帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ワロガ逆襲」

「ワロガ逆襲 ーワロガ登場ー
ウルトラマンコスモス』第48話
2002年6月1日放送(第48話)
脚本 右田昌万
監督・特技監督 原田昌樹

 

邪悪宇宙生命体ワロガ
身長 66m
体重 5万t
両手から光弾を撃つ。姿を消して襲う。光に弱いらしい。
最初はポイントMW-3に出現して待ち伏せしていたEYESと防衛軍を返り討ちにし、次にSRC医療センターに出現してEYESと防衛軍の残存戦力を壊滅させる一方、意識不明に陥ったムサシに迫った。
弱点の頭部をシノブリーダーとベンガルズに攻撃され、逃げようとしたところをコロナモードのブレージングウェーブで倒された。

 

物語
ワロガ再出現に共闘体制を採る事になったEYESと防衛軍。
戦いの中で意識不明の重体に陥ったムサシにワロガの魔の手が迫る!

 

感想
今回は全編に亘って侵略者との戦いが展開されると言う『コスモス』では異色な話なのだが実は従来のウルトラシリーズではこれが正統派だったりする。
ワロガが再登場するが「時の娘(前編)」「時の娘(後編)」との関係は薄く、EYESと防衛軍が何も気にせずに力を合わせて戦える相手として絶対悪のワロガが選ばれた感じがする。

 

珍しくトレジャーベースにやって来た石井はムサシを呼び出してワロガの出現予告を伝える。EYESなら誰でもいいわけではなくあえてムサシを指名したらしいが、ワロガからの指示だろうか? それともレニ絡み又はコスモス絡みでの石井の判断だろうか? 気になる。

 

防衛軍からEYESに出動要請が出されて両者の共同作戦が実現。
石井率いる特務部隊、今日も自転車を倒すベンガルズ、航空部隊が出撃して、EYESのテックスピナーも参戦。実はTVシリーズでこれほどの戦力が集まるのは今回ぐらいだったりする。

 

赤い光球から降り立ち、光と煙の中、闇夜に浮かぶワロガの出現シーンが格好良い!

 

ワロガとの戦いで負傷した人々がSRC医療センターに送られてくる。
『コスモス』で戦闘の負傷者を描くのは珍しい。

 

負傷してSRC医療センターに運ばれたシノブリーダーは「大丈夫」と答えるが、「君はTEAM EYESの副隊長かもしれんが今は俺の患者だ。言う事には従ってもらうぞ」と珍しく真剣なカワヤ医師を前にして渋々従う事になる。その後、目を盗んでこっそり抜け出そうとするがまたもやカワヤ医師に見付かってしまう。
カワヤ「誰が出て良いと言った?」、
シノブ「あなたの指図は受けないわ」、
カワヤ「少しは医者の気持ちも考えろ。こっちが細心の注意を払って治療をしたところをまたすぐ傷口広げるような事をやられたらたまんないぞ」、
シノブ「今度は気を付けるわ」、
カワヤ「今度? 今、気を付けろよ!」、
シノブ「気を付けてるわよ!」、
カワヤ「うん。じゃ、回れ右」。
普段はおちゃらけているけれど大事なところは締めるカワヤ医師の本質が垣間見えた場面であった。

 

今回のフブキ隊員は「防衛軍のお守りですか?」「防衛軍の巻き添えはご免こうむる」と防衛軍との共闘に否定的だった。一方の佐原司令官もEYESが提案した対ワロガ作戦を聞いて自分達もそれくらい考えていると口にするなど、いつもはEYESの事を認めているのに今回は妙に意地を張っていた。
共通の敵を前に実現した共闘体勢だったが、感情的な部分では今まで積み重なってきたしこりみたいなものが引っかかったのかもしれない。

 

ワロガは午前0時にSRC医療センターに出現すると予告するが、なんとまだ退避が完了していない4時間前に出現する。ズッコい……。
光に弱いワロガを苦しめる為のサーチライトと炎もワロガの光弾によって破壊され、さらにベンガルズと航空部隊が壊滅し、EYESも撃墜されてしまう。
EYESと防衛軍が総力を結集したのに全滅してしまったのが凄い。おそらくこの時のワロガは『コスモス』のTVシリーズで最強の存在と言って良いだろう。

 

生命の危機に陥ったムサシにワロガの魔の手が迫るが、自分の死体と直面したムサシは驚きで意識を取り戻す。
どうやら今回のワロガの目的はムサシを操る事でコスモスの力を得る事だったらしい。ワロガがコスモスの力を得ていたら手の付けられない事態になっていただろう。
ムサシが復活する流れだが、自分の死体を見て驚いて復活するのは少し拍子抜けであった。今回は総力戦だったので、レニの魂がムサシを助けに来るとか、最後まで諦めずに戦い続ける仲間達の想いを受け取るとかしてほしかった。
細かいところだが、皆が避難し終えた中、施設の中に忘れ去られて死に掛けたムサシは可哀想だった……。

 

絶望が広がる中、唯一生き残った牛島班長が搭乗する最後の戦車が再始動する。
おそらくベンガルズ唯一にして最も格好良い場面。ここは『ガイア』でハーキュリーズを担当していた原田監督の愛を感じた。
因みに今までベンガルズを指揮していた岡隊長は今回の戦いで殉職してしまったらしい。

 

カワヤ医師に出撃を認めてもらったシノブリーダーはワロガの行動から頭部が弱点である事を見抜き、空からのシノブリーダーと地上からのベンガルズの攻撃で頭部にダメージを負ったワロガは透明になる能力を失い光球になって逃げようとしたところをコロナモードのブレージングウェーブで倒される。
戦いが終わり、シノブリーダーはカワヤ医師のサムズアップに笑顔で返し、石井も笑顔で皆に手を振る。そして翌日、ムサシはコスモプラックを見つめ、空を見上げて何かを思うのであった。