帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ゴンを救え」

「ゴンを救え ークレバーゴン カオスクレバーゴン登場ー
ウルトラマンコスモス』第31話
2002年2月2日放送(第31話)
脚本 武上純希
監督・特技監督 村石宏實

 

スーパーハイテクロボットクレバーゴン
身長 60cm~130cm
体重 9kg
こども科学館のおもちゃ病院で整備を受けてリフレッシュ!
ムサシを庇ってカオスヘッダーに取り憑かれてしまうが、ムサシを信頼してエクリプスモードのコズミューム光線で救われる。

 

カオスクレバーゴン
身長 48m
体重 7万2千t
カオスヘッダーに取り憑かれたゴンが変貌した姿。
額から破壊光線を撃つ。
急激に巨大化した体を維持する為に自動車からエネルギーを得て、高密度エネルギーの貯蔵システムを目指す。
カオスヘッダーが人工知能のコアとも呼べる高密度バイオチップのミクロの神経線維に巣食っていた為、少しでも周りの回路に影響を与えたら人工知能が破壊されてさらに凶暴化する恐れがあったが、エクリプスモードのコズミューム光線でカオスヘッダーのみを破壊されてゴンの姿に戻る事が出来た。

 

物語
カオスヘッダーに狙われたムサシを庇ってゴンがカオスクレバーゴンになってしまう。
果たしてムサシは奇跡の力エクリプスモードをもう一度発動させてゴンを救う事が出来るのか?

 

感想
新モード・エクリプスの登場でオープニングの映像も一部変更された。
コスモスの特徴であるルナモードの映像が少なくなったのが残念。

 

こども科学館のおもちゃ病院で整備を受けてリフレッシュしたゴン。木本博士は今もいるのかな?
昔からの親友との別れは辛いがゴンはユウキにとっても親友で大人の自分が我慢しなくちゃいけないと語るムサシは少し成長したのかもしれない。

 

最初は強い怪獣を狙っていたカオスヘッダーだったが、やがて人間に興味を抱くようになり、それと前後してコスモスを狙うようになってきた。そしてコスモスとムサシの関係に気付くと今回からムサシも標的にするようになる。

 

カオスヘッダーに襲われたムサシはSRCの医療施設に運ばれる。
目を覚ましたムサシに向かってカワヤ医師は「精密検査をした結果、判明した事がある……。ムサシ、ひょっとしてお前……、ウルトラ……マンモス健康体?」。
アンタ一体何歳だ?とツッコみたくなったがカワヤ医師の年齢を考えたら実は使っても不自然な年齢ではなかったりする。(因みに酒井法子さんのデビューは1986年)

 

クレバーゴンはクレージーゴンをモデルにしているので、いつかはあるだろうと思っていた「勇気ある戦い」のシーン再現。
だけど、34年も経っているのに映像面で大きな進歩が見られなくて残念だった。あえて昔と同じものを作ると言うのもあると思うが個人的には21世紀ならではのものを見たかった。

 

ムサシはエクリプスモードの力ならゴンからカオスヘッダーを取り除けると考えるが、他の皆はもう一度エクリプスモードになれるのか不安を抱いていた。
一度得た新モードの力を今後もずっと使えるのかと登場人物が考える展開は盲点であった。視聴者から見たら関連玩具も発売される新モードはこれからも活躍していく事は分かっているのだが、物語の中ではエクリプスモードは数々の奇跡が重なって誕生したものなので人々があの時限りの特別なモードと考えるのは当然の事であった。

 

ゴンを救うには「信頼と勇気」が必要だとコスモスに告げられたムサシの所にカワヤ医師がやって来る。
「クレバーゴンの事聞いたよ。分かるよ、最愛の友を手にかけなきゃならないお前の気持ち……。俺はお前、今は研究班だが、昔は臨床医だったんだ。その頃、友達が重い病を罹ってな。俺に手術してくれって頼み込んできたんだ。少しのミスが命取りになる難しい手術だった……。情けないが……逃げちまった。他の先生に手術を任せて……。どうしても勇気が出なくてな。奴は助かったよ。だが、俺は研究医療に職を変えた。だってそうだろう。俺は臨床医として奴の信頼を裏切っちまったんだ……。あの時、手術をする勇気があったなら……。まぁ、今更、後悔しても遅いけどな……」。
カワヤ医師の話を聞いたムサシはコスモスが告げた「信頼と勇気」の意味を知る。こういう話は実体験が伴っていると説得力が違う。
ところでカワヤ医師が「信頼と勇気」についてムサシに話すタイミングがあまりにも都合が良すぎる。と言うかムサシがコスモスだと言う前提で話しているように見える。先程は「ウルトラマンモス健康体」でお茶を濁していたが実は精密検査でムサシの秘密に気付いていたのかもしれない。

 

フブキ隊員は相手は生物ではなく機械だとしてゴンの破壊を提案し、やって来たムサシに対してもおセンチな同情は無しだと告げる。それに対してムサシは失敗した時には自分の手でゴンを破壊すると言って機会を得る。
失敗した時には自分の手で責任を取るとは今までのムサシには考えられなかった発言。
相手を倒すか救うかでムサシとフブキ隊員が対立するが、初期の頃と違ってフブキ隊員に気遣いが見えたりムサシの返答に覚悟が伴ったりと色々な変化が見られる。

 

最終的にムサシは勇気を出してコスモスのエクリプスモードの力でゴンを救うのだが、ムサシとコスモスの関係を知らない人から見たらムサシが失敗してしまったがコスモスが奇跡を起こしてくれたのでゴンが助かったと言う感じになってしまい、正体を隠すヒーロー作品の物語の作り方の難しさを感じる事となってしまった。

 

今回の話は「エクリプス」の後日談となっている。
前回の話でコズミューム光線がリドリアスを傷付けないでカオスヘッダーだけを攻撃した時は「そんな都合の良い光線を出して大丈夫なのか……?」と心配したが、今回の話で前回は無意識で奇跡を起こしていたが今回からは意識的に奇跡を起こさなければならなくて、それには信頼と勇気が必要だとされた。
ルナモードの「優しさ」やコロナモードの「強さ」に比べてエクリプスモードの「勇気」は描くのが難しいかなと思ったがコズミューム光線を「相手を傷付ける恐れがあるがそれでも救おうとする勇気」として「怪獣を傷付けない優しさ」と「カオスヘッダーを倒す強さ」を合わせた光線にしたのは見事だった。
今回の話を見ると前回のリドリアスもカオスヘッダーが取り憑いた場所によってはコズミューム光線でも危険だった事が分かって今更ながらちょっとビビる。

 

今回は「強さと力」から続いたエクリプス四部作の完結編となっている。
今回の話はエクリプスは一度限りの奇跡の力なのか今後も使える力なのか、コズミューム光線はいつもあんなに都合良く使えるのか、エクリプスの勇気とは具体的にどういうものなのかと前回の話では勢いで押し切って説明不足になっていたところを補完している。
他にもムサシやフブキ隊員の変化やムサシを狙い始めたカオスヘッダー等、作品全体を見渡した時に色々と大事な描写がある話となった。

 

出来ればエクリプスモードが1分間しか活動できないと言う設定も劇中で説明してほしかったな。

 

個人的にエクリプスモードに変身する時のポーズが好き。