帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「夕陽の風来坊」

「夕陽の風来坊」
ウルトラマンオーブ』第1話
2016年7月9日放送(第1話)
脚本 中野貴雄
監督 田口清隆

 

光ノ魔王獣ガゼット
身長 60m
体重 3万t
ある場所で光の巨人と戦っていた魔王獣で属性は「光」。
マガ光弾で光の巨人を苦しめるが最後は倒された。
ガゼットンが倒されると初代マンのウルトラフュージョンカードが現れてガイに回収された。

 

風ノ魔王獣マガバッサー
身長 55m
体重 2万t
東京で強大な竜巻をいくつも起こしバタフライ効果で世界各地に台風を作っていた魔王獣で属性は「風」。
空を飛んで上空から硬くて鋭い翼で相手を切り裂く。
最後はスペシウムゼペリオンのスペリオン光線で倒され、亡骸からはメビウスのウルトラフュージョンカードが現れてガイに回収された。又、マガバッサーの怪獣カードはジャグラーに回収された。
今までメビウスの力で封印されていたらしい。
「太平風土記」に「悪魔の風を吹かせる禍翼」として描かれている。
名前の由来は翼を羽ばたかせた時の「バサバサ」と言う音から。

 

物語
ある森の中で戦う光の巨人と怪獣……。
そして現代の東京。強大な竜巻による被害が報道される中、ネットでは竜巻の中に巨大な鳥がいたと言う目撃情報が寄せられていた。さっそくSSPが調査を開始する事になるのだが……。

 

感想
『オーブ』は『ゼロファイト』『ギンガ』『ギンガS』『X』のような『列伝』『新列伝』の中で作品が放送されるのではなく独立した作品として放送された。又、途中で放送を休止する事無く半年間休まず放送される事となった。
2011年に『列伝』の放送が始まって5年。遂にウルトラもここまで復活したのかと感慨深い気持ちになる。 

 

オープニング曲を歌うのは「アニメソング界の帝王」こと水木一郎さん。ウルトラシリーズでは何度か歌を担当しているがTVシリーズの主題歌はこれが初めて。
オープニング曲の『オーブの祈り』は歌は王道のヒーローソングになっている一方で映像はこれまでのに比べて人物のポーズや撮し方が独特で新しい感じに仕上がっている。

 

冒頭でオーブとマガゼットンの戦いが描かれている。戦いの詳細は不明だが少女が戦いに巻き込まれて犠牲になった事は分かる。この事から主人公のクレナイ・ガイは「第1話の時点で既に心に傷を負っているヒーロー」となった。
ウルトラシリーズでは主人公が家族を失っていたり、『メビウス』でメビウスがバン・ヒロトを救う事が出来なかったと言うエピソードがあったりしたが第1話の時点でそれを視聴者にも伝えたのは故郷を滅ぼされた『レオ』と家族を失った『ダイナ』『マックス』『X』くらいかな。

 

ウルトラマンシリーズ放送開始50年の年に放送された本作には劇中に歴代ウルトラ作品のサブタイトルが隠されている。
今回隠されていたサブタイトルは『Q』の「鳥を見た」。
鳥を見た」は制作順では初の鳥怪獣となるラルゲユウスが登場した話。又、この話の制作中に作品タイトルが『UNBALANCE』から『ウルトラQ』に変更されたらしく、「一番最初に作られたウルトラ作品」と言う事も出来る。

 

零下20度の保冷車の中に5時間もいたと言うとんでもない登場をしたガイ。ウルトラマンが保冷車の中にいて大丈夫なのか?と思ったが、そもそもウルトラマン達が寒さに弱いのは『セブン』の「零下140度の対決」でポール星人が言っていたように「光の国には冬が無い」からなので、光の国以外のウルトラマンも寒さに弱いとは限らなかった。今思えばこの場面はオーブが光の国出身のウルトラマンではないと言う伏線だったのかもしれない。

 

SSP(サムシング・サーチ・ピープル)は少年探偵団が元ネタになっているらしい。その為、登場人物は大人だけれど子供っぽい感じになっている。渋川さんとのやり取りも含めて、自分が子供だった80年代はこう言う雰囲気の作品が多かったなぁと懐かしい感じになる。
SSPの民間人の女性一人+男性二人と言う組み合わせは『Q』と同じ。このメンバーの組み合わせは『ガイア』のKCB等、形を変えて何度か使われている。

 

マガバッサーについて記載がある古文書「太平風土記」。ウルトラシリーズでは『Q』の放送第1話である「ゴメスを倒せ!」から古文書が登場していて、その後もいくつか登場し、前作『X』には「日本太平風土記」と言う古文書が登場しているが、一つの古文書が作品全体にわたって登場するのは『オーブ』のみである。

 

初見ではナオミがまずガイと出会い、続いて今度はジャグラーと出会ったと言う感じだったが、全ての話を見た後で第1話を見返すと、ガイと関わったナオミにジャグラーが会いに行っただった事が分かる。
「僕は嵐が好きですよ。退屈な世界から心を解き放ってくれますからね」と語るジャグラー。この「嵐」と言うのは「天気」の事ではなくて「ガイとの戦いの日々」の事なんだろうな。
もう一つジャグラーはナオミに「一目惚れ」とも言っているが、後の話を見るとジャグラーは別にナオミに一目惚れはしていない。今後のガイとの戦いに備えてナオミの気を自分に引かせる為に強く印象に残る出会いにしようとしたのであろう。(どちらかと言うとナオミの方がガイに一目惚れしている)

 

怪獣には色々なタイプがあるが今回の魔王獣は「自然災害の具現化」と言う側面があり、今回はマガバッサーと言う怪獣が現れるまで竜巻と言う自然災害が丹念に描かれていた。
明言はされていないけれど、公園にいた親子は死んでしまったのかな……。

 

ガイが証明写真ボックスの中で変身したのは自分の正体を隠す為。ここは変身ヒーローの元祖である『スーパーマン』が電話ボックスの中で変身するのを思い出す。そう言えばウルトラマンの変身者は皆から離れて変身はするが、変身する場所は建物の影だったり林の中だったりして今回のように何かの中に隠れて変身すると言うのは意外と無かった。
因みに証明写真ボックスの原型となるものを世界で初めて作ったのは円谷英二監督らしい。

 

フュージョンアップは「ウルトラマンさん」「ティガさん」とウルトラマンをさん付けするのに驚いた。当時はウルトラマンがさん付けで呼ばれる事は劇中でも作品外でもファンの間でも少なかったが『オーブ』以降はさん付けが定着した。さり気にウルトラの歴史に残る部分かもしれない。

 

スペシウムゼペリオンは昭和ウルトラマンの第1号である初代マンとTVシリーズの平成ウルトラマンの第1号であるティガを合わせたもの。
初代マンは全てのウルトラマンの基本でシンプルなデザインなので他のウルトラマンと合体させたら初代マンの部分は殆ど無くなってしまうのだが、スペシウムゼペリオンは黒を入れてティガの部分を隠す事で初代マンの要素とティガの要素がバランス良く合わせられているように見せている。

 

マガバッサーとの戦いでは相手に避けられたスペリオン光輪をオーブが自分で受け止めて投げ直すと言うのに驚かされた。『初代マン』で八つ裂き光輪が登場してから50年、まだまだ新しい見せ方があるんだなと言うのを感じた。

 

フージョンアップの時間切れが迫ると疲弊した初代マンとティガのイメージがオーブから出てくる場面はとてもシュールで印象に残った。

 

風来坊である主人公のクレナイ・ガイは1959年に公開された映画『ギターを持った渡り鳥』がモデルらしく、名前は1968年に連載された漫画『紅三四郎』で主人公の紅三四郎が乗るバイク「紅号(クレナイゴウ)」と『ギターを持った渡り鳥』の主人公・滝伸次を演じた小林旭さんの愛称「マイトガイ」から付けられたらしい。
ウルトラシリーズで「風来坊」と言えば『セブン』の第1話「姿なき挑戦者」のダンを思い出す。この回でダンはウルトラ警備隊に入隊するのだが、入隊しなかったパターンが今回のガイと言える。

 

 

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ウルトラヒーローシリーズ 49 ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン