帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「銀色の巨人」

「銀色の巨人 -邪悪生命体ゴーデス 双脳地獣ブローズ登場-
ウルトラマンG』第1話
1990年9月25日発売(第1巻)
脚本 テリー・ラーセン(原案 会川昇
監督 アンドリュー・プラウ
特殊技術 ポール・ニコラ

 

邪悪生命体ゴーデス
身長 83m
体重 12万7千t
火星でジャックとスタンレーを襲い、グレートと戦った全宇宙の破壊者。
両腕の触手でグレートを追い詰めるが、バーニング・プラズマを連続して受けて最後はディゾルバーで分解された。しかし、細胞単位で地球に逃げ込んで各地に自分の細胞を撒き散らしゴーデス怪獣を生み出した。

 

双脳地獣ブローズ
身長 72m
体重 9万4千t
地球に降り注いだゴーデス細胞が地球の両生類に取り憑いた姿。アーサー隊長曰く「変種のオタマジャクシ」。
オーストラリアの都市の地下から出現した。
ジャックによるとゴーデスに操られているだけで日没になると力が衰えるらしい。
毒ガスを吐き、念力カプセルで相手を閉じ込める。
バーニング・プラズマを連続して受けて消滅した。

 

物語
ジャック・シンドーは火星でグレートとゴーデスの戦いを目撃する。
その後、地球に謎の光が現れた。
火星でグレートに倒されたゴーデスの細胞が地球に逃げ込んだのだった。

 

感想
平成に入って初めて制作されたウルトラマンシリーズ。
円谷プロとオーストラリアのサウス・オーストラリアン・フィルム・コーポレーションによる日豪合作作品でオリジナルビデオシリーズを中心に展開された。

 

吹き替え版と字幕版があるが、当ブログでは吹き替え版でレビューを進めていきます。
吹き替え版と字幕版では台詞が異なっている他、吹き替え声優と現地の役者の声でキャラクターの印象が変わるところもあるので、機会があれば字幕版も見る事をお勧めします。
吹き替え版の声優は豪華で特撮ファンやアニメファンならどこかで聞いた事がある名前がズラリと並んでいる。主人公のジャック・シンドーの吹き替えを担当しているのはウルトラマンのファンとして有名な京本政樹さん。京本さんは「グレート」の命名等、日本語版の制作に大きく関わっている。

 

原題は「signs of life」。
「生命の兆候」とでも訳せば良いだろうか? 地球各地に潜伏したゴーデスの事を指していると思われる。
日本語タイトルは「銀色の巨人」だが、グレートのスーツがこれまでのウェットスーツとは違う化繊素材なので「銀色の巨人」と言うより「白い巨人」に見える。

 

火星から物語が始まる。
人類が新たなフロンティアとして火星開発に乗り出したと言う設定は後の『ダイナ』を思わせる。

 

ゴーデスに襲われるジャックとスタンレー。
負傷したジャックはスタンレーだけでも逃がそうとするが、そのスタンレーがゴーデスに襲われて細胞に冒され、一方のジャックがグレートに助けられて一体化するとは皮肉だ。もし負傷したのがスタンレーだったら両者の運命は逆になっていたのだろうか?

 

グレートに倒されながらも不気味な笑い声と共に地球に逃げ込むゴーデス。
地球の夜空をゴーデス細胞の光が覆う場面は『コスモス』のカオスヘッダーを思わせる。(どちらも生物等に取り憑くし)

 

数日後、大規模な地震が起き、地下から謎の煙が噴き出す。
この場面と前後して火星から帰還したジャックが姿を現すのだが、サングラスをかけて一言も喋らずにジーンを見つめる姿は怪しすぎ。次回のスタンレーとさほど変わらない怪しさだ。

 

成層圏や地下に謎の細菌(ゴーデス細胞)が潜伏している事を知るUMA
実はアーサー隊長は謎の細菌、地下に怪獣が潜んでいる事、ジャックが火星でグレートと遭遇している事を知っていながら隊員には知らせていなかった。
こういう組織が情報を隠蔽していたと言う展開はいかにも海外作品。日本のウルトラシリーズだと『ネクサス』や『SEVEN X』であるがシリーズ全体で見るとあまり多くない。

 

UMAは各隊員の言動が細かい。
それまでの日本のウルトラシリーズでは隊員が本筋以外の言動をする事はあまり無かったが、UMA隊員は飲んだり食べたりお喋りしたりととにかく細かい動きがある。
着ている服も制服一つだけではなく、それぞれ細かな工夫がなされていてキャラクター分けに非常に役立っている。
こう言う部分は日本のウルトラシリーズももっと取り入れていってほしいなと思う。

 

火星で酸欠状態に陥ったジャックの心にグレートが語りかける。おそらくこの時に一体化したと思われる。
その後の変身シーンでジャックとグレートの顔が重なるのが両者の一体化を表している。
ウルトラマンの変身シーンは主人公が変身アイテムを使うとバンクシーンを経て街に巨大なウルトラマンが現れるパターンが殆どなので、ビル街の中でグレートが巨大化しながら登場するのは新鮮だった。

 

UMAはグレートを見て「もう1匹現れた」と言い、巨人も怪獣も仕留めようとグレートを攻撃する。
過去にあまり例を見ない展開だが、これが当然の反応かもしれない。
ウルトラマンが自分達の味方だとすんなり信じた昭和のウルトラシリーズと違って、本作以降のウルトラシリーズは初めて登場するウルトラマンを自分達の味方かどうか警戒するようになる。

 

攻撃に倒れないグレートを見て「凄い装甲だ」「サイボーグか?」と驚くUMA
隊員達は巨人は自分達を助けようとしてブローズと戦っているのではないかと考え出すが、アーサー隊長はあんな巨人が味方だとは思えず、助けようとしているのも見せ掛けだと断言。その後、キムの調査で巨人の生体組織が人類によく似ていて倒せる可能性があると分かると巨人と怪獣を戦わせて勝った方を倒そうと考える。
これまでの隊長と違って敵味方や損得と言った打算を考えに入れて動く隊長は衝撃で新しかった。

 

戦いが長引いてしまい、グレートのカラータイマーが点滅する。
「危険信号を鳴らしている」とキムが報告するが、劇中の人物がカラータイマーについて触れるのは凄い久し振りな気がする。
ナレーションによると「大気汚染が激しい地球上ではウルトラマングレートはその巨体を3分間しか保つ事が出来ない」となっている。
地球の大気汚染がウルトラマンの活動時間に関わったのは『G』のみ。ここは環境問題が大きく取り上げられたこの時代ならではと言える。

 

『G』はウルトラマンや怪獣よりビルの方が高いが、それが逆にウルトラマンや怪獣の巨大感を出す事になると言うのが特撮の面白いところ。
他にも戦いを終えたグレートが飛び去る場面を真下から映す等、『G』は今までとは少し違った切り口の特撮場面が見られる。

 

この頃までのウルトラマンは意外と両手を十字に組んで撃つ光線技が少ないのだが、それでもグレートのバーニング・プラズマは他には無いポーズで印象に残る技となった。

 

アーサー隊長は飛び去ったグレートを追えと命令するが、隊員達は通信の電波が悪いと言って無視してしまう。
長官等の指示に反発する事はあるが、隊員が隊長の指示をあえて無視すると言うのは日本のウルトラシリーズではあまり考えられない。この辺りも日本と外国の違いかな。

 

「神は救世主を遣わせる……か」。
ウルトラマンと神を関係付ける台詞が劇中でハッキリと出るのは当時では非常に珍しく、後の平成ウルトラシリーズに多大な影響を与える事となった。

 

事件が解決した後、ジャックはバイクに乗って当てもなく走り抜けていた。
よく考えたら今回のジャックはジーン以外のUMA隊員と会っていない。ウルトラシリーズの第1話としては珍しい。
「ジャック・シンドーは火星からただ1人無事に生還した。だが、彼は誰にも自分の秘密を打ち明ける事は出来ない。彼こそが神秘のヒーロー・ウルトラマングレートであると……」。
なんか『仮面ライダー』みたいなラストシーン。ナレーションが藤岡弘、さんだけに余計に……。

 

ゴーデスのデザインは火星のタコ型宇宙人がモデルだと思われるがクトゥルー神話を思わせるところもあった。グレートとゴーデスの関係もクトゥルー神話の旧神と旧支配者に近いところがある。原案に会川昇さんと小中千昭さんがいるので、ひょっとしたらイメージであったのかもしれない。

 

吹き替え版の主題歌は京本政樹さんが歌う『ぼくらのグレート』と『地球は君を待っていた』。
子供向け番組らしい歌だけど『G』の雰囲気とはちょっと合わないかな。

 

次回予告のナレーションは玄田哲章さんが担当している。

 

 

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  • 発売日: 2017/01/27
  • メディア: Blu-ray