帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「バラージの預言」

「バラージの預言 ー磁力怪獣アントラー登場ー
ウルトラマンマックス』第11話
2005年9月10日放送(第11話)
脚本 尾崎将也
監督・特技監督 金子修介

 

磁力怪獣アントラー
身長 54m
体重 4万5千t
紀元前2000年に中東にあった幻の王国バラージを滅ぼした謎の生物。4000年後に自然を破壊している文明を襲う為に再び現れると警告されていた。
坂田由里の考えによると、人類に罰を与える為に地球が送り込んだものらしい。
磁力光線で都市機能を麻痺させ、マックスのマクシウムカノンのエネルギーチャージを妨害する。都市を砂漠化し、アリジゴクを作ってマックスを苦しめる。
かつてノアの神がバラージの民に与えた青い石を受けて弱体化したところをマクシウムソードとマクシウムカノンの連続攻撃で倒された。
因みにクワガタではなくてアリジゴクの怪獣。

 

物語
突如現れたアントラーが起こした磁気嵐によって都市機能は完全に麻痺してしまう。
DASHはバラージの遺跡を研究していた坂田教授を訪ねるが、娘の由里は父を失意の死に追いやった世間に恨みを抱いていて……。

 

感想
TV放送版では冒頭に子供がゴジラガメラのソフビを戦わせる場面があった。
これはゴジラシリーズとガメラシリーズの両方を監督した金子監督ならではのお遊び。
権利の関係でTV放送のみとなっていてDVDには収録されていない。
因みに今回のゲストである坂田由里を演じているのは金子監督が担当した平成ガメラシリーズでヒロイン・草薙浅黄を演じた藤谷文子さんだった。

 

今回のオープニングの映像にアントラーのシルエットが登場している。

 

磁力光線を駆使するアントラー相手にダッシュバードでは戦えず、接近戦を行うにしてもダッシュライザーでは力不足として、ショーン隊員発明のダッシュデリンジャーが登場。
テロップ付きでアイテムを紹介するのは珍しい。分かり易いので今後もしてほしい演出。
今回はショーン隊員の英語にもテロップが付けられるものがあった。これも分かり易くて面白い演出だった。

 

金子監督が初めて特技監督を担当しているからか、街のあちらこちらに金子関係の看板がある。そんな金子コンツェルンの街を破壊しまくるアントラーの暴れっぷりが良い!
マックスとの戦いでも磁力光線を使って中継アンテナをマックスの背中に当てたり、マクシウムカノンのエネルギーチャージを掻き消す等、工夫があって面白かった。
一方でアントラー登場と言う事で砂が大量に使われる事となったが、砂の大きさのせいでミニチュア感が強く出た回になってしまった。

 

都市が舞台と言う事で一般市民の避難描写がある。
こういう描写があるとウルトラマンや特別チームが命を懸けて守るべきものが明確になってテーマも分かり易くなる。

 

今回は飛行機墜落によって平成ウルトラシリーズでも犠牲者の多い回となった。
怪獣出現による被害描写を避けずに描くのは平成ガメラシリーズに通じるところがある。

 

ダッシュバードから街に暮らす人々を見たカイトは「人間がこんなに我が物顔で地球を支配している事を地球はどう思っているんだろう」と疑問を口にする。
いきなり『G』や『ガイア』みたいな発言をして驚いたが、これまでの話でスラン星人やケサムが人間の地球への接し方を批判していたので、その流れを受けたものと考えられる。
人類に罰を与える為に地球がアントラーを送り込んだと坂田由里が考えたように、今回の話では怪獣出現は地球の意思であるとされている。「ウルトラマンマックス誕生!」でトミオカ長官やヨシナガ教授が怪獣出現を人類の繁栄や増加に対する自然の摂理と捉えていたが、今回はそれをより具体的にしたと言える。
そう言えば、「爆撃、5秒前!」でもレッドキング出現の理由を「大地は驕れる民に牙を剥かん」と地球の意思を窺わせるような記述があった。同じ超古代文明の産物であるレギーラ、サブジェクト・ファントム、アントラーが日本に現れたのは地球の意思だったのかもしれない。

 

アントラーを倒すきっかけとなったバラージの青い石はかつてアントラーに町を滅ぼされて流浪の民となったバラージの民にノアの神が授けた物。
と言う事は、ノアの神がバラージの民と会ったのは町を滅ぼされた後で、ノアの神はアントラーと戦ってはいないと言う事になるのだろうか。
ノアの神が地球に来たタイミングが不明確なのだが、出来れば町が滅ぼされる前に来てほしかったところである。
バラージの青い石だが、上手くアントラーの虚を突けばマクシウムカノンで倒せたようにも見えたので、『初代マン』の「バラージの青い石」で初代マンのスペシウム光線ではアントラーを倒せなかったように、マックスもマクシウムカノンだけではアントラーを倒せなくて、バラージの青い石で弱体化できたので倒せたと言うふうにしてほしかった。

 

今回は『初代マン』の「バラージの青い石」をモデルにしているが、アントラーの出現場所を中東の砂漠から日本に変え、そこに『Q』の「バルンガ」と「ゴーガの像」の要素を加えている。
複数の話を一つの話に上手くまとめていて思わずニヤリとしてしまう。

 

坂田教授を演じたタケ・ウケタさんは『ネオス』の「蘇る地球 HEART南へ!」でも似たテーマの話で死んだ父親役として出ていた。

 

アントラーが巻き起こした磁気嵐によってエリーの機能に障害が出てベース・タイタンの機能も低下。またか……。

 

ノアの神の正体は誰か?
マックスの記憶を持っているカイトの反応を見るに、マックス以外のウルトラマンだと思われる。
マックス以外のウルトラマンの存在の可能性は後にゼノンの登場で証明される事となる。

 

脚本の尾崎将也さんはウルトラシリーズは今回のみの登板となっている。

 

 

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  • 発売日: 2012/10/26
  • メディア: DVD