「時の海鳴り ー時間怪獣クロノーム アンヘル星人登場ー」
『ウルトラマンメビウス』第23話
2006年9月9日放送(第23話)
脚本 太田愛
監督・特技監督 アベユーイチ
時間怪獣クロノーム
身長 50m
体重 4万5千t
時を操れる怪獣で、知性体を捕らえて記憶を利用して過去の時間に潜り込む。
倒さないと時間や記憶が滅茶苦茶になり、かつてアンヘル星が滅ぼされている。
理由は不明だが地球に現れ、自分の居場所をサーチ出来るマリナを始末する為、マリナの欠落した記憶を利用して7年前の時間へ飛ぶ。
赤い光弾を放ち、霧で相手の視界を封じて電撃を帯びた触手で攻撃するが、海鳴りの音を聞き分けたマリナに触角を攻撃され、最後はメビュームシュートで倒された。
クロノームが倒された事で捕らえられていた人々も全て元の時間に戻った。
名前の由来は「時間の神クロノス」かな。
『ネクサス』のペドレオンの着ぐるみを改造している。
優美宇宙人アンヘル星人トーリ
身長 2m
体重 100kg
桐李と言う手品好きの警察官に変身してマリナに近付いた。その正体はクロノームによって故郷を滅ぼされたので第二の母星を求めて地球に辿り着いたアンヘル星人唯一人の生き残り。
クロノームによるさらなる悲劇を防ぐ為にマリナやミライと協力してクロノームを追い詰めるが、クロノームの攻撃からマリナを庇って命を落とした。
その哀しい記憶はトーリが飛ばした紙飛行機と共に少女時代のマリナの心から忘れ去られていたが、大人になったマリナはそれを思い出す事となる。
アンヘル星人としての正体は白く輝く孔雀のような姿であった。
『コスモス』の「雪の扉」のグラルファンの着ぐるみを改造している。
物語
警察からの依頼で連続失踪事件を捜査する事になったマリナは桐李と言う警察官と一緒に現場に向かう。そこで海鳴りの音を聞いたマリナは今から7年前の自分の田舎に迷い込んでいた。
大切な人を失った夏のある日。忘れられない一日が始まる。
感想
異様に大きい満月、その満月をバックに宙返りして現れるメビウス、真夜中に紙飛行機で埋め尽くされた草原で佇んでいる少女と印象的な場面が多い話。モノローグも多く、他の『メビウス』の話とは雰囲気が大きく異なっている話。
郊外で集団失踪事件が発生。事件発生時に奇妙な音が聞こえたとの証言からマリナは警察から捜査協力を依頼される。
トリヤマ補佐官は「レッサーボガールが滅んだ今、怪獣が出現する恐れは無くなったので、これからのGUYSは市民貢献の時代だ」と快諾。
本当に怪獣頻出期が終結したのなら、今後のGUYSは大きな方針転換を迫られたのだろうが、トリヤマ補佐官の願い空しく、この後も怪獣は出現し続ける事となる。
今回はマリナ編で子供の頃は忙しかった両親の代わりに祖父が遊び相手になってくれていた事やその祖父の影響でバイクが好きになって風の流れを意識するようになった事が語られている。
又、弟が二人いる事も明らかになり、その内の一人が実家から荷物を届けにフェニックスネストにやって来ている。
弟曰く、マリナは「最強で泣いたところを見た事が無い」との事。今回はそんな強いマリナの秘められた部分の話なのだが、残念ながらマリナは「ウルトラマンの重圧」で泣いている場面が既にある。人前では泣いていないのだが、今回の話をより効果的にする為に視聴者にもマリナの涙は見せない方が良かったと思う。
桐李の正体が宇宙人だと知ったマリナは警戒するも最後はトーリを信じるようになる。
ここでCREW GUYSの宇宙人(と言うかウルトラマン)に対する認識を振り返ってみると、
リュウはウルトラマンに対して色々と複雑なものがあるが、メビウスやヒカリの事もあって本音では認めている。
テッペイは元々ウルトラマン好きの怪獣博士。
コノミは何度かメビウスの気持ちに触れる発言をしている。
ジョージは子供の頃の夢がウルトラマンになる事であった。
マリナは今回の話で宇宙人との交流が出来た。
となって、後の「約束の炎」でミライの正体が宇宙人ウルトラマンである事を明かすにあたってのCREW GUYS側の意識の準備が着実に進んでいる事が分かる。
今回は殆ど単独で動いているからか、ミライは超能力でクロノームの時の継ぎ目を見付け、トーリとテレパシーで連絡を取り合う等、宇宙人ウルトラマンとしての能力をフルに使っていた。
マリナが戦う為に木々の間を駆け抜ける先にメビウスとクロノームの姿が見えてくるカットが個人的にお気に入り。
メビウスがメビュームシュートでクロノームを倒す場面をバックにトーリが静かに消えていくカットも印象に残った。
マリナはトーリは子供の頃の自分を庇って死んだと考えたが、実際は落ちたボタンに気を取られた大人の自分を庇って死んでいた。
う~ん。子供の頃ならともかく、CREW GUYSであるマリナの不注意でトーリが死んでしまうのがちょっと納得がいかない。
フェニックスネストの食堂に勤めるウェイトレスのツカサが登場。彼女は「ウェイトレス2代目リーダー」と紹介されている。「ファントンの落し物」に別のウェイトレスが登場しているので、おそらく彼女がウェイトレス初代リーダーだったと思われる。
アベ監督の要望で今回からメビウスの声が少し低くなったらしい。