帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「眠りの乙女」

「眠りの乙女 ーグワーム デシモ星系人登場ー
ウルトラマンティガ』第35話
1997年5月3日放送(第35話)
脚本 小中千昭
監督 石井てるよし
特技監督 大岡新一

 

超宇宙人デシモ星系人
身長 105cm
体重 20kg
24年前に回収された「眠りの乙女」。クリオモス諸島を襲撃した生体兵器と同じ金属化合物が周辺から発見されていた為、TPCアジア支部からGUTSに運び込まれた。今から18年前には保管していたアジア空軍基地が未確認飛行物体の襲撃を受けていて、3年前にサワイ総監をさらおうとした宇宙船とも関係があるのではないかと考えられた。
レナの体を乗っ取り、デシモニアの姿となってグワームの核となる。
地球をずっと監視していて着実に侵略を進めてきた。超古代人の事も知っているような話し振りだったが……。

 

宇宙鋼鉄竜グワーム
身長 65m
体重 7万8千t
過去にデシモ星系人が地球を襲撃した際にアジアの崑崙山脈地下に隠されていた。
レナの体を乗っ取ったデシモ星系人が核となって活動を開始する。
酸素と結合して未知の大気を作り出す赤い煙を吐いて地球の大気を改造しようとした。
ティガ・マルチタイプのスラップショットでレナがいる核を取り除かれ、ガッツウイング2号のデキサスビームで破壊された。
怪獣動物園」のキングモーラットの着ぐるみを改造している。

 

物語
クリオモス諸島を襲撃した宇宙人の調査を進めるGUTS。
TPCアジア支部から「眠りの乙女」と呼ばれる宇宙人が運び込まれるが……。

 

感想
前回の「南の涯てまで」と今回は同じデシモニアが登場しているが担当している監督が違う事もあって前後編と言うより間が開いていない続編と言う感じになっている。

 

タンゴ博士が再登場。
何だか不満タラタラであったが、眠りの乙女の解析の他にティガの石像の解析もやっているらしいので余裕が無いほど忙しいのかもしれない。

 

ホログラムを使っての会議でクリムゾンドラゴンとブルートルネードが登場。TPCヨーロッパはGUTSに匹敵する行動部隊を編成中でウイングシステムの実験も開始しているらしい。「石の神話」でカシムラ博士がおニューのライドメカの開発を提案していたがそれが上の2機になったのだろうか。

 

ムナカタリーダーはウイングシステムを「本来は戦闘機として設計されたものではない」と説明する。
そう言えばそうだった。すっかり忘れていた。こう言う設定を忘れないところが『ティガ』の良いところ。

 

TPC幹部は現在の防衛力では足りないとして、地球外からの侵略者に対して報復効果のある防衛体制を早急に構築すべきだと訴えるが、イルマ隊長は地球防衛軍の時代に逆行してはいけないとして、なぜ地球が宇宙から狙われ、なぜ怪獣が現れるようになったのかを考えなければいけないと返す。
うたかたの…」と同じく戦い続ける人間の姿勢に疑問を投げかけた話だが、同時期に展開されていた『平成セブン』もだったが、この手の話は戦いの原因と責任を宇宙人や怪獣に求めるのか地球人に求めるのかと言う「鶏が先か、卵が先か」になってしまうところがあって、『ティガ』でもこの話に関しては明確な答えを出せなかったところがあった。

 

イルマ隊長は超古代怪獣を恐竜から進化させられたと推測されると語っている。もしそうなら超古代怪獣は何者かによって人工的に作り出された存在となる。
超古代怪獣の話でゴルザとメルバの他にガクマとシルバゴンも紹介されている。劇中では超古代怪獣と呼ばれていないが実は超古代怪獣だったのかもしれない。
因みにこの時点で突然変異体等を除いた地球出身の怪獣はゴルザ、メルバ、ガクマ、ジョバリエの4体となる。これらの怪獣が実は全て超古代怪獣だったとしてもそれほど無理は無いかも。

 

今回登場のデシモ星系人はどこからどう見てもリトルグレイであった。
宇宙人が多く登場するウルトラシリーズでもここまでストレートなのは他に無い。

 

前回の「南の涯てまで」と今回の話で地球に宇宙人が襲来していた事が判明する。
それなのに地球が武装を解除していたのには疑問が生じる。もし侵略されたらどうするつもりだったのだろうか? 警務局の存在から必要最低限の武装はあったと思われるが……。

 

「なぜ地球を狙うのか?」と言うダイゴの問いにデシモ星系人は「人間が地球を腐らせてしまうから、その前に地球を頂く」と答える。なんとも身勝手な言い分。「君は彼女を不幸にするから彼女は僕が頂く」と言っているようなものだ。他にも「自分達が失敗しても他の宇宙人が地球を取りに来る」とも言っているが、「誰かに取られる前に自分に寄越せ」と言うのも盗っ人猛々しすぎる。
今回は戦い続ける人間の姿勢に疑問が投げかけられた話でもあったが、デシモ星系人の身勝手な言い分のせいで「悪い奴が攻めてくるから人間は戦わなければいけない」と言う感じになってしまったところがある。それとも、こんな悪い奴に付け入られる隙を人間は作っていると言う事なのかな?

 

デシモ星系人は超古代人の事を知っていたみたいだが、それなら超古代から現在までの3000万年の間に地球を手に入れてしまえばティガと戦わずに済んだ気がする。
それとも本当は超古代人の事は全く知らなくて、この発言はタンゴ博士が解析していたティガの石像の情報を入手してのものだったのだろうか?

 

レナの体を乗っ取ってダイゴをいたぶるデシモ星系人。
レナの口を使ってティガやダイゴを否定すると言う展開が面白かった。
戦いが終わった後、グワームの核の中と同じポーズで寝ていた眠りの乙女レナ。
目を覚ましてあれは夢だったのか?と呟くが、どんな夢を見たのだろうか? もしデシモ星系人の記憶が夢としてレナの記憶に残っていたら、ダイゴの正体を知る事になるが……。

 

ティガはテレポーテーションを使用した事でカラータイマーが点滅する程のエネルギーを消耗する。今回はガッツウイングの攻撃からレナを庇ったりといつもよりダメージが大きそうだった。

 

エンディングのラストカットにもなっている、レナに異常接近したデシモ星系人が恐い。

 

今回の話は石井てるよしさんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。