帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「超古代の光と闇」

「超古代の光と闇」
ウルトラマントリガー』第3話
2021年7月24日放送(第3話)
脚本 ハヤシナオキ
監督 坂本浩一

 

変形闇怪獣ガゾート
身長 59m
体重 5万t
ヒュドラムが発生させた強烈な電磁波を発する黒い竜巻の中でクリッターが融合させられて誕生した怪獣。闇の巨人の影響を受けていて眼が赤くなっている。
口から吐く光弾で街を破壊していくがGUTSファルコンとトリガー・スカイタイプの共同戦線の前に倒された。

 

物語
シズマ財団の会長の娘であるユナの前にイグニスと名乗る異星人のトレジャーハンターが現れる。さらにユナを「ユザレ」と呼ぶ闇の巨人ヒュドラムも出現。果たしてユナに隠された秘密とは……?

 

感想
前回の「未来への飛翔」で医務室から抜け出してトリガーに変身したケンゴは事情を知らないタツミ隊長に「任務下における状況報告は怠るな」と注意を受ける。
まぁ、これが普通なんだよね。ウルトラシリーズの特別チームは基本的に軍隊なのに皆勝手に行動しすぎる。(『トリガー』も結局はそうなるけれど)

 

序盤の『トリガー』はウルトラマンについて公的にどういう扱いになっているのかがTV等で紹介されている。
ウルトラマンのような巨人が現れたら世間の注目が集まるはずなので、このような見解が出されると、その世界においてウルトラマンが人々からどのように思われているのかが分かって物語を理解するのに非常に助かる。

 

TPUがトリガーを監視対象とした事にテッシンは激怒し、ヒマリはタツミ隊長の説明を「堅物」と非難する。実際はTPUに対して大きな影響力を持つシズマ会長もトリガーの味方なので、実はこの時点で明確にトリガーに対して警戒感を抱いているレギュラーキャラはタツミ隊長だけだったりする。これは『ティガ』の「悪魔の預言」でイルマ隊長がいち早くティガは人類を守ってくれる存在と発表したのと対になっている。

 

ユナとアキトは特別チームの隊員でありながら高校生でもある。
ウルトラシリーズの主人公とその仲間は防衛軍のような公的な機関に所属している事が多いので仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズに比べて社会人である事が多い。ウルトラシリーズの主人公で特別チームの隊員でありながら学生でもあったのは『ガイア』の我夢くらいであろうか。
ユナやアキトの学校が舞台になれば他のウルトラ作品には無かった新しいタイプの話が出てくるかもと思ったが、まだコロナの影響が強かったからか残念ながら学校が舞台になった話は作られなかった。

 

ユナとアキトが幼馴染みであった事が判明。『トリガー』はケンゴが主役なのだが、ユナを中心に置くと「幼馴染みのアキトはユナに好意を抱いているがユナはアキトに対して兄妹のような感覚」「ユナと同じ超古代に関係する運命を持つケンゴと言う存在がいきなり現れる」と言う構図が浮かび上がり、アキトの位置がこの手の作品でよくある「最終的に想い人とは結ばれない負けヒロイン」になってしまうので、そりゃアキトも気が気じゃないよなと思う。

 

ケンゴとアキトがイグニスに戦いを挑む場面では「戦い方をまだ本格的に習っていないケンゴ」と「開発担当だが隊員として最低限の戦い方は身に付けているアキト」の違いがちゃんと描かれているのが良かった。

 

異星人に狙われたユナの安全を確保する為に通学にGUTS-SELECTの飛行メカが使われる。今回登場した飛行メカは『メビウス』のガンスピーダーとそっくり。やっぱり『トリガー』は『ティガ』より『メビウス』に近いよなぁ。

 

これまで闇の巨人は超古代の言語を使っていたがそれではユナと会話が出来ない。ユナからエタニティコアの情報を聞き出さなくてはいけないのでヒュドラムは現代の地球の言語を使う事になる。

 

トレジャーハンターのイグニスが登場。演じるのは『海賊戦隊ゴーカイジャー』のバスコ役だった細貝圭さん。
今回の話はイグニス=ヒュドラムなのか?と言う感じで話が進むが最終的に二人は別人である事が判明する。
バスコのキャラクターがインパクトのあるものだったので同じ細貝さんが演じるイグニスもかなりヤバいキャラなのかなと思われたが、ヤバいのはヒュドラムの方でイグニスはバスコとは真逆のキャラとなった。

 

タツミ隊長はクリッターが融合したらガゾートが誕生する事を知らず、マルゥルは今回出現した個体は普通のガゾートではないと言っている事から、マルゥルが知っているガゾートは地球に現れたものではないと考えられる。地球以外の星でも条件が揃えばクリッターからガゾートが誕生するようだ。

 

ヒマリはガゾートが「トモダチ」と言っているのを聞き取ったようなのでこの世界のガゾートもトモダチを食べる恐れがある。GUTSファルコンが無人で良かったな……。

 

ニュージェネレーションシリーズは変身する時は特殊な空間にいるような演出になっているが明確に特殊な空間に移動して変身しているとしたのは『Z』くらいで、他の作品は変身する時に周りが特殊な空間になるのはあくまで演出となっている。今回は演出では特殊な空間にいるようになっているが実際は周りから見たらこのように変身していると言うのが分かる場面になっていて興味深かった。

 

『ティガ』では第1話はスカイ、第2話はパワー、第3話はマルチの順番で敵を倒しているが、『トリガー』は第1話はマルチ、第2話はパワー、第3話はスカイの順番で敵を倒している。

 

トリガー・スカイタイプとGUTSファルコンとガゾートの空中戦はスピード感溢れるもので、途中にタツミ隊長の「責任は私が持つ。ウルトラマントリガーを援護しろ!」もあって実に盛り上がる戦いになっている。特にGUTSファルコンはトリガーがいない状態でもガゾートと互角に戦っていて性能の高さがよく分かった。

 

『トリガー』のマイナスポイントの一つに超古代に関わっていないテッシンやヒマリ達の掘り下げ回が無いがあるのだが、一方で一話をかけてキャラクターを描く事が出来なかったので主人公達と対立するエピソードが外されて最初からテッシンやヒマリをケンゴやトリガーに好意的にした事で作品全体が明るい雰囲気になったのはプラスポイントだったと言える。

 

ガゾートを倒したトリガーの前にヒュドラムが現れ、エネルギーが残り少ないトリガーは危機に陥るが、そこにGUTSファルコンが現れてヒュドラムの注意を逸らすと、ナースデッセイ号のナースキャノンでヒュドラムを吹き飛ばして彼の余裕を完全に無くさせてしまう。
ドラマ上ではテッシンやヒマリは超古代の物語に殆ど絡めないのだが戦闘においてはトリガーと互角の戦力を駆使するとして十分な存在感を見せつける事となった。

 

ケンゴはイグニスがユナを守ってくれたと考えるが実はケンゴの見ていないところではイグニスはユナよりヒュドラムを倒す事を優先しているし、表向きは「ユナはゴクジョーな存在」と言っていながら心の中では「トリガーの力こそゴクジョー」と思っている等、イグニスはケンゴ達に見せていない部分が色々ある。

 

ヒュドラムはカルミラやダーゴンより100年早く目覚めていたらしい。随分と復活のタイミングにズレがあるなと思ったが、3000万年における100年って100年における2時間か3時間くらいなものなので、ヒュドラムにしたら「他の二人より2時間ほど早く目覚めたので、ちょっと一人で遊びに行きましょうか」くらいなノリだったのかもしれない。そんなノリでやっていい所業ではなかったが……。

 

『トリガー』の第1話と第2話は『ティガ』『ダイナ』を元にした部分が多かったが今回の話からはイグニスやエタニティコアと言った『トリガー』独自の要素が出てくるようになる。

 

 

「第2の宇宙人」
『ナースデッセイ開発秘話 ~特務3課奮闘記~』第3話
脚本 足木淳一郎
監督 村上裕介

 

まさかのマグマ星人回。と言うか外島孝一さん回であったw
ホッタさんはマグマ星人について広報部でも使い物にならないだろうと言っていたが多分メチャクチャ役に立つと思う。

 

因みに『ギンガ』の番外編である「残された仲間」に登場するマグマ星人は人間の姿をホッタさん役の田久保宗稔さんが、宇宙人の姿を外島孝一さんが担当している。(因みにその回のマグマ星人も情報誌で仕事を探していた)