帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「光と闇の邂逅」

「光と闇の邂逅」
ウルトラマントリガー』第11話
2021年10月2日放送(第11話)
脚本 ハヤシナオキ
監督 武居正能

 

物語
明かされた四人目の闇の巨人がトリガーだった事に衝撃を受けるケンゴ。
迷いから力を発揮出来ないトリガーに対してカルミラは闇の呪術を仕掛ける。
それに抗おうとするケンゴだったが光と闇の衝突から超古代へと弾き飛ばされてしまう。

 

感想
石版から四人目の闇の巨人としてトリガーの名前が出てきて衝撃を受けるケンゴ。
これまでも闇の巨人達が「昔のトリガーは今より良かった」と言っていた事からトリガーが昔は闇の巨人であった伏線は張られていた。
そして遂にカルミラはトリガーの光エネルギーが少なくなったところに闇の呪術を仕掛けてトリガーを闇の巨人として復活させようとする。

 

カルミラの闇の呪術に抵抗しようとしたケンゴは光のエネルギーを放射するが、その結果、ケンゴは次元の狭間に消えて3000万年前の超古代にタイムスリップしてしまう。

 

現在のユザレは精神体なので神秘的な雰囲気を纏っているが3000万年前のユザレはまだ生きているので普通の人間の雰囲気になっている。ダーゴン相手に戦う覚悟を見せた時のユナに近い雰囲気で、なるほど二人は血縁者だなと感じる。

 

倒れたトリガーはもう目覚めないのかと言うテッシンの問いにヒマリは「それは嫌」と強く答える。
ヒマリはメインストーリーにあまり関わっていないので普段はクールだが機体の操縦やゲームをする時にテンションが高くなる二重人格くらいの情報しか無いが「超古代の光と闇」でトリガーを危険視するタツミ隊長を「堅物」と非難したり今回の話でトリガーが二度と立ち上がれないのは嫌と強く言ったりトリガーに肯定的である事が分かる。

 

超古代でユザレと自分を襲うトリガーダークを見たケンゴは両手から強力な光を発して攻撃を防ぐと「僕の知っている君は闇の巨人なんかじゃない! 皆を笑顔にする光の巨人だ!」と訴える。この時にケンゴから受けた光と言葉によってトリガーダークの何かが変わっていく事になる。

 

ユザレが属していた地球星警護団は戦いで疲弊していてユザレ自身にも疲れが見えていたがケンゴはユザレに「希望の未来は凄く遠くにあるのかもしれない。でも、立ち止まっていたら絶対に辿り着けない。同じ一歩なら苦しいより楽しい方が良いでしょ。だから、スマイルスマイル♪」と告げる。
ケンゴらしいポジティブな言葉であるが、この言葉をよく見るとケンゴは「希望の未来は遠くにある」としてすぐに願いが叶えられない事を知っているし、「同じ一歩なら苦しいより楽しい方が良い」として願いが叶うまでの道のりは大変な事も知っている事が分かる。そう考えるとケンゴの「スマイルスマイル♪」は「楽しいから出てくる言葉」ではなくて実は「楽しくする為に出している言葉」である事が分かってくる。

 

これまでも高エネルギーの塊である事が語られていたエタニティコアであるが今回の話でビッグバンを起こして宇宙を意のままに作り変える事が出来るほど強大な力であった事が判明する。まさか地球だけでなく宇宙そのものに影響を及ぼすものとは驚きだった。
カルミラの目的は光の下でのうのうを暮らす人間どもを消し去って宇宙を闇の一族だけの世界に作り変える事だった。
おそらく『トリガー』の世界は光と闇に大きく分ける事が出来て人間は光側でカルミラ達は闇側であると思われる。そう考えると闇の巨人達の望みは敵を滅ぼして自分達だけの世界を作ると言う分かりやすいものだと言える。

 

闇の巨人達の望みを知ったユザレはエタニティコアは一歩間違うと全ての宇宙が消えて光も闇も関係無く全ての生命が消滅する恐れがあると説得する。
この説得は分かるのだが問題はその後の「光を願う心は皆の中にある。あなたの中にもきっと……!」の部分。ここでユザレが闇の巨人の中にも光があるように自分達の中にも闇はあるとして、人間も闇の巨人も光と闇の両方を持っていて違いが無いとするのなら良かったのだが、結局は光だけを肯定するユザレの主張を聞いて闇に属するカルミラはあまり良い気分にならなかっただろう。
エタニティコアを管理しているのが光に属する人間達である事からこの宇宙は光と闇に分かれていて光中心の作りになっていると考えられる。闇の巨人達はその構図をひっくり返したかったのかもしれない。

 

カルミラとトリガーダークが親しい関係である事が分かるがトリガーダークが無口でカルミラが常に主導権を握っているのであまり対等な感じには見えず、見方によってはカルミラからトリガーダークへの一方的な好意に思えてしまう。
とは言え、カルミラがトリガーダークを愛していた事は間違い無く、今回の話でカルミラはこれでもかとトリガーダークを称えまくっている。カルミラは人間に対して好意的な部分が全く無いので視聴者から見たら明確な敵キャラであるのだが、トリガーダークへの愛をこれでもかと出してくるので、恋する女性はかわいいと言うわけではないが、なんか嫌いになれない感じになってくる。

 

他の二人より100年早く復活したヒュドラムは独自の行動をとっていたが、超古代でカルミラとそのお気に入りであるトリガーダークを中心に物事が進んでいくのに不満そうな態度を見せていたので、同じ闇の一族としてカルミラ達と行動を共にしているけれど本当は自分だけで動きたいと思っていたんだろうなぁと言うのが分かる。

 

「ルルイエ」は超古代の人間達の言葉で「希望」を意味していた。
『ティガ』の『THE FINAL ODYSSEY』とは逆の意味になったなと思ったが、よく考えたら『ティガ』のルルイエは現在は闇の力が充満しているが光の力も眠っていた場所だったので、もしあの遺跡が当初は光の巨人達の活動拠点だったと考えると、こちらのルルイエも本当は「希望」を意味していた可能性がある。

 

ユザレによるとスパークレンスの元となった神器エンシェントスパークレンスは星々の光を何代にも亘って途方もなく長い年月をかけて集めたものとの事。このエンシェントスパークレンスについては後の『エピソードZ』でより詳しく語られる事になる。

 

インナースペースでケンゴとトリガーダークが直接殴り合う展開は驚きだった。
視聴者的にはケンゴが自分の中にあった闇に立ち向かう構図なのだが、実際はトリガーダークが自分の中にあった光に抗う構図だったりする。

 

THE FINAL ODYSSEY』はティガダークとカミーラに比べてダーラムとヒュドラはちょっとゴテゴテしたデザインだなぁと思っていたが今回のトリガーダークはダーゴンやヒュドラムよりゴテゴテしたデザインになっていて、ティガダークがシンプルすぎて他の闇の巨人から浮いているのに対してトリガーダークはゴテゴテしすぎて他の闇の巨人から浮いているところがあった。もう少し良いバランスに出来ないのかな……。

 

 

「ガッツファルコン改造計画」
『ナースデッセイ開発秘話 ~特務3課奮闘記~』第11話
脚本 足木淳一郎
監督 村上裕介

 

ホッタ「一から考え出す事は無理でも他人のアイデアに付け足すのは得意だ!」。
マルゥルは「情けない」と言うがこういう人も大事だと思う。

 

ホッタさんの新しいアイデアとは水中型のGUTSファルコンであった。
今回は実現しなかったがシズマ会長は『ティガ』の世界では海底に邪神や闇の巨人の住処があった事を知っているので、シズマ会長にまで話が通っていたら実現したかもしれない。(実際、『トリガー』の闇の巨人達も海底に潜んでいたわけだし)

 

マルゥルは「毒舌」と言う設定だったが本作ではテルミちゃんと言う超絶毒舌キャラがいるので結果的にフォロー役に回っている。