帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「日々の未来」

「日々の未来 ー高次元捕食獣レッサーボガール登場ー
ウルトラマンメビウス』第22話
2006年9月2日放送(第22話)
脚本 赤星政尚
監督・特技監督 村石宏實

 

高次元捕食獣レッサーボガール
身長 2~47m
体重 200kg~4万7千t
外見的特徴に加え、共食いさえする旺盛な食欲からGUYS総本部によってボガールの同類と判断された。「レッサー」は英語で「小さい方の」と言う意味。
CREW GUYSがウルトラゾーンで遭遇した同族の匂いを嗅ぎ付け、本能で仲間を求めて空間の壁を破って地球に現れた。
仲間の死骸を食べて巨大化し、手から破壊弾を放ち、両目から怪光線を放つ。舌を伸ばして獲物を絡め取り、口を巨大化させて捕食する。
ガンフェニックスストライカーのインビンシブルフェニックスとメビウスのメビュームシュートを受けて倒された。

 

マケット怪獣リムエレキング
身長 40cm
体重 4kg
テッペイの頭の上に現れて見事なバランス感覚を見せた。

 

物語
ウルトラゾーンから帰還したミライはバン・ヒロトの形見の懐中時計を持ってバン船長の家に向かう。
今こそ明かされるヒビノ・ミライ誕生の秘密。

 

感想
前回の「虚空の呼び声」の続きで、遂にミライとバン・ヒロトの関係が明らかになる。
アランダスがウルトラゾーンに引きずり込まれる中、バン・ヒロトは手動で貨物庫を切り離して他の乗組員を救う。そこにメビウスが駆けつけるが一歩及ばず、バン・ヒロトはウルトラゾーンの中に消え、彼の時は永遠に止まってしまう。
この時にバン・ヒロトは目にした「∞」の光を「メビウスの輪」と捉え、続いて現れたウルトラマンを「ウルトラマンメビウス」と呼んだ。
メビウスは自分の死を厭わず仲間を助けようとしたバン・ヒロトの勇敢な行動に感動して、その姿をモデルに変身する。これは『セブン』の「地底GO! GO! GO!」で語られたセブンがモロボシ・ダンに変身したのと同じパターン。
ウルトラマンに関わる人間は命を落とすか落としかける事が多いのだが、そのまま死んで終わってしまったのは今回のバン・ヒロトだけである。
ハヤタ隊員は初代マンやゾフィーに命を与えられて生き返っているし、郷秀樹や北斗星司はウルトラマンと一体化する事で現在も生き続けている。死んだと思われたアスカも実は生きていたし、モロボシ・ダンのモデルとなった薩摩次郎も健在である。しかし、バン・ヒロトは生き返る事も無く、その命を完全に終えている。この設定はウルトラシリーズにおいてかなりの冒険だったと思われる。
因みにバン・ヒロトのネーミングだが『帰マン』の企画時にあった主人公の名前「バン・ヒデキ」が元ネタと思われる。

 

今回からオープニングの映像にガンフェニックスストライカーが追加されている。

 

バン・ヒロト。火星生まれ。スペース・ジェネレーションの18歳。
地球に降りた事が無くて写真も無かったので、CREW GUYSの皆にミライとの関係が気付かれる事は無かったが、ミライの尋常ならない思い入れに皆の興味が募る。それをミサキ代行はバン・ヒロトとミライは宇宙で知り合った、ミライも宇宙暮らしが長かったと説明。ミライの不思議ちゃんな部分は宇宙暮らしが長かった為かと皆は納得するのであった。

 

バン・ヒロトが地球で最初にしようと考えていた事は母の遺骨を墓に納める事であった。アランダスの中で発見された懐中時計には「愛する息子へ」と言う文字が刻まれている。この懐中時計はバン・ヒロトの形見であると同時にバン・ヒロトの母親の形見でもあった。

 

バン・ヒロトの母親は火星でナメゴンに襲われて命を落としたらしい。まさかナメゴンの名前を再び耳にするとは思わなかった。今回はナメゴンの存在やスペシウムの採掘と言ったウルトラシリーズにおける火星の設定を上手く使っていて思わずニヤリとする。『メビウス』では『Q』怪獣の再登場は無かったが、後の『大怪獣バトル』では満を持して再登場する事になる。

 

地球に降り立ったばかりでバン船長の家に現れた場面とバン・ヒロトの形見を持って改めてバン船長の家を訪れる場面を対比するとミライの変化がよく分かる。

 

サコミズ隊長との電話でバン船長は「お久し振りです。キャプテン・サコミズ。いや、今は……」と言っている。これらの答えは後の「旧友の来訪」で明らかになる。

 

死んだ息子の姿で目の前に現れたメビウスに対し、バン船長は感情を落ち着かせる事が出来なかった。
バン「すまない。君の行為は君自身の優しさの表れだと言う事は理解できる。だが、やはり、君とは暮らせない」、
メビウス「僕もこの姿は今日限りにします」、
バン「いや、いてくれないか、その姿で。地球の土を踏めなかったヒロトの代わりに。君の、この星での「日々の未来」に幸多からん事を……」。
バン船長は地球に妻の遺骨を持って帰る事は出来たのだが息子は死体すら残す事が出来なかった。しかし、メビウスがバン・ヒロトの姿を取った事で、バン船長は息子が生き返ったような気持ちになったのかもしれない。

 

ここで『メビウス』の第1話「運命の出逢い」までの流れを整理すると、
メビウスはバン・ヒロトを救えなかった。
メビウスがバン・ヒロトの姿をモデルに地球人に変身し、地球で女の子の風船を取ってあげた後、バン船長に会いに行くが拒絶される。
バン船長からの連絡でサコミズがメビウスの身柄を引き取りに来る。この時にバン船長が掛けた言葉からメビウスは地球人としての名前を「ヒビノ・ミライ」にする。
高台で「ウルトラ5つの誓い」を叫ぶリュウの所にミライがやって来る。
となる。

 

ミライがバン船長の家の近くでレッサーボガールの気配を感じ取ると、ウルトラゾーンにいるはずのレッサーボガールが空間の壁を破って地球に出現する。
ボガールも異次元空間から現れていたのでレッサーボガールにも同様の能力がある事は理解できる。
レッサーボガールの出現を見たミライは「誓いのフォーメーション」でのセリザワの台詞を思い出し、別のボガールがいたから地球に怪獣が出現し続けていたのかと納得する。
ただ、レッサーボガールが今までも空間の壁を破って地球に現れていたのなら、ミライが全く気付かなかったのはおかしい。又、ボガールに比べて知能が低くて擬態能力も持っていないレッサーボガールがメビウスにもヒカリにもGUYSにも発見される事無く地球で数ヶ月間潜伏していたとはとても考えられない。
おそらく、レッサーボガールが潜んでいたウルトラゾーンとメビウス達がいる地球は次元こそ違うが場所が重なり合っていて、レッサーボガールの影響が次元を越えてメビウス達がいる地球にも及んでいたと考えられる。それにしても、別の次元とは言え、地球の近くにあのような肉食の怪獣がウジャウジャいたと思うとかなり怖い。

 

テッペイはレッサーボガールが地球に現れた理由をCREW GUYSがウルトラゾーンで遭遇した同族の匂いを嗅ぎ付けて本能で仲間を求めてきたと解釈。今回のレッサーボガールはバン船長の家の近くに現れているので、レッサーボガールと戦ったメビウスを狙って来たと考えられる。
もしそうなら、前回の「虚空の呼び声」でウルトラゾーンの扉が開いたのは、メビウス達を怪獣墓場に誘き寄せてレッサーボガールを地球に送り込む為だったと考える事が出来る。そうなると、地球にレッサーボガールを直接送り込んでボガールの再来を狙った何者かがいると言う事になるが……。

 

レッサーボガールは怪獣を捕食しても以前のボガールのように体内に膨大なエネルギーが発生する事は無い。
以前のボガールが通常で、レッサーボガールは未発達なので爆発が起きないのか、レッサーボガールが通常で、以前のボガールが特殊な存在だったのか気になるところ。
以前のボガールは捕食を続けるとやがて爆発すると言う生物とは思えない性質を持つ上、人間に擬態できると言う知能を備えた能力を有していたので、超獣のように何者かに改造されていたとも考えられる。

 

レッサーボガールの舌に絡め取られるガンウインガーリュウは「俺達の翼をこんな奴の餌にしてたまるか!」と叫ぶがレッサーボガールの口の中へと引きずり込まれていく。「不死鳥の砦」でアライソ整備長が「機体を大事にし過ぎる」「脱出するくらいなら機体と心中しようとする大たわけ」と心配した通り、絶体絶命の危機に陥ってもリュウはガンウインガーから脱出しなかった。
そこにメビウスが現れ、「僕はもう同じ悲しみを繰り返さない」とウルトラゾーンに連れて行かれそうになったリュウを助け出す。地球圏に来て一番最初に会った人間であるバン・ヒロトをウルトラゾーンの先に失ったメビウスだったが今度は助ける事が出来た。
その後、レッサーボガール相手にメビウスは苦戦に陥るが、サコミズ隊長操縦するガンブースターが到着してガンフェニックスストライカーに合体。『ワンダバ』が流れる中、「今度は俺が助ける」とリュウが叫んでインビンシブルフェニックスで形勢逆転する!
ウルトラゾーンに逃げようとするレッサーボガールに向かってメビウスは止めのメビュームシュートを発射。レッサーボガールの爆発はそのままウルトラゾーンにまで。仲間を求めると言うレッサーボガールの習性を考えるに、地球に現れたレッサーボガールの所に怪獣墓場のレッサーボガール達が集まって来て皆一緒に爆発した可能性がある。
メビウスにとって、ヒカリにとって、そしてCREW GUYSにとって最初の敵であったボガール種との決着。最初の戦いでは怒声を浴びせていたリュウが今度はメビウスに敬礼を送り、メビウスとCREW GUYSは共に空を飛んで行く。
これで四半世紀振りの怪獣頻出期も終結したと思われたが……。

 

戦いが終わった後、バン船長はバン・ヒロトの遺影の前に懐中時計を置き、「いつまでもその姿でいてもらうわけには……いかんだろうな」と呟く。
ミライは「いいえ。いさせてください、この姿で。僕は……ヒロトさんの分まで生きます」と答えるが、バン船長はミライを抱き寄せて告げる。「ありがとう。……だが、ヒロトなら私の胸の中で生きている。君は君の人生を生きるんだ」。
死んだ息子と同じ姿をした存在。死んだ息子が生き返ったような気持ちになったバン船長であったが、死んだ息子の形見を受け取った事で遂に息子の死と真正面から向き合う事となった。
こうしてミライは「バン船長の死んだ息子の代わり」ではなく「ヒビノ・ミライ」と言う一人の人間として新たな人生を歩む事となったのだった。
そんなミライを迎えるのはCREW GUYSの仲間達。戦いに間に合わなかった罰としてミライにガンフェニックスの禿げた部分のペイントを押し付ける。嫌がるミライであったが、コノミはカレーライスを作ってあげるからと言ってミライのご機嫌を取る。
CREW GUYSの仲間達、ファイヤーシンボルが描かれた「俺達の翼」、カレーライス。これらは「バン船長の死んだ息子」とは違うミライ自身が地球で得たもの。
バン「あれが、彼の地球での……」、
サコミズ「ええ、仲間です」。
CREW GUYSの仲間達に囲まれるミライを見て、バン船長はバン・ヒロトがかつて呟いた言葉を思い出す。
「早く欲しいな、地球での友達が……」。