帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「一時間の悪魔」

「一時間の悪魔」
ウルトラマントリガー』第6話
2021年8月28日放送(第6話)
脚本 根元歳三
監督 武居正能

 

惑星破壊神サタンデロス
身長 60m
体重 8万t
ギガデロスが何者かによって改造されたもの。
ヒュドラムによって地球に送り込まれた。
強力なバリアーを維持する為に23時間のエネルギーチャージが必要なので「一日に一時間動く悪魔」として「サタンデロス」と呼ばれるようになった。
強力なバリアーに対して装甲は弱く、胸にあるバリアー発生装置をGUTS-SELECTとイグニスに破壊されるとトリガー・スカイタイプのスカイアローで足止めされ最後はGUTSファルコンとナースデッセイ号の一斉攻撃を受けて倒された。
『タイガ』の「護る力と闘う力」のギガデロスの着ぐるみを改造している。

 

物語
一日に一時間しか稼働しないが強力なバリアーでトリガーを返り討ちにするサタンデロス。
GUTS-SELECTはサタンデロスの弱点を知っていると言うイグニスと協力して反撃を開始する。

 

感想
いきなりトリガーを倒すサタンデロスが登場。トリガーはサタンデロスに三回挑んで三回負けたとなっている。前後編等でウルトラマンが一度負ける事は何度かあるが同じ相手に3回連続で負けるのは珍しい。強力なバリアーに依るところが大きいのだがそれでも現時点ではサタンデロスは闇の巨人達より脅威の存在であった。

 

サタンデロスはギガデロスの改造であるとして『タイガ』の「護る力と闘う力」の話が説明される。「守護神」としてギガデロスを作ったはずなのに「破壊神」「悪魔」と呼ばれるようになったイルトが実に気の毒。

 

マルゥルによるとサタンデロスは誰かの手でより強力に改造されているらしい。サタンデロスを送り込んだのがヒュドラムで、イグニスは今回のやり口はヒュドラムのものだと感じていたので、ギガデロスをサタンデロスに改造したのはヒュドラムであると考えられる。

 

サタンデロスの弱点を知っていると言うイグニスの話を皆が信じられるかどうか決断できない中、タツミ隊長が「今の我々には選択の余地が無い」として迷い無く答えたのが格好良かった。
地球人と宇宙人とでは宇宙人の方が能力も知識も上である事が多いのだが、タツミ隊長はイグニスと互角の実力を持っているようなやりとりがあって実に頼りになる。

 

イグニスがユナにちょっかいをかけるからかケンゴはイグニスに対して敵意と警戒を隠そうとしない。実に分かりやすい。

 

ナースキャノンの出力を上げる事になったアキトとテッシンとマルゥル。
アキトってテッシンとは話が合わないだろうなぁと思っていたが、一応敬語を使っているけれど実際はあまり話をしたい相手じゃないなぁと言う気持ちが言葉に透けて見えた。実に分かりやすい。

 

ケンゴがトリガーに変身するところを見たとしてイグニスは地球人のケンゴがトリガーに変身するようになった理由を尋ねる。これに対してケンゴは自分もよく分からないとしていながら火星の遺跡での話を語る。おそらくこれでイグニスはトリガーの力は生まれ持ってのものではない、後で手に入れる事が出来るものであると考えたと思われる。(実際はケンゴがトリガーに変身できたのは生まれ持ってのものだったが)

 

ナースデッセイ号のナースキャノンでトリガーと同じようにサタンデロスのバリアーを破壊した事でナースキャノンは出力を上げたらトリガーの光線と同等の破壊力を持つ事が分かった。

 

ヒュドラムはトリガーの動きが以前より良くなった事を褒めながらも「せっかくの力を人間なんかの為に使うなんて」「昔のあなたの方がエレガントでしたね」と苦言を述べる。
この時点で闇の巨人達はケンゴが一体化した事でトリガーが復活した事を知っているのだが、あくまでトリガー自身の意識で動いていると考えている。ユナがユザレになっている時は意識もユザレになるのでケンゴとトリガーの関係もそれと同じと考えているのかもしれない。

 

ヒュドラムにユナを攻撃されたケンゴは激高してスカイタイプにタイプチェンジするとヒュドラムを上回る素早さを発揮し、さらにヒュドラムと戦いながらサタンデロスの足にスカイアローを打ち込んで足止めまでする。最後も逆上したヒュドラムを冷静に撃退したりと最初はアキトに戦い方をダメ出しされていたケンゴが着実に実力を付けている事が分かる。

 

タツミ隊長は「地球人を代表して感謝しよう。ありがとう、イグニス!」と礼を述べると「良かったらこれからもその知識で我々に協力してほしい」と協力を申し出るがイグニスは「正義の味方ってのは性に合わないんでね」と断る。だが、当分は地球にいるのでまた遊びに来るかもと今後も関係が続く事を匂わせる。
イグニスの目的は「故郷の復讐」なので「地球を守る」が目的であるGUTS-SELECTに入隊する事は出来ない。又、イグニスは自身の復讐が正しい事ではないと分かっているので「正義の味方は性に合わない」とも言っている。ぶっちゃけるとケンゴに取り入ってトリガーの力を手に入れるのならGUTS-SELECTに入隊した方が都合が良い感じがするが、あえてそこで自分なりの線を示すところがイグニスらしいなと思う。

 

イグニスが力を発揮する時に顔に表れる紋章を見てマルゥルはリシュリア星人の生き残りだと気付く。
ヒュドラムがリシュリア星人を喰った事が明らかになって、ヒュドラム初登場回である「超古代の光と闇」はヒュドラムとガゾートと言う「人間を喰う存在」が出た話だった事が判明する。

 

イグニスは故郷の人達をヒュドラムに喰われてしまい、さらに自分はあえて生き残らされて戦う事すらさせてもらえなかった。しかし、トリガーはヒュドラムを完全に倒すまではいかなくても二度も勝っているとして、トリガーの力ならヒュドラムと戦えると考えるのであった。
ウルトラシリーズでは初代マンやタロウと言った昭和ウルトラシリーズやゼットのようなニュージェネレーションシリーズではウルトラマンは人格のある存在である事が多いのでウルトラマンの力だけを手に入れようとする者は殆どいなかった。しかし、ウルトラマンの人格が描かれない事があった平成ウルトラシリーズでは『ティガ』のマサキ・ケイゴや『ダイナ』のゴンドウ参謀とウルトラマンの力を手に入れようとする人物が度々現れ、現時点ではウルトラマンの人格が描かれていない『トリガー』でも似た展開が行われる事となった。

 

 

「その名はGUTSファルコン」
『ナースデッセイ開発秘話 ~特務3課奮闘記~』第6話
脚本 足木淳一郎
監督 村上裕介

 

GUTSファルコンとガッツウイングの玩具紹介編……ではなくてガッツウイングについて気になる情報が出てくる重要回。

 

「ガッツウイングは怪獣出現を予期した政府が極秘に開発した」と言う事になっているのだがホッタさんは「ガッツウイングはどう考えても当時の技術的にオーバーテクノロジーで、むしろガッツウイングを基にTPUの色々な技術が確立していった節がある」と語る。こういうふうに本編をフォローするのもスピンオフの醍醐味。

 

今回の話を見て思ったけれどホッタさんは技術が分かるのでTPUで使われている技術の歪さも感じている。マルゥルがそう言うのに興味が無いのであまり語らないが、もし『機動警察パトレイバー』の後藤隊長のような人物が話し相手だったらホッタさんはこういう会話をちょくちょくして上が隠しているものを暴いたりしていたのかな。