帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「青銅の魔神」

「青銅の魔神 ーゲシュート登場ー
ウルトラマンコスモス』第10話
2001年9月8日放送(第10話)
脚本 大西信介
監督 根本実樹
特技監督 佐川和夫

 

青銅魔神ゲシュート
身長 57m
体重 6万3千t
西アジアにある紀元前5千年前の遺跡から発掘されたガラスケースに収められていた青銅像。ガラスケースから出されると瞬間移動で各地に出現してストレスを吸収し大きくなっていった。
ストレスを吸収する事で人々から争いが無くなり平和になった事から「ゲシュートの神」と崇められていたが、ストレスを吸収しすぎると今度はストレスを吐き出して暴れてしまう事から「神の怒る日」として恐れられていた。空からの友人が送ったものらしい。
目から光線を撃って街を破壊する。ストレスの塊である光の弾を撃ち出して人々にストレスを与える。
コロナモードに増幅されて撃ち返されたストレスの塊を受けた事で許容範囲を超え膨らんで爆発した。その後、元の大きさに戻って再びガラスケースに収められて遺跡に戻された。

 

物語
ドイガキ隊員の知り合いである吉井ユカリが発掘した謎のガラスケース。中に収められていた青銅像を外に出した瞬間、周りの人々が次々に爽快な気分になっていった。果たして青銅像の正体は?

 

感想
ウルトラシリーズでは珍しくストレスを取り扱った話。
ドイガキ隊員はカオスヘッダー襲来を予知できないかと上から言われて胸がドキドキ。ユカリちゃんと一緒にいる時も何故か胸がドキドキ。て、それはストレスじゃない!
ストレスを感じたヒウラキャップは胃痛を、シノブリーダーは偏頭痛を発症して、フブキ隊員はイライラして攻撃的になる。フブキ隊員はいつもストレスだらけなのか?
因みにアヤノ隊員はおいしいものを食べればストレス解消と言う単純ぶり。
はっきり語られていないがムサシは周りをからかう事でストレス発散していそう。怒られると分かっていてわざとアヤノ隊員をからかっているように見えた。

 

城南大学考古学研究室所属でドイガキ隊員の大学時代の友達で研究の事となると周りが見えなくなる最強のマイペース女・吉井ユカリが初登場。
よくいる隊員の知り合いのゲストかと思いきやこの後も何度も登場して平成ウルトラシリーズで定番となった太目系研究開発担当隊員の恋人となり、終盤では碑文解読の能力を生かしてカオスヘッダーの正体を解明すると言う超重要な存在となった。
初登場時はまさかここまでメインに絡むとは思わなかった。

 

ドイガキ隊員が自分に好意を寄せている事に全く気付かず、素直にドイガキ隊員を褒め、手を握ってガラスケースの調査を頼むユカリちゃん。たとえ好意を持っていなくてもこういう感じに手を握られてお願いされると男は断りづらい。
自分は最初にこの話を見た時はユカリちゃんはドイガキ隊員の好意に気付いていて上手く利用していると思っていたがまさか本当に気付いていなかったとは……。いわゆる天然系悪女と言ったところかな?

 

銅像によってストレスが消えると爽やかな気分になるのだが、いつもイライラしているフブキ隊員が爽やかになると不気味と言うか気持ち悪い。フブキ隊員の「ムサシちゃん」が聞けるのはおそらくこの話だけであろう。

 

ユカリちゃんがいくらやっても開かなかったガラスケースをドイガキ隊員やフブキ隊員はあっさりと開けてしまう。おそらくストレスの無い人物には開かない仕掛けになっているのだろう。
紀元前5千年前にハーフミラーや完全防音があったのも凄いが一番凄いのはこの仕掛け。ただ元々は宇宙人が持ち込んだ物らしいので地球に無い技術が使われていてもなんら不思議ではない。おそらくその星はストレスを始めとした心に関する研究や技術が発展していたのだろう。
これらの仕掛けは中にある青銅像に対する配慮だったらしいが青銅像を閉じ込めているようにも見えた。

 

ウルトラシリーズの特別チームの車がサイレンを鳴らすのは珍しいので青サイレンのシェパードは印象に残った。
そう言えば『T』のZATにもサイレン付きの車があったなぁ。

 

碑文の解読によってゲシュートはストレスが溜まり易い地球人を可哀相に思った宇宙人が与えた物だと判明する。
空からのプレゼント」や『ダイナ』の「平和の星」のように実は裏のある宇宙人からの贈り物かと思いきや純粋な善意だったようだ。
しかし、その善意の贈り物を地球人は扱いきれなくて逆に危機を招いてしまう事になる。

 

ゲシュートが撃ち出すストレスの塊を受けたフブキ隊員は避難完了を待たずに攻撃を開始してしまい、さらにコスモスまで攻撃しようとする。それを見たアヤノ隊員はフブキ隊員がストレスを浴びて攻撃的になったと驚くが「いつもあんな感じだっただろ?」と思わずツッコみたくなってしまった。

 

ゲシュートからストレスの塊を受けたコスモスは苦しみコロナモードにモードチェンジする。
コロナモードは怒りのモードなのでストレスを受けてモードチェンジするのは面白いアイデアであった。
ただ、コスモスがゲシュートから受けたストレスの塊を増幅して撃ち返し、それを受けたゲシュートが許容範囲を超えて爆発する展開はちょっとありきたりでイマイチだったと感じた。
人間が自分のストレスをゲシュートに与えていたら今度はゲシュートから何倍ものストレスを与えられたので、最後はゲシュートがコスモスから何倍ものストレスを与えられると言うオチだったのだろうが、コスモスにはそれとは違う解決方法、例えばストレスを抑えてコロナモードからルナモードに戻るとかを示してほしかったなと思う。

 

昔はゲシュートが暴れるほどのストレスが溜まるのに何百年もかかっていたが今は人口が違うにしてもたった数日で溜まってしまった。それだけ現代はストレスの多い世の中と言える。
しかし、ストレスは体に対する一種の警告みたいなもので人間にとって必要なもの。大切なのはストレスを溜めない事。それが今回の結論。そうは言っても難しい話なのだが、ストレスが常に溜まっていると日々の生活に支障をきたすので何とかしていきたいところである。