帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「母の奇跡」

「母の奇跡 ー宇宙斬鉄怪獣ディノゾールリバース マケット怪獣ウィンダム登場ー
ウルトラマンメビウス』第11話
2006年6月17日放送(第11話)
脚本 赤星政尚
監督・特技監督 鈴木健二

 

ウルトラの母
身長 40m
体重 3万2千t
命が尽きようとしていたツルギを復讐の鎧から解き放ち、ウルトラマンとして生きる事を説いた。

 

宇宙斬鉄怪獣ディノゾール
身長 77m
体重 5万t
元々は「渡り」を行う怪獣で、本来の進路に地球は無かったが、前にボガールに呼び寄せられて地球に来た個体の経路を辿って群れが地球圏に来た。
宇宙機雷ライトンR30マインで撃退されたが、それを通過した一体が日本に上陸。メテオールを駆使したCREW GUYSに倒されるが……。

 

宇宙斬鉄怪獣ディノゾールリバース
身長 77m
体重 5万t
CREW GUYSに倒されたディノゾールの一体が極性を反転させて復活した。
推進器官が作動しないので飛行は出来なくなったが、肥大化した尾の先端の神経節に新たな脳幹が形成されて頭部が二つになった。
本来、断層スクープテイザーは宇宙空間で水素分子を収集する為の器官であり、水を求めて熊谷ダムを目指した。
二本の断層スクープテイザーと背中から全方位に向けて発射する融合ハイドロプロパルサーで攻撃するが、メビウスのメビュームシュートと青い巨人のナイトシュートを同時に受けて倒された。
「リバース」には「反転」と「復活」の二つの意味が掛けられている。

 

マケット怪獣ウィンダム
身長 ミクロ~40m
体重 0~1万t
ディノゾールリバースの断層スクープテイザーの射程距離を越えた遠距離からの攻撃が可能と言う理由で実戦投入されたマケット怪獣。
ミクラスと同じくドキュメントUGに記録されている。
CREW GUYSと協力して、頭部からのレーザーショットでディノゾールリバースと戦うが途中で時間切れになってしまう。

 

マケット怪獣リムエレキング
身長 40cm
体重 4kg
粒子加速器は修理されたが、今はどこの官公庁にもマスコットキャラクターがいる時代として、GUYSのマスコットとすべくトリヤマ補佐官が許可した。
小さいので「Limited」、略して「リム」とコノミに名付けられた。

 

物語
ボガールとの戦いは終わったがセリザワは帰って来なかった。
リュウが新たな決意をする中、ディノゾールの群れが地球圏に迫る。
一方、ウルトラの母に助けられたツルギは……。

 

感想
ウルトラの母登場!
ウルトラマン物語』でウルトラの母を担当した池田昌子さんが声を当てている。
自分は子供の頃に『ウルトラマン物語』を何度も見ていたので、ウルトラの母の声が池田さんで嬉しかった。

 

GUYSスペーシーが宇宙怪獣襲来に備えて新たに敷設した宇宙機雷ライトンR30マイン。『セブン』の「ウルトラ警備隊西へ 前編」「ウルトラ警備隊西へ 後編」に登場したライトンR30爆弾が元になっていて、かつてキングジョーを倒した威力で今回もディノゾールの群れを追い返す事に成功した。

 

ライトンR30マインに迎撃されるディノゾールの群れを見たコノミは「可哀そう」と呟くが、それを聞いたリュウは「冗談でもそんな事は言うな。怪獣を野放しにしたら人々が死ぬ」と強く非難する。
運命の出逢い」での悲劇があるのでリュウの言い分も分かるが、ウルトラシリーズに登場する怪獣は単なる悪ではない事があるので、「怪獣は倒すしかない」と決めてかかってしまうと逆に問題の本質を見失ってしまう恐れがあると思う。

 

機雷網を越えたディノゾールが日本に上陸するが、出撃したCREW GUYSはメテオールを駆使して圧勝する。第1話の「運命の出逢い」と比べると、いかにメテオールが凄いのかが改めて分かる。
旧CREW GUYSの敵討ちを果たしたとも言えるリュウは「見ててくれたか、セリザワ隊長。これがあんたに頼まれた、今のGUYSだぜ」と呟く。

 

一度はCREW GUYSに倒されたディノゾールだったがディノゾールリバースとなって復活。天地が逆になって復活すると言うのが意表を突いて良かった。
頭が二つになって断層スクープテイザーも2本になり、ジョージやマリナでも捕捉出来なくなったと言うのもパワーアップの見せ方として分かりやすい。
又、ディノゾールリバースの首を二本にした事でウルトラマン二人を相手に戦う流れが自然になった。

 

ディノゾールリバース撃破に向けて過激な発言をするリュウを見たミライは「今のリュウはボガールに対する憎しみに心を支配されていたツルギと同じ」と訴える。
ミライがリュウにここまで強く反論する事は少ない。
そして、ミライが続けて言った「一つでも多くの命を守る為にGUYSがある」と言う言葉にリュウは初心を思い出す。

 

新たなマケット怪獣としてウィンダムが実戦投入される。ミクラスウィンダムと来れば残るはアギラだが、何故か『メビウス』には登場が無かった。カプセル怪獣3体揃い踏みは後の『ウルトラ銀河伝説』まで持ち越される事となる。

 

コノミはGUYS総本部がミクラスを失敗作と判断し、さらに誰でも使用できるように運用実験していた事を知って不満を述べる。でも、マケット怪獣が対怪獣戦用の兵器であるならば、テッペイが言ったように、コノミにしか懐かないミクラスは失敗と言える。

 

ウィンダムに指示を出すのはミライ。ミクラスの時は指示を出す事が無かったが今回満を持しての担当となった。さすがはセブンと同じウルトラ戦士と言うべきか、ミライがウィンダムに出す指示は的確で、初戦でありながら健闘していた。

 

リュウの乗ったガンウィンガーが撃墜されるが、そこにセリザワが現れて青い巨人に変身する。ツルギ時代に比べて変身シーンが明るくなった。
運命の出逢い」でツルギはディノゾールと戦うセリザワ達を助けなかったが、同じシチュエーションである今回はリュウ達を助けている。
復讐の鎧が外れた事で顔が顕わになり、ツルギ時代には出来なかったウルトラマンと人間が目と目で心を通わせる場面が今回初めて成立した。
『Radiance ~ウルトラマンヒカリのテーマ~』をBGMにしての青い巨人の戦いは新たなウルトラマンの誕生を印象付けた。

 

ボガールモンスとの戦いを終え、命が尽きようとしていたツルギは、ボガールを倒して復讐を果たした自分には生きている意味は無くなったと語るが、ウルトラの母は青い巨人の死を望まぬ人がいるとしてセリザワの姿を出す。
ウルトラの母によって復讐の鎧から解き放たれたツルギは青い巨人として再び戦う事を決意。そして青い巨人の中にセリザワ隊長の存在を感じ取ったリュウは青い巨人に「ウルトラマンヒカリ」と言う名前を付ける。「ピカッと光って現れた」からそう名付けたらしいが、逆に光らずに現れたウルトラマンっていたっけ?

 

ミライの前に現れたセリザワは「俺の中にウルトラマンがいる」と答える。
今まではツルギがセリザワの口を通して喋っていたのだが、この場面ではセリザワ自身の人格が出ている。しかし、「戦慄の捕食者」の回想シーンで描かれた過去のセリザワとこの場面のセリザワとではキャラクターが大きく異なっていて、セリザワの人格でありながら喋り方や仕草がツルギに体を支配されていた頃とほぼ変わっていない。
ひょっとしたら、『帰マン』の郷秀樹や『A』の北斗星司のようにセリザワはヒカリと人格が融合してしまったのかもしれない。ジャックやエースは合体相手の郷秀樹や北斗星司に性格等が引っ張られていったが、逆にセリザワはヒカリに性格等が引っ張られた可能性がある。
リュウの所に行こう」と言うミライの誘いにセリザワは「今のリュウの傍にはミライがいる」として一人去ってしまうが、既にセリザワは地球人としての自分は死んだものとして、ヒカリと共に新たな人生を歩む事を決めていたのかもしれない。

 

今回の青い巨人の戦いがセリザワの意思で行われていたと考えたら、これは「運命の出逢い」でディノゾールに敗れたセリザワのリベンジマッチだったと見る事が出来る。

 

今回の戦いは「ウルトラマンとして甦った青い巨人」「その青い巨人と一緒に甦ったセリザワ」「一度は倒されたが甦ったディノゾールリバース」と復活した者同士の戦いとなった。

 

今回でボガール・ツルギ編が完結。
「捕食」を軸にして、一匹の怪獣を長い期間に亘って出し続ける手法は『ネクサス』に通じるものがある。
『ネクサス』序盤では同じ怪獣が何話にも亘って登場した事でウルトラマンや特別チームがなかなか怪獣を倒せないと言うイメージが付いたが、『メビウス』ではボガールと言うレギュラー怪獣を出し続ける一方で、一話ごとに別のゲスト怪獣を配置する事でウルトラマンと特別チームを毎回活躍させる事が出来た。
『ネクサス』の反省を生かして、ウルトラシリーズならではの連続物のパターンを作り出せたと言えるが、これ以降の『メビウス』ではボガールのように何話にも亘って出続けるレギュラー怪獣は現れず、終盤に登場した暗黒四天王も1話ごとに誰かが出撃して戦っていくと言うゲスト怪獣に近い扱いだった。
この頃のウルトラシリーズではずっと出続けるレギュラーの怪獣や宇宙人はまだ例外に近い扱いであったが、後のニュージェネレーションヒーローシリーズでは今回のボガール・ツルギ編のようなレギュラーの敵と1話ごとのゲストの敵を一緒に出す作りが主流になっていった。

 

 

ウルトラマンメビウス TV & OV COMPLETE DVD-BOX

ウルトラマンメビウス TV & OV COMPLETE DVD-BOX

  • 発売日: 2012/12/21
  • メディア: DVD