帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「もっと高く! ~Take Me Higher!~」

「もっと高く! Take Me Higher!~ ーゾイガー登場ー
ウルトラマンティガ』第50話
1997年8月16日放送(第50話)
脚本 小中千昭
監督 原田昌樹
特技監督 北浦嗣巳

 

超古代尖兵怪獣ゾイガー
身長 55m
体重 4万8千t
ニュージーランドの海底から異常隆起した超古代都市から出現した「地上を焼き払う悪しき翼」にして「大いなる闇がこの地を暗黒に塗りこめるその遣い」。
超高速で空を飛び、口から吐く火球で街を破壊する。帰巣本能があるらしい。
マキシマ・オーバードライブを始動させたスノーホワイトに追い詰められて大気圏外に逃げようとするが、ティガ・スカイタイプによって運ばれたスノーホワイトの攻撃で片翼を失って地上に墜落する。もう片方の翼を自ら引きちぎってモンゴル平原でティガと戦うが、最後はティガ・パワータイプに火球を受け止められてデラシウム光流で倒された。
名前の由来はクトゥルー神話に登場する「ロイガー」や「ロイガー族」かな。

 

物語
滅びの闇を夢に見るダイゴは苦しむ。
一方、海底から隆起した超古代都市からゾイガーが出現。
空を支配するゾイガーにレナはスノーホワイトに乗って対抗しようとする。

 

感想
『ティガ』最終三部作の始まり。

 

永遠の命」で描かれた滅びが再び。
その夢に苦しめられるダイゴだが心配するレナに対してまたもや「何でもない」と答えてしまう。

 

ニュージーランドの海底にあった超古代都市。まるで地獄のような光景で、3000万年以上昔の人間が作ったものではない場所。これは完全にクトゥルー神話の「ルルイエ」がモデルだろう。因みにクトゥルー神話のルルイエがある場所はニュージーランドの沖合、南緯47度9分、西経126度43分となっている。

 

今回登場するゾイガーのモデルはクトゥルー神話に登場する「ロイガー」と考えられているが、そのロイガーが登場する『潜伏するもの』にはウルトラマンに似た設定の「旧神」や「星の戦士」が登場している。

 

ゾイガーは世界各地を破壊していく場面がスケール感があって最終章に相応しい敵であった。飛行時のスピード感も素晴らしく、クライマックスでのスノーホワイトとの空中戦は昭和の頃には出来なかった平成ならではの映像となっていた。

 

イルマ隊長の前に現れたのはもう一人のイルマ隊長。その正体はユザレの変身であった。さすがにこれがプログラムのレベルなのか?と驚く。
ユザレが団長を務めていた地球星警備団が現在のGUTSのような組織だとすると、ユザレはイルマ隊長に地球の行く末を託したと解釈できる。

 

滅びの闇に苦しむダイゴ。
ダイゴ「こんな事は起きない! 滅びる事が運命だと言うのか!? なぜ俺にこんなものを見せる? ユザレー!」、
ユザレ「光であり人であるダイゴ。答えはあなたの中にある」。
因みに今回の話が長内美那子さん演じるユザレの最後の登場となっている。

 

再び現れたゾイガーに対してレナはマキシマ・オーバードライブのテスト機・スノーホワイトに乗り込む。そこに失礼しますダイゴ。コックピットでのダイゴとレナの位置は「光を継ぐもの」での二人の初登場時と同じになっている。
マキシマ・オーバードライブを始動させたスノーホワイトの攻撃を受けてゾイガーはそらへ逃げ、レナは大気圏を出る装備が無いのにそれを追おうとする。皆が止める中、何かに惹かれるようにそらへ昇ろうとするレナ。『TAKE ME HIGHER』が流れる。
レナ「もっと高く……」、
ダイゴ「なんなんだよ……。何か言えよ!」、
レナ「どうして言わないの?」、
ダイゴ「え?」、
レナ「どうして一人で抱え込んじゃうの? どうして一人なのよ!」、
ダイゴ「……」、
レナ「ウルトラマンは……たった一人で地球を守り続けなくちゃいけない義務でもあるわけ?」、
ダイゴ「……」、
レナ「ずっと……ずっと一人で戦い続けるのって……。そんなの……酷いって思わない?」、
ダイゴ「レナ……」、
レナ「私だって……、私だって光になりたいの……。光になって、もっと高く……」、
ダイゴ「義務とかじゃないよ……。俺は人間だから……、俺がやれる事をやりたいだけだよ……」、
レナ「私……、今、後ろ見れない……。だから……、いいよ」、
ダイゴ「光になれるさ……、レナだって!」。
スパークレンスを二人の間に掲げるダイゴ。レナの体を光が駆け抜ける。
スノーホワイトとティガ、銀地に赤と青(紫)のラインをまとった二つの存在は共にさらなるそらへと昇っていく。
レナ「ありがとう」。
大気圏を脱出したゾイガーだったがスノーホワイトの攻撃を受けて墜落。落ちたその地は「光を継ぐもの」でゴルザが最初に目覚めたモンゴル平原だった。そこにスノーホワイトを抱えたティガも降臨し、始まりの地を舞台にした戦いに勝利するのであった。

 

今回の話は一年間続いてきたダイゴとレナの物語の決着編となっている。
ダイゴからではなくレナから話を切り出すのがポイント。そう言えば、ダイゴからレナにアプローチする事って殆ど無かったかも。
二人の会話だが実は「ダイゴはウルトラマンである」とハッキリ言っている場面は無い。分かりやすさが求められる子供向け作品でこれは中々挑戦的であった。昭和ウルトラシリーズと違ってウルトラマンが「宇宙人」ではなくて「光」であったから可能となったやり取りと言える。
今回のエンディングはダイゴとレナの物語で構成されている。

 

ゾイガーを倒し、レナの元に帰って来たダイゴ。
二人の間を隔てていたものは取り除かれ、幸せな時間が二人を包む……。
と思いきや、そこにゾイガーが世界各地に出現したと言う知らせが。
驚くダイゴとレナ。その時、二人の上空にゾイガーの群が飛ぶ。
まるで二人の幸せのそらを引き裂くかのように……。
と言う事で次回「暗黒の支配者」に続きます。