰マン』の郷秀樹、『T』の東光太郎、『レオ』のおおとりゲンは上司の推薦一本でいきなり特別チームに入隊している。入隊したくても叶わなかった人から見れば何か裏に手を回したのではと勘繰りたくもなるだろう。

 

マッハ3の戦闘機でも追い付けなかった青木はザンバの飛行速度をマッハ6以上と推測。そこでトベ隊員はマッハ5を出せるように戦闘機を改造する。
ベータミーでもそのくらいの飛行速度は出せるはずと質問するヒカリに対し、トベ隊員は機動性ではなく瞬間的な加速性が必要なので実験機のスピード改造を行ったと説明。最後に改造戦闘機は実際にはマッハ8まで出せるがテスト飛行を行っていないのでマッハ5以上は出さないようにと警告する。
ウルトラシリーズではメカニックの設定が劇中で使われる事が少ないので、今回のように劇中で言及されると、スタッフはちゃんと設定を見ているんだと嬉しくなる。

 

最初は青木が操縦し、ヒカリがミサイルの照準を合わせる事になったのだが、スピードの出しすぎに機体が耐えられないと判断したヒカリは追跡を断念。
ミサイルを撃たなかったから逃がしてしまったと責める青木と機体が壊れてしまうところだったと反論するヒカリをアキヤマキャップは諌めて担当を交代させる。
照準を合わせるのは誰でも出来ると不満を漏らす青木に対し、アキヤマキャップはナビゲーターの重要さを説き、ブースター付きミサイルは一発しかない、全スタッフの期待がかかっていると語り、ヒカリに対しても青木に力を貸してやれるのはお前しかいないとフォローを入れる。

 

機体がこれ以上のスピードに耐えられないと知ったトベ隊員はミサイルにブースターを付けてザンバの飛行速度に対抗する事を発案。
再び現れるザンバに対し、青木はプレッシャーの中、照準を合わせるが、酸素ボンベが壊れて呼吸困難に。それを知ったヒカリは自分の酸素を送り、蘇った青木は見事ミサイルを命中させる。自分の手柄に喜ぶ青木だったが、ヒカリが自分の為に酸素を送っていた事を知って衝撃を受ける。
一方、ダメージを負ったザンバはヒカリと青木の戦闘機を襲撃。墜落していく中、ヒカリはジョーニアスに変身して戦闘機を救出。スーパーマードックの援護を受け、ジョーニアスはウルトラボディスクリューとプラニウム光線で勝利を収めるのだった。
戦いが終わって、青木は救出され、ヒカリも無事が確認される。が、この場面、ヒカリは青木と同じ航空班の隊服を着て出撃していたのに、何故か科学警備隊の隊服を着て戻ってきている。いつ、どこで着替えたんだ?

 

一週間後、青木は宇宙ステーションEGG3の補充隊員に抜擢される。これにはアキヤマキャップの推薦があったらしい。考えようによっては、青木がヒカリに言い放った「上司を使った出世」であるが、アキヤマキャップが青木の能力や適性を判断して推薦した事は明らか。
アキヤマ「はぐれ鳥になるなよ」、
青木「皆と上手くやっていきますよ」、
ヒカリ「頑張れよ」、
青木「お前もな」。
宇宙ステーションEGG3へ向かうロケットの中、青木の目に光るものがあった。
「ヒカリ、ありがとう」。
ザンバと青木をはぐれ鳥として括ったのは面白いが、出来ればもっと早い段階で明確に両者の対比をしてほしかった。又、最初のヒカリと青木の再会が握手の拒否だったので、最後の別れでは二人に握手をしてほしかった。

 

同期でトップを争っていたヒカリと青木。ライバルだった二人を分けたものは一体何だったのか?
かつて青木は自分の望みが叶わなかった時にその原因を自分ではなく他人に押し付け、その後も自分の不満から他人との協調を欠いて独善的に振舞っていた。
一方のヒカリは個人の感情よりも仲間と力を合わせて使命を成し遂げる事を優先させる事が出来た。「君がウルトラマンだ」でも描かれたヒカリの精神。それが彼が科学警備隊やジョーニアスに選ばれた理由だった。

 

かつてのライバルが登場したりと今回はヒカリの主役回かと思いきや実は違う。
今回のヒカリは物語を動かしておらず、青木との因縁も台詞で触れられたぐらいで具体的な回想シーンも無く、青木にとっての「敵」と言う位置に留まっている。
では今回は青木の話だったのかと思いきや実はそれも違う。
確かに今回は青木の変化が物語の軸なのだが、話をよく見ていくと、青木が変化していく裏にアキヤマキャップの存在が見えてくる。そう、今回は迷走する若者を正しき道へと導くアキヤマキャップの話だったのだ。