「悪魔がふたたび」
『ウルトラマントリガー』第21話
2021年12月18日放送(第21話)
脚本 継田亨
監督 辻本貴則
青色発泡怪獣アボラス
身長 60m
体重 2万t
3億5千年前の超超超超古代文明で「青き悪魔」と称されていた怪獣。
工事現場で発見されたカプセルがシズマ財団の研究室センターで保管・調査されていたがバリガイラーの雷を受けて活動を再開した。
口から泡を吐く。
体内に毒素を持っていたが、グリッタートリガーエタニティのエタニティボンバーを受けた後にトリガーダークの光線で毒素を中和されて消滅した。
赤色火焔怪獣バニラ
身長 55m
体重 2万t
アボラスと同じく3億5千年前の超超超超古代文明で「赤き悪魔」と称されていた怪獣。
バリガイラーの雷を受けて活動を再開させるとアボラスと激闘を繰り広げた。
口から火焔を吐く。
アボラスと同じく体内に毒素を持っていたが、トリガーダークのダークゼペリオン光線を受けた後にグリッタートリガーエタニティの光線で毒素を中和されて消滅した。
物語
前回のバリガイラーが起こした雷によってシズマ財団が保管していた3億5千年前のカプセルの中身が活動を再開した。
復活した怪獣アボラスの泡にケンゴが取り込まれてしまい、アキトがパニックに陥る。
感想
『初代マン』の「悪魔はふたたび」のアボラスとバニラが再登場。
今まで3000万年前の超古代文明を取り上げていたので今回の3億5千年前のカプセルの存在にマルゥルは「超超超超古代文明か! 石版も目じゃねぇな……」と驚く。
『ティガ』要素のある作品で『初代マン』のエピソードを取り上げたのでおかしい事になったのかなと思いきや今回の石版は古すぎてアキトでも一人で解読が出来なかったがトレジャーハンターで宇宙を駆け回っていたイグニスが解読の手助けをしてアキトとイグニスを繋げる展開にしたのが上手かった。
前回の「青いアイツは電撃と共に」での勝手な行動を問題視してタツミ隊長はユナにナースデッセイ号での待機を命じるが今回はアキトが勝手な行動をしてしまう。
ユナもアキトも仲間を助けたいと言う気持ちがあって、それをイグニスが後押しした形になっている。作品の前半でタツミ隊長とイグニスの対立関係があったのだが前回と今回はユナとアキトの処遇を巡って再びタツミ隊長とイグニスが直接ではないが対立の構図になっている。
アキトを庇ってケンゴがアボラスの泡に取り込まれてしまう。
アキト「隊長!」、
タツミ「ヒジリ隊員。そちらは無事か?」、
アキト「ケンゴが……、ケンゴが!」、
タツミ「ヒジリ隊員落ち着け! マナカ隊員がどうした?」、
アキト「ケンゴが……、ケンゴがー!!」。
いいから落ち着けって!
アキトはトラブルやアクシデントに弱いだろうなとは思っていたがまさかここまでパニクるとは……。
それを見たタツミ隊長はアキトを帰還させてケンゴの救出はTPU科学部に任せる。暴れる怪獣を分析して街の被害を食い止めなければいけないが今のアキトにはその冷静な判断が出来ないので、一度戻してタツミ隊長が面と向かって説得する必要があったと思われる。
アボラスとバニラが暴れている隙を狙ってユザレをさらおうとするカルミラだったがダーゴンは覚醒したユザレを警戒して慎重に動くべきだと忠告する。それを聞いたカルミラは「ヒュドラムだけでなくお前までも私に逆らうのか!?」と逆上し、「大事な時だからこそ力を合わせて」と説得するダーゴンの言葉にも「黙れ!」と叩っ切る。
カルミラからしたらトリガーとヒュドラムが自分から離れた直後に今度はダーゴンが自分に反論してきたのでもう誰の事も信用出来なくなってしまったのだろう。
さすがにアボラスとバニラの二体を同時に相手をするのは大変で出撃してすぐにGUTSファルコンは大ダメージを負ってしまう。作品の序盤ではかなりの戦力になっていたのだが段々と強さのインフレに追いつけなくなってきた感じ。
マルゥル「トリガーの奴何やってんだよ! いつもならそろそろ出てくる頃じゃねぇか!」。
GUTS-SELECTの戦力が段々と戦いに追いつけなくなってくる中、マルゥルにトリガーへの依存が生まれ始める。まぁ、GUTS-SELECTだけではどうにもならない事が多いがグリッタートリガーエタニティの力があれば大抵はなんとかなるからなぁ。
アボラスとバニラは死ぬと毒素をまき散らして被害が拡大してしまうので超超超超古代文明人は二体を生きたままカプセルに封印する事にした。他の怪獣と違ってアボラスとバニラが封印された理由が納得出来るものであった。
アボラスの青い泡がバニラの赤い炎で取り除ける等、「悪魔はふたたび」では説明されなかった部分の補完が実に上手い回であった。
ケンゴを助ける為にトリガーダークの力を持つイグニスに助力を求めるアキト。それに対してイグニスがあっさりと承諾した事にアキトは驚き、その理由を尋ねる。
イグニス「もしかしたら、お前の涙を見たせいかもな……。俺は泣いた事が無かった……。泣くなんて心の弱い負け犬のする事だと思っていた……。だが、ある時、大切な人達を一片に失う事件に出くわしてな……。初めてだった……。一筋の涙が俺の頬を……。涙なんて二度とごめんだ。それが自分でも他人でも……。もちろん、地球人であっても……」。
この言葉を信じてアキトはイグニスの手錠を開け、気になる部分を改良していたブラックスパークレンスを託す。
前回と違って今回のイグニスはトリガーダークに変身しても暴走しなかった。と言う事は前回の暴走は不完全ブラックスパークレンスが原因だったのかな。
平成ウルトラシリーズの頃だと復讐に囚われたイグニスの心が闇となって暴走したとなりそうなのだが、闇の力を使っていてもアイテムがちゃんとしていたら暴走しないと言うのがニュージェネレーションシリーズらしい。
平成ウルトラシリーズの頃は「光=正・闇=負」と言う感じだったがニュージェネレーションシリーズになると段々と光も闇も火・水・風・土と同じ属性の一つと言う感じになってきた。
トリガーダークとアボラスとバニラが戦うところを監視カメラ越しに見る場面があるが監視カメラに写っている車の窓にトリガーダーク達の姿がちゃんと映っているのが細かくて凄かった。
イグニスの「赤と青、どっちが好きだ?」に対してケンゴは「青ですけど」と答え、同じく青が好きだったイグニスは特別にケンゴに青を譲る事にする。
因みにケンゴ役の寺坂頼我さんの祭りnine.でのテーマカラーは「赤」だったとの事。一方でイグニス役の細貝圭さんが『海賊戦隊ゴーカイジャー』で演じたバスコは赤き海賊団に所属していてアカレッドを裏切ってゴーカイレッドと宿敵になるとどちらも「赤」との関係が強かったりする。
背中合わせのトリガーとトリガーダークを下から見上げた場面は主題歌の使い方も良くて実に盛り上がる場面であった。
ケンゴの「皆の笑顔を守りたい」は「幸せを守りたい」でイグニスの「誰の涙も見たくない」は「不幸を起こしたくない」なので、平和な日々を送っていたケンゴと辛い日々を送っていたイグニスの違いがそのまま両者の戦う理由の違いになっている。
「奴らは互いに助け合い、ますます強くなる。翻って我々は……、闇の一族は……」。
ここ最近は結束していくトリガー&GUTS-SELECT側と仲間割れを起こす闇の巨人側と言う対比がされていたが、ダーゴンのこの台詞の直後にイグニスがトリガーダークに変身してユナをさらってしまい、これまであった互いに助け合う形が崩れ去ってしまう。
前回と今回のイグニスの行動は「仲間を助けたい」と言うユナやアキトの気持ちに共感して背中を押したにも見えるし、ヒュドラムに復讐する為にユナやアキトの信用を得て再びトリガーダークに変身出来るようにしたにも見える。
おそらくだがそのどちらの気持ちもイグニスにはあったと思われる。
「第2回宇宙人会議」
『ナースデッセイ開発秘話 ~特務3課奮闘記~』第21話
脚本 足木淳一郎
監督 村上裕介
ゼットンの1兆度の火球とエレキングの電撃のデータを手に入れる事となったTPU。これがゼットンとエレキングの怪獣キーに繋がったのかな。
噂レベルであるが次元を超える莫大なエネルギーを持つ種族の話が出てくる。おそらくこれは後に「黄金の脅威」に登場するアブソリューティアンの事であろう。