帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「動け! 怪獣」

「動け! 怪獣 ームードン登場ー
ウルトラマンコスモス』第11話
2001年9月15日放送(第11話)
脚本 西園悟
監督・特技監督 北浦嗣巳

 

骨格恐竜ムードン
身長 63m
体重 7万6千t
トンネル工事現場で発見されたムラノクラフドンの化石がカオスヘッダーの残留エネルギーで蘇ったもの。EYESが色々な作戦を展開してもピクリともしなかったが工事関係者が仕掛けた爆弾で巣穴のトンネルを破壊されると出てきた。実ははぐれた子供を待っていて、EYESが用意した書き割りとルナモードのコスモ・リアライズで生み出されたムラノクラフドンの子供と触れ合うと涙を流して成仏した。
名付け親はアヤノ隊員で「動かない」を英語にした「Don't move」をひっくり返して「ムードン」との事。
『初代マン』の「怪獣墓場」のシーボーズと『帰マン』の「恐竜爆破指令」のステゴンがモデル。

 

物語
トンネル工事現場で発見された怪獣ムードンを保護しようとEYESは色々な作戦を展開するがムードンはその場から離れようとしなかった。その理由は……。

 

感想
最初はギャグだが最後はしっかりと泣かせて怪獣の生態もキチンと紹介する『コスモス』の基本形と言える話。

 

『帰マン』の「恐竜爆破指令」を思い出す内容だが『初代マン』の「恐怖の宇宙線」や『帰マン』の「恐竜爆破指令」では人間の意見は出てくるが怪獣であるガヴァドンやステゴンの意思は聞かれなかったのに対し、今回の話では怪獣であるムードンが何を考えているのかに焦点が当てられた。

 

夏の特別警戒期間が終了したEYES。EYESが担当する事件は注意して防げるものではないと思うのだが……。
ともかく無事終了を感謝したヒウラキャップから夏休みがプレゼントされる事になってムサシ、アヤノ、ドイガキ隊員はそれぞれハワイに行く事を夢見るのだが、休みを取れるのは一人ずつで最後に休みを取る人は既に夏休みではなく秋休みになっていてさすがのハワイも木枯しが吹いているとの事。日本が秋だからってハワイも木枯しが吹くものなのかな……。
さらに休みを取るのが遅くなると秋の特別警戒期間に入って休みそのものが取れなくなってしまうとの事。EYESって労働基準法に違反しているんじゃ……。

 

いつの間に用意されたのか分からないくじ引きで誰が一番最初に休みを取れるか争奪戦が始まろうとしていたその時、工事現場から怪獣保護要請が出て出動する事になる。そこでフブキ隊員は今回の事件で一番活躍した人が最初に休みを取れると提案をする。「怪獣一本釣り」でのカツオ調理法の時もだったが、フブキ隊員は無関心そうに見えて実は一番盛り上がっていたりする。さり気にハワイに行く気満々なのが笑える。
フブキ隊員の提案を聞いたアヤノ隊員は自分も出動するとヒウラキャップに直訴して許可を貰い、アヤノ隊員を乗せる事になって出遅れたフブキ隊員はマッハ10で飛ばして現場に到着する。因みにテックサンダー1号の最高速度はマッハ7だったりする。夏休みを求める隊員達の気合い恐るべし! EYESはよっぽど休みが無いんだなぁ……。

 

ムードンを動かす為に皆が考えた作戦はそれぞれの性格が出ていて分かりやすかった。

 

アヤノ隊員が用意した猫じゃらしマシンはデザインが「乙女の眠り」に登場したカエルの騎士だったのでアヤノ隊員が作ったのかと思いきやSRC施設部門から借りてきたとの事。SRC施設部門はどんな事態を想定してこんなマシンを作っていたのだろうか……。

 

ムサシが用意した怪獣を誘導する笛・コスモホイッスルはデザインがコスモスのカラータイマーになっていたが、ひょっとしたらこれもムサシではなくSRC施設部門がこんな事もあろうかと思って作っていたのかな?
因みにムサシは間違って子守唄を吹いてしまうが、子守唄は『THE FIRST CONTACT』でもバルタン星人を眠らせる為に使われている。

 

ムードンが数年前に付近で化石が発見されたムラノクラフドンがカオスヘッダーの残留エネルギーを受けて蘇ったものだと判明するとドイガキ隊員は草食であるムラノクラフドンの好物をトンネルの入り口に置いて団扇で扇いでトンネルの中に匂いを送る事でムードンを誘き出そうとするがアヤノ隊員によってマヨネーズとソースと青海苔をかけられて広島風お好み焼きにされてしまう。
アヤノ隊員はあの大容量のお好み焼きセットを一体どこから持ってきたのだろうか? またしてもSRC施設部門かな? もしそうなら爪楊枝からスペースシャトルまで何でもござれだ。
関係無いが、この時のエプロン姿のアヤノ隊員がカワイイ。

 

工事現場の人達はEYESにムードンの処理を頼んで鏑矢諸島への移送が決まった時は喜んでいたが、それはムードンの事を考えてではなくて厄介払いが出来たからであった。その為、EYESがムードンの事を考えてとっとと鏑矢諸島に移送しないのを見て工事現場の人達はEYESを見限ってしまう。こういう事の積み重ねが後に防衛軍が支持を伸ばす一因となったのかな。
今回は工事関係者の人達の言い分ももっともだったので、もう少しフォローをしてほしかった。『コスモス』は怪獣に視点を移した分、人間に対する視点がイマイチな話がある。

 

ムラノクラフドンは人間と同じように家族で暮らすのにムードンは1体だけだった事からムサシはムードンが子供とはぐれて寂しい事に気付いて、仲間に会わせようとベニヤ板とペンキとパソコンで製作した音声を使ってムラノクラフドンの子供を用意する。
コスモスが与えた光によって蘇ったムラノクラフドンの子供はCGが実体の無い精神体と合っていた。甘えた声で鳴くのがカワイイ。
EYESとコスモスによって待ち続けていた子供とようやく再会できたムードンが涙を流し子供と触れ合った瞬間に光の砂となって崩れる場面は何度見ても泣ける。
EYESの皆で徹夜してベニヤ板でムラノクラフドンの子供を作る場面は学校のサークル活動みたいな感じで他の特別チームにはあまり無い雰囲気だった。これを見ると、やっぱりEYESはボランティア団体のままにしてほしかったなぁ。

 

ムードンが蘇ったのはカオスヘッダーのせいだけでなく「もう一度子供に会いたい」と言う強い想いがあったからだった。
今回は「蛍の復讐」に続いて生物の残留思念をカオスヘッダーが実体化させた話であった。こういう誰かの想いが実体化する話は昔からあるが『コスモス』ではカオスヘッダーがかなり使い勝手の良い設定となっている。

 

事件が解決して夏休みの一番取りはムサシに決定する。
どこかに行くのかと皆に尋ねられたムサシはしばらく考えた末に「たまには家に帰ろうかなぁ」と答えるのだった。

 

脚本の西園悟さんはウルトラシリーズは今回のみの登板となっている。