帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「宇宙からの帰還」

「宇宙からの帰還 ージャミラ登場ー
ウルトラマンパワード』第6話
1994年5月24日発売(第4巻)
脚本 スティーヴン・カランディ(原案 伊藤和典
監督 キング・ワイルダー
特殊効果 ジョセフ・ビスコーシル

 

棲星怪獣ジャミラ
身長 180cm~60m
体重 80kg~1万8千t
木星への初の有人飛行探査船の指揮官ジャミラ・ミラー空軍少佐が謎の青い玉と同化した存在。娘のカレンに会いたい一心で宇宙から帰還する。
人間の心が残っている間は人間の姿を保っていられたが、段々と青い玉に心と体を乗っ取られていって怪獣へと変貌した。
自分を軍事利用する為にカレンを捕らえた国家保安局への怒りから完全に怪獣と化したが、カレンの訴えで人間の心を取り戻すと、このまま怪獣として生きる事に耐えられなくなり、パワードに自分を殺してくれるよう頼んでメガ・スペシウム光線で死亡した。
ジャミラを乗っ取った青い玉は大量のチタンを含んでいる以外、正体は一切不明だった。
「カレン……、もう一度お前に会いたい……。人間の心が無くなる前に……」。

 

物語
ヤングの姪のカレンはパパが宇宙から帰って来たと言う。
しかし、カレンの父ジャミラは宇宙で消息不明になっていた……。

 

感想
原題は「A Father's Love」。
意味はそのまま「父の愛」。

 

『初代マン』の「故郷は地球」のリメイクだが、ジャミラの話に父娘愛を加えたのがアメリカ作品らしい。
宇宙で死を覚悟したジャミラのカレンへの最後のメッセージや家族で行った展望台の回想シーンがドラマを盛り上げる。
ところでジャミラは妻と会う気は無かったのだろうか?

 

ジャミラが消息を絶ったのは木星近く。
そこで未知の生命体と出会うのだが、この展開は『2001年宇宙の旅』を思い出す。

 

パパが宇宙から帰って来たと言うカレンは幼い頃に家族で行った展望台に向かうが、待ち伏せしていた国家保安局に騙されて連れ去られそうになる。
そこにボロボロの姿になったジャミラが現れ怪獣へと変貌して辺りを破壊するが、ヤングの「ねえ、聞こえる? あなたにまだ心があるのなら人を傷付けるのは止めて!」と言う説得を受け、人間を傷付ける前に人間の姿に戻って姿を消す。
しかし、その間に国家保安局はカレンを連れ去ってしまう。

 

国家保安局のエセックス大佐はジャミラ関係の調査から手を引くようW.I.N.R.に釘を差しに来る。
仕方無く承諾するエドランド隊長に対し、ヤング、カイ、ベックの3人は反発。エドランド隊長は上官の命令に背いたとして3人を停職処分にし、停職中は何をしようとも勝手だが自分の耳には入れるなよと3人の調査を事実上黙認する。

 

ジャミラが怪獣に変貌した事を受けてベックは「ウルトラマンと同じよ。ウルトラマンも現れたり消えたりするじゃない? ジャミラが同じような事をするまで深く考える事は無かったけれど、もしかしたら、ウルトラマンジャミラは同じ種類かもしれないわ。いつもは人間の間に紛れているけれど実は巨大化する能力があるとか……」と語る。
ウルトラシリーズでは劇中でウルトラマンの正体を探ろうとする人間は意外と少ないのだが、『パワード』はそれを一つの縦軸にしていて、ベックがパワードの正体に気付く流れを丁寧に描いている。

 

『初代マン』のジャミラと違って『パワード』のジャミラは未知の生命体に乗っ取られて怪獣化したと言う設定。
ジャミラを乗っ取った生命体はウルトラマンと似た青い玉であった。
悪意と善意の違いがあるだけで、ジャミラを乗っ取った生命体とウルトラマンの本質は同じなのかもしれない。

 

ジャミラウルトラマンとの違いはたった一つよ! それはウルトラマンには戦う相手がいる事。バルタン星人を倒すのに力を貸してくれたから私達は彼を信じたの! でも、ジャミラには敵になるエイリアンがいないから人間を倒そうとしていると思っちゃうのよ! ……とても恐い事だと思うわ。怪獣を見るとすぐに敵としか考えなくなるのはね……」。
銀色の追跡者」でサンダースがパワードを味方と判断したのは「バルタン星人は地球人の敵なので、バルタン星人の敵であるパワードは「敵の敵は味方」理論で地球人の味方であろう」だった。
そう言えば、ゴジラシリーズでもゴジラが単体で現れた時は人間に攻撃されるがキングギドラ等が現れた時は人間に頼りにされていたし、ウーも『初代マン』の「まぼろしの雪山」では人間から攻撃を受けたが『A』の「神秘! 怪獣ウーの復活」でアイスロンと言う超獣が一緒に現れた時は人間の応援を受けていた。

 

廃工場で既に人間でなくなってしまった己の境遇を嘆くジャミラのもとにヤング達がやって来る。
ジャミラは「うちに帰っていいと、アイツが言ったんだ……」と語るが、「アイツ」とはジャミラを乗っ取った生命体の事だろうか? もし、そうなら何の目的があったのか気になる。

 

そこにカレンを連れてエセックス大佐もやって来る。
ジャミラが何故こうなったのかを研究するんだよ。そして上手くいけば同じような怪物を再現できるかもしれん。ジャミラのような力を持った人間を一小隊分持てば我々は無敵だ。世界を支配できる!」。
異常だと怒りをあらわにするヤングに対してエセックス大佐は「いやぁ、野心があるだけだよ」と返す。
未知の力を軍事利用しようとする人物は『ティガ』や『ダイナ』にも登場するが成功した試しは殆ど無い。
それにしても「世界を支配できる」と堂々と言ってのけるエセックス大佐のキャラクターは海外作品らしいなぁと思う。日本のウルトラシリーズだと何だかんだ言ってもどこかに「大義」を抱いていて、世界支配と言う「野心」を持つ人物は少ない。

 

声が変貌していくジャミラ
「俺はもはや無力な人間ではない。遥かに偉大な存在だ! さあ! 大いなるジャミラの怒りを思い知るがいい! ……すまなかったカレン……。パパを許してくれ……」。
段々と心を乗っ取られていったジャミラは遂に完全な怪獣になってエセックス大佐や国家保安局の人間を踏み殺してしまう。

 

ジャミラが暴れて廃工場の瓦礫の下敷きになったカイはフラッシュプリズムを落としてしまうが何とか拾ってパワードに変身する。しかし、迷いがあるのか、パワードは苦戦を強いられてしまう。
カレンの声を聞いたジャミラは家族で行った展望台での思い出が蘇って泣き崩れるとパワードに自分を殺してほしいと頼む。パワードは拒否するが度重なるジャミラの頼みに遂にメガ・スペシウム光線を撃つ。
全てが終わり、カレンは「私、大きくなったら宇宙飛行士になる! パパが怪獣になった理由を調べて二度とこんな事が起きないようにする!」と決意するのであった。

 

今回の話は国家保安局が暗躍する当時で言ったら『X-ファイル』のような展開であった。
やはり国によって得手不得手があるのか、『パワード』は怪獣モノよりこう言うエイリアンものの方が上手いところがある。今更言っても遅いが、アメリカでリメイクするのなら『初代マン』より『セブン』の方が良かったかもしれない。

 

 

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