「不死身のグローザム ー冷凍星人グローザム登場ー」
『ウルトラマンメビウス』第46話
2007年3月3日放送(第46話)
脚本 川上英幸
監督・特技監督 村石宏實
ウルトラセブン
身長 40m
体重 3万5千t
メビウスがグローザムに敗北したのを受けて、CREW GUYSにかつてのウルトラマン達と人間達の関係を、メビウスに仲間を信じる事を伝える。
メビウスを復活させようとするCREW GUYSを援護しグローザムと戦う。
アイスラッガーでグローザムを真っ二つに斬り、メビウスのメビュームシュートと同時にエメリウム光線を発射してグローザムを粉々にした。
冷凍星人グローザム
身長 2m~52m
体重 200kg~2万t
暗黒四天王の一角たる「豪将」。
メビウスを真正面から倒して強さを見せつけ人々の戦意を挫いた。
口から吐く冷気でメビウスを氷結した。本人曰く、本気を出せば地球全てを氷結させる事も可能。
メビウスを人質に他のウルトラ兄弟を誘き寄せて倒そうとした。
たとえ粉々になっても復元する事が出来、「俺は不死身だ!」が口癖。
メビウスのメビュームシュートとセブンのエメリウム光線を同時に受けて粉々になったところをガンローダーのマクスウェル・トルネードの熱風を受けて倒された。
劇中では語られていないが、3万年前に起きたウルトラ大戦争にも参加していたらしい。
悪質宇宙人メフィラス星人
身長 60m 体重 2万t
暗黒四天王の一角たる「知将」。人間を侮ってはいけないとグローザムに忠告する。
マケット怪獣ファイヤーウィンダム
身長 ミクロ~40m
体重 0~1万1千t
火力マックスでの攻撃をグローザムに押し返される。
グローザムを飛び越え着地してからの振り向きざまシュートがカッコ良い。
マケット怪獣リムエレキング
身長 40cm
体重 4kg
初めて一人でガンローダーを操縦する事になったコノミの前に現れて緊張をほぐす。
物語
グローザムによって氷結されてしまったメビウス。
男性陣が全滅してしまったCREW GUYSだが、残った女性陣は勇気を捨てずに立ち上がる。メビウス救出作戦「PRIDE OF GIRLS」発動!
感想
3月3日の雛祭りの放送で女性メンバーが活躍する話。
スーパー戦隊シリーズではよくありそうだが、ウルトラシリーズではこういう何らかの縛りを設けたチーム編成は珍しい。
女性キャラ中心になったのはやたらと女性と縁があるセブンの客演回だからかなとも考えられる。
「エースの願い」からウルトラ兄弟とCREW GUYSの関わりが作られていくが、その中でウルトラ兄弟と直接会ったのは今回のコノミだけであった。
これは『セブン』終了後も『レオ』に『平成セブン』にと色々な人間と直接触れ合ってきたダンだからであろうか?(コノミが可愛い女の子だったからダンが会いに来た……と言う可能性はこの際外しておく)
水色のコートを着た人間大グローザムが何か可愛い。
前回の「デスレムのたくらみ」で負傷したサコミズ隊長、リュウ、ジョージに続いて今回でテッペイもグローザムの冷気によって戦線離脱してしまう。
……ちょっと待って。テッペイがグローザムの冷気を浴びた描写なんかあったっけ? ダム周辺はグローザムによって寒くされていたが、ミライやコノミやマリナは平気だったよな……?
今までの経緯からテッペイはグローザムも罠を張っていると考えて、ミライが戦うのを止めようとする。しかし、グローザムは罠を張らずに力押しでメビウスに勝利した。
ヤプールやデスレムは戦う前に色々な罠を張ってメビウスが存分に戦えないようにして、罠を突破したメビウスが全力を出すと意外とあっけなく負けていたが、グローザムは全力を出したメビウスに正面から戦って勝っているので暗黒四天王の中でも強さが際立った。再戦時もメビウスとセブンの二人を相手に戦い、滅多に点滅しないセブンのビームランプを点滅させていた。
グローザムは本気を出せば地球全てを氷結させる事が可能らしい。ここは『セブン』の「零下140度の対決」に登場したポール星人を思い出す。そう言えば、ひ弱な存在だと思っていた人間の頑張りによって敗北してしまうところもポール星人に通じるものがある。
メビウスの敗北を見せ付けて人々の戦意を挫くグローザム。ここは『セブン』の「セブン暗殺計画 前篇」「セブン暗殺計画 後編」に登場したガッツ星人を思い出す。
「勇気のおまじない」である赤いメガネを落とすコノミ。それをダンが拾う。
「かつてのウルトラマン達も強敵に敗れる事があった。しかし、そんなウルトラマン達の窮地を人間は救ってきた。ウルトラマンも人間も仲間がいる限り、どんな強敵とも戦う事が出来、そして勝つ事が出来る」。
この言葉を聞いたコノミはもう一度勇気を奮い起こす。
そして女性メンバーだけとなったCREW GUYSはガッツ星人との戦いでウルトラ警備隊が使用したマグネリウムエネルギーをカートリッジ化したマグネリウム・メディカライザーを使う事に。
ウルトラマンが敗北した時に特別チームが新兵器を持ち出す展開は昔からあるが『メビウス』はメテオールの設定があるので自然な流れで新兵器をいきなり出す事が出来る。
グローザムとの再戦時にマリナは「メビウスに勝ち目が無い」と妙に弱気。
弟は「泣いたところを見た事が無い」と言っていたが、バイク関係で悩みを独りで抱えたり、ベムスターに捕らわれて泣いたりと、意外と心は弱くて虚勢で誤魔化しているところがある。
逆にコノミは弱いように見えて覚悟を決めた時は意外と強かったりする。
ダンが馬に乗って駆け付けて来るのは『メビウス&ウルトラ兄弟』で牧場主をしていたから。又、ウルトラマンの命を特別チームが救った『セブン』の「魔の山へ飛べ」のラストシーンも踏まえているのかもしれない。
実はフジサワ博士はCREW GUYSより先にミライとメビウスの秘密に気付いていて、「ウルトラマンも人間も一緒に戦ってナンボ」とメビウスとCREW GUYSの関係を肯定する。
これは今までウルトラマンと一緒に戦っていなかったサコミズ隊長と今まで人間と一緒に戦っていなかったゾフィーの関係にも繋がってくる。
氷結されたメビウスに向かってダンが語りかける。
「待つんだ、メビウス。必ず君の仲間達が君を助け出す。人間であろうと宇宙人であろうと、君を君として認めてくれた仲間達が……。この危機を乗り越えた時、君はさらに大きくなる事が出来る」。
この台詞は『セブン』『レオ』『平成セブン』とセブン=ダンの物語を見てくると感慨深いものがある。
セブンのエメリウム光線とメビウスのメビュームシュート同時発射の場面だが、二人の立ち位置がレオとアストラのウルトラダブルフラッシャーを思わせるものになっているのが嬉しい。
そう言えば、サコミズ隊長が杖を突いているのも『レオ』のダン隊長が元ネタかな。
最後にダンがミライに送った「仲間達を大切にな。俺が受けた悲しい思いだけは君に味あわせたくない」と言う言葉は『レオ』のMAC全滅を連想させるが、『平成セブン』でウルトラ警備隊の関係者が命を落とした事も含めているかもしれない。
今回は『セブン』だけでなく『レオ』や『平成セブン』の事も思い出させる会話や状況があった話だった。
初めてガンローダーに乗ったコノミは「癖になりそう」な活躍でグローザムに止めを刺す。
戦いが終わった後、コノミは再び赤いメガネを落とすが今度は自分で拾えた。
対ヤプール戦に対デスレム戦と窮地に陥った人間をウルトラ兄弟が救ってきた印象があり、実際、グローザムはそう言う認識で地球に挑んできたのだが、どの戦いも実はCREW GUYSの頑張りや援護があってのウルトラマンの勝利であった。
それに気付いたメフィラス星人は標的をCREW GUYSに定めるのであった。
出来れば今回の話にミクラスも出してほしかった。『セブン』繋がりだし、コノミの勇気繋がりだし……。最後のメビウス救出作戦もセブンが来てくれたから良かったものの、もしセブンが現れなかったら失敗していたと思われるので、ミクラスも戦力に加えた方が確実だったと思う。
今回の話は川上さんのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。