「初めてのお使い ー魔神怪獣コダイゴンジアザー登場ー」
『ウルトラマンメビウス』第12話
2006年6月24日放送(第12話)
脚本 川上英幸
監督・特技監督 鈴木健二
魔神怪獣コダイゴンジアザー
身長 50m
体重 3万8千t
かつてグロテス星人が怪獣化させた蓮根神社の御神体を調査した結果、物質を怪獣化させる特殊な細胞グロテスセルが採取された。
グロテスセルは中が空洞の物に入り込むと生物のように動かす事が出来るので、GUYS総本部は巨大ロボット製作に使用しようとしたが破壊衝動をコントロールする事が出来なかった為に運用を断念した。
廃棄される事が決定したが、その運搬中にトリヤマ補佐官がカプセルを1本落としてしまい、寿限無堂に置いてあった恵比寿像に入り込んで怪獣化させてしまう。
コダイゴンジアザーは多くのグロテスセルを吸収しているので高い強度を誇り、素早い身のこなしと高い格闘技術でメビウスやヒカリを追い詰める。手にしていた鯛の像も「ショーバイハンジョー!!」の掛け声と共に口から赤い光弾を吐いて攻撃する。
怪獣化する前に恵比寿像に付いていた傷をメビュームシュートとナイトシュートで広げられ、その穴からグロテスセルが外に出て気化した事で元の恵比寿像に戻った。
物語
GUYS JAPAN総監から謎のアタッシュケースの運搬を頼まれたトリヤマ補佐官。
運搬中にアタッシュケースの中に入っていたカプセルを1本落としてしまうが、それは恐るべきメテオールであった!
果たして、トリヤマ補佐官は初めてのお使いを成功させる事が出来るのか!?
感想
ボガール・ツルギ編が完結して今回から新展開。オープニングにもヒカリの映像が追加された。
今回はトリヤマ補佐官主役回と言う事で当然のコメディ編。
コメディ編に定評のある川上さんの脚本とトリヤマ補佐官を演じる石井愃一さんの熱演が合わさって『メビウス』でも特に笑える話となった。
最初は「あんな青いウルトラマンなんぞ私はまだ信用する事など出来ないがな」と言っていたトリヤマ補佐官が最後は「ウルトラマンヒカリ様ぁ~!」と祈ってしまうお約束の展開が面白い。コミカルながらもヒカリが受け入れられていく過程が上手く描かれていた。
又、トリヤマ補佐官の「青いウルトラマンなんぞ……」と言う台詞から今まで青いウルトラマンが地球に現れていなかったと言う「群青の光と影」の伏線も張られている。
『帰マン』の「魔神 月に咆える」でグロテス星人が御神体をコダイゴンに変えたのを自分は「宇宙人なら何でもあり」と言う感じで特に気にしていなかったのだが、そこにちゃんと設定を作ってくるところが実に『メビウス』らしいなと思う。
グロテスセルをメテオールとして使えれば巨大ロボットを作り出す事が出来るのではと考えられたが、コダイゴンクラスの大きさになると破壊衝動が無意識に大きくなり、そのコントロール方法が見付からなかった為、GUYS総本部はグロテスセルを廃棄する事を決定した。
今回は無理だったが特別チームが操縦する巨大ロボットは後に『Z』で実現している。
カプセル1本のグロテスセルでコダイゴンクラスなら3体は作れるとの事。アタッシュケースにはカプセルが4本あったので、全部使えばコダイゴンを12体は作り出せた計算になる。
今回のコダイゴンジアザーは多くのグロテスセルを使って誕生したので強かったのだが、それでも今回のコダイゴンジアザー数体分を作り出す事が出来たと言うのが凄い。
それらが一斉に暴れ出したら「皇帝の降臨」「絶望の暗雲」でのインペライザー量産機襲来並みの危機になっていたかもしれない。
グロテスセルのカプセルを落としてしまったトリヤマ補佐官はミライ、テッペイ、コノミを指名して探し出す事に。この3人を指名した理由は「何となく言う事を聞いてくれそうだから」「回収した後も黙っていてくれそうだから」。まぁ、間違った人選ではない。
しかし、妙に融通が効かない真面目人間ミライは何度もリュウ達に知らせようとしてトリヤマ補佐官に泣きつかれてしまう。この天然真面目ミライとダメ人間トリヤマ補佐官のツッコミ不在のボケコンビは意外と相性が良く、「皇帝の降臨」では意外なドラマを生む事となる。
グロテスセルが入り込んだ事でガラクタが意思を持ったかのように動き出した寿限無堂。「恵比寿様からのご利益なら商売に直結!」と付喪神でも売ってしまう孫娘が逞しい。
『T』時代を思わせる素敵なデザインのコダイゴンジアザーはメビウスとヒカリの二人がかりでも苦戦を強いられ、怪獣化する前に傷付いた箇所を攻撃する事でようやく勝てた強敵。冗談抜きにボガールモンスやディノゾールリバースより強い! 凄いぞ、えべっさま!!